2007/10/17 ナチュリル記者発表会
丹野とともに松田も入社
ナチュリル&福島大コラボの象徴


「すごく悩みましたが、そのときに思ったのが、自分は陸上競技が好きなんだということ」
 ナチュリルの2008年度新加入競技者記者発表会が、東京都大手町で行われた。丹野麻美(福島大)は女子400 m日本記録保持者であり、今夏の世界選手権では準決勝にまで進んだ選手。数社から引く手があったという。それよりも、松田薫(福島大)を採用した点に、ナチュリルという会社の陸上競技に対するスタンスがよく表れていた。

 高校から大学1年時に活躍した松田。03年の長崎インターハイは100 m4位、200 m2位。大学1年時は200 mで日本選手権3位となり、世界ジュニアに2種目で出場した。
 だが、大学2年以降はこれという活躍がない。日本インカレも3・4年時は決勝に残れなかった。100 mのベスト記録11秒81は高校3年時のインターハイ準決勝、200 mの24秒11は大学1年時の日本選手権でのもの。
「2年生になる前に肉離れをしてしまいました。治った後は思い切った走りができなくなって、精神的に弱いところが出てしまったと思います」

 通常の実業団では、採用されない成績である。松田も自身の成績から、実業団で競技を続けることに二の足を踏んだ。
「続けたいとは思っていましたが、成績が伴っていないので不安が大きかったんです。すごく悩みましたが、そのときに思ったのが、自分は陸上競技が好きなんだということ。(今は)しっかりとした環境で競技を続けられることに喜んでいます。目標は、日本の中で戦える選手になることです」

 ナチュリルが松田のような選手を採用するのは、「10年スパンで選手を育てたい」という考えを持つ川本和久監督の方針に賛同したからに他ならない。川本監督とともに会見に同席した吉田真希子室長は、「潜在能力の高さを感じた選手です。切磋琢磨していけばすごい選手になる」と松田の将来性に言及した。
 福島大で練習する環境は大きく変わらない。変わるのは陸上競技中心の生活ができる点と、師弟関係の密度。川本監督は学生と卒業生では、コーチング・スタイルを大きく変えているという。「学生に対してはチームとして、全体的な指導になりますが、卒業生には1対1の関係になります。相互理解、信頼関係が強くなる」と同監督。

 松田も「(技術的な部分を)最近は少しずつ、考えて走れるようになりました。環境が変わって、先生との距離も近くなりますから、どんどん見つけて行きたい」と前向きである。丹野に注目が集まるのは当然だが、松田が力を伸ばしていけるかどうかが、ナチュリル&福島大コラボレーションの成果が問われる部分である。


寺田的陸上競技WEBトップ