2007/2/15 東京マラソン
日本4選手が抱負
実績十分の油谷、2カ月間隔で再挑戦の入船&佐藤、
そして初マラソンの徳本


「諏訪さん(アテネ五輪6位)を見て、僕もあそこに行きたいと思うようになりました」(徳本)
Q.レースへの抱負を。
油谷繁 大阪世界選手権に出場できるようにすることが第一の目標です。この東京で優勝して大阪代表を内定させたい。
入船敏 アジア大会から期間としては短いのですが、手応えとしては順調です。いい練習ができています。力を出し切って、その結果が優勝になったらいい。
佐藤智之 12月の福岡でと思ったのですが、結果を残せず“もう一度”と思いました。最後まで気持ちを切らさず、苦しみ抜いてゴールしたい。
徳本一善 マラソンをやることになるとは、(以前は)僕自身が想像していなかった。1年半、故障で悩んでいる間に、マラソンで世界に臨んでみたい気持ちが生じてきました。今回、こうして会見に出られて幸せだと感じています。横にいる3人と少しでも戦えるレースができれば、と思っています。
Q.徳本選手に。マラソン出場を決心した経緯を具体的に教えてください。大阪の世界選手権や北京五輪にマラソンで出る意思もあるのでしょうか。
徳本 本当に長い間、故障をしていました。それまで、走りたくても走れない選手たちを、腐るほど見てきました。その中に自分も入るのかな、という気持ちになりかけていた。やめたくない、走りたい。走れなくなる恐怖がすごくあって、先が見えない練習に取り組んでいる間に、色んな選手の活躍を見ていました。その中ではやはり、マラソンが一番メダルが近い。諏訪さん(日清食品。アテネ五輪6位)を見て、僕もあそこに行きたいと思うようになりました。去年の1月からようやく走り始めることができ、世界クロスカントリー選手権で世界の舞台に立てました。まだ俺も世界を目指していい、という気持ちになったのと同時に、東京マラソンを目指そうと思った。世界選手権が大阪で開催される年ですし、初マラソンとしては一番いい舞台かな、と。でも、初マラソンで世界選手権に行ってやろうと、それほど固く思ってはいません。北京にはマラソンで挑戦したいので、そのためには今年、マラソンをやっておく必要がある。

「福岡の練習の流れを生かしてもう1回行くには東京の方がいい」(佐藤)
Q.入船選手と佐藤選手はともに2カ月の間隔ですが、東京を選んだ理由と、トレーニングで工夫した部分を教えてください。
入船 世界選手権に出たい気持ちでアジア大会に臨みましたが通用しなくて、悔しかった。東京かびわ湖でもう1回チャレンジしよう、と思ったんです。どちらがいいか監督と相談して、練習の流れから東京の方が力を出せるという結論になりました。練習は特に工夫してはいません。いつも通り、良い状態を保つことを心掛けました。
佐藤 福岡は練習内容と比較して、結果がついて来なかった。終わった日に監督から「東京、行くぞ」と言われました。びわ湖では1カ月違ってきますが、福岡の練習の流れを生かしてもう1回行くには東京の方がいい。練習は僕もそれほどしていないのですが、調整段階で体調が上がっています。駅伝でいい走りができたので、その流れを今回のマラソンに生かしたい。
Q.油谷選手はこれまでと違った取り組み、強調してきた点などありますか。
油谷 オリンピックが終わってロンドン(06年4月)を一度やっていますが、ロンドンはあまり練習ができていなかった。今回が久しぶりのマラソンという感覚です。まずはしっかりとレースをすること。今まで通りの練習をベースに、途中に駅伝が入ることを考えて、逆算して早めに練習をこなしてきました。2週間前に丸亀ハーフに出場したことが、これまでとは違った調整です。思ったよりもいいタイムが出せて、すごく自信になりました。
Q.過去3回、世界選手権とオリンピックの5位があります。それよりも上の成績を世界で出すためのステップとして、今回意識している点は?
油谷 北京への第一ステップ。これまでマラソンの優勝がないので、ここで初優勝をして今後の自信につなげていきたい。


「最後のアップダウンはきつそうですが、35kmまでいいペースで行ったら…」(油谷)
Q.初めてのコースですが、タイムも念頭に置いて走るのでしょうか。予想されるレース展開は?
油谷 コースは11月に一回、車で通して下見をしました。最初に下ってあとは35kmまで平坦です。そこまではいい記録で行くと思います。築地を過ぎて多少、橋を渡るときにアップダウンがあります。最後の5kmはそのアップダウンできついと思いますが、そこまでをいいタイムで来ていたら、その流れで行ってしまうかもしれません。優勝をすればタイムもついて来ると思います。初めてのコースで計算できませんが、先頭にいればタイムも良くなるはず。4年前の東京では30km通過が遅くて前に出ましたが、遅かったらそういうレースをして、2時間09分30秒を切って内定がとれたら一番いいですね。
入船 2時間09分30秒で(日本人)1位なら内定ですが、僕の自己記録は2時間09分58秒。優勝するか優勝争いをすればタイムはついてくる。力を出すことが大事です。途中のラップを見て“2時間09分30秒いかない”と思うのでなく、どこまで通用するかに挑戦したい。
佐藤 目標タイムは設定していません。先頭集団でレースの流れに乗って、きつくなってからが勝負です。きつくなったところで1つ1つ乗り越えていけば、結果がついてきます。
徳本 スタート地点は朝練習などで走っていますが、風が吹いたり気候の変化が激しい。今回も風が強かったら記録は厳しい。風が出なければ記録は出やすいと思います。勝負は35km以降。そこまで自分がついていけるかどうか。30kmまではついていけると思います。残り12kmをどう粘れるか。3人に勝てるとは思っていませんが、チャンスがあれば勝ちたい。

「最後は這ってでもフィニッシュするのが世界への近道」(徳本)
Q.(質問不詳)
徳本 2時間10分から12分の間、12分台なら合格点です。最終調整で5000mを14分10秒で楽に行きました。これは速すぎだ、と。(ペースに関しては)監督から小さな設定をするな、とも言われています。目指すのは世界だろう、と。ついて行って、最後は這ってでもフィニッシュするのが世界への近道だと。その通りに走りたい。
Q.(質問不詳。ケガについて)
徳本 ひざを手術して半年間感覚がなく、接地してどうなっているのかもよくわかりませんでした。今は走っているときは気になりませんが、走ったあとに違和感はあります。痛みの割合で言ったら2割くらい。神様がいるのか運がいいのか、こうしてマラソンを走れるところまで戻って来られました。
Q.確認のため、一番最近のレースを教えてください。
油谷 マラソン練習に入ってからはニューイヤー駅伝2区の22kmと、調整を兼ねて丸亀ハーフに出ました。
入船 アジア大会のあとはニューイヤー駅伝です。
佐藤 福岡のあとはニューイヤー駅伝と、朝日駅伝、全国都道府県対抗男子駅伝です。
徳本 ニューイヤー駅伝だけです。
Q.徳本選手は一番長い距離を走ったのは、レースではどれですか。
徳本 大学の箱根駅伝と、今回のニューイヤー駅伝の22kmが試合では一番長いと思います。
Q.油谷選手はハーフマラソンや駅伝とマラソンでは、レースに臨む気持ちがどう違いますか。
油谷 駅伝やハーフマラソンはスピードを入れていけば走れますが、マラソン練習は3カ月くらい前から行います。40km走など距離走や、途中で脚に痛みが出たり疲れが出て走れなくなることもあります。しかし、練習をしないとマラソンは走れない。3カ月みっちり練習をしてきた分の思い入れがあります。走れなくなったら練習が無駄になってしまいます。そういったこともあって、マラソンを走るときの気持ちは違います。一方、駅伝は個人のレースではないので、そういった意味でのプレッシャーは大きくなります。


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