2007/4/14 日大東海大対校
4×100 mR39秒57
末續3走の意味は?
「日本短距離陣の引き出しを増やし、どこを開けても完成度が高くしておきたい」
男子4×100 mRには塚原直貴(東海大)、高平慎士(富士通)、末續慎吾(ミズノ)、大前祐介(富士通)の日本代表(※)がオープン参加。格の違いを見せつけて両大学を圧倒し、39秒57でフィニッシュした。“いつもと違う”光景は、末續が3走を走ったこと。大学2年で出場したシドニー五輪(2走・伊東浩司、4走・朝原宣治)以来のことだった。
4×100 mRのエースは直線(2・4走)が常識だが、他のメンバーの特性と、末續のコーナリングの強さを考慮したとき、どの組み合わせが最もタイムを短縮できるか。一概に“末續直線”と決めつけることはできない。今回のリレー出場は陸連合宿の一環だが、合宿に入った際に末續自身が3走を希望した。
「日本代表でやったことのない走順はありませんが、走力がついてからの3走は初めて。シドニーのときの走り(決勝で負傷)を払拭しないと」と末續が言えば、他の選手たちも「今日の走順は“わがまま”ですから」と補足説明する。ただ、ここまでは冗談調。末續が志願したのに、理由がないわけはない。いつもの口調だったが、末續がリレーに懸ける意気込みを次のように話した。
「大阪の世界選手権は日本短距離界の総力を挙げて戦う大会。そういった場では何があるか、どこを走ることになるかわかりません。ヘルシンキ世界選手権のようにいきなり1走ということもあります。そういうのを頭の中に入れて、誰が走っても、誰が走ってきても大丈夫という状態にしておく必要があります。日本短距離陣の引き出しを増やし、どこを開けても完成度が高くしておきたい。(アジア大会で優勝した)タイはずっと同じメンバー、同じ走順で強くなっていましたが、それだけでは世界では勝てません。(日本は)どの組み合わせでもそのくらいの完成度にするのが狙いです」
大阪GPでは3走の可能性もあるし、2001年以降に定着している2走で行く可能性もあるという。「末續の3走も、もう1回見てみたい気もする」と高野進コーチは話すが、大阪GPの前にも短期合宿を行い、各選手の状態を見て決めていくことになりそうだ。
「大阪GPは今日よりもプラス1秒は行きたいですね。タイが出場するので、胸を借りてステップにしていきたい。ただ、日本の4×100 mRはある種の積み上げができているし、選手にも自信がある。やれる感触を一歩一歩、確信に高めていく必要がある。それが大阪GPのリレーであり、その後は日本選手権に向けて個人個人が高めていく。アジア大会前からオンとオフを取り混ぜてやってきましたが、これからは代表を奪い合う段階に入っていきます」
その大阪GPでは100 mを予定している。目標タイムを問われると「10秒前後で行きたい」と答えた。「でも、(現時点ではまだ)想像つかないですね。(想像するための)チェックもこれからです」
なお、今季の世界選手権までの試合は大阪GP、日本選手権に絞るという。
「昨年はたくさんの試合に出て、タフな精神力と身体をつくるのが目的でした。下の方の記録をバンバン上げて、アジア大会の金メダルだけはしっかり押さえて。今年は逆に、ピンポイントで合わせていきます。末續の場合、本当に記録を狙うときは貯めてやらないと」と、高野コーチ。
パリ世界選手権で銅メダルを獲得した2003年も、日本選手権から世界選手権までは試合に出なかった(手元の資料では水戸国際→大阪GP→日本選手権→世界選手権)。末續を見るチャンスはしばらく、長居競技場だけということになる。
※プログラムは代表という表記だが、今大会のチームは正規の選考を経た公式大会の代表ではない。“日本選抜”という言い方が妥当か。毎日新聞は“日本代表クラス”と表記。
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