2007/7/8 札幌国際ハーフマラソン
前半の超ハイペース・男子編
モグスは世界記録に迫り
佐藤は10kmまで日本記録を上回る
|
モグス
2007札幌 |
ワンジル
2007デンハーグ
世界記録 |
カビル
2002札幌
大会記録 |
佐藤敦之
2007札幌 |
高橋健一
2000東京シティハーフ
日本記録 |
5km |
13:50 |
13:50 |
13:40 |
13:40 |
14:27 |
14:27 |
13:51 |
13:51 |
14:11 |
14:11 |
10km |
27:43 |
13:53 |
27:27 |
13:47 |
28:58 |
14:31 |
28:10 |
14:19 |
28:20 |
14:09 |
15km |
42:06 |
14:23 |
41:30 |
14:03 |
43:23 |
14:25 |
43:08 |
14:58 |
42:50 |
14:30 |
20km |
56:50 |
14:44 |
55:31 |
14:01 |
58:14 |
14:51 |
58:26 |
15:18 |
57:26 |
14:36 |
フィニッシュ |
59:54 |
03:04 |
58:35 |
03:04 |
1:01:11 |
02:57 |
1:01:38 |
03:12 |
1:00:30 |
03:04 |
上の表からわかるように、今年の札幌は前半が超の着くハイペースだった。
まずは男子優勝のメクボ・モグス(山梨学大)。10km通過が27分43秒とトラックの自己記録(27分44秒94)とほぼ同じハイペースだった。
「10kmまでタイムは見ませんでした。10kmで見たら、ちょっと速かった。2月の丸亀(58分48秒)は28分01秒の通過。今日の方が全然速かった。これは(後半)、ちょっと下がるかなと思った」
今年の箱根駅伝2区では10km通過を丸亀よりもさらに速い、27分20秒で飛ばして終盤で失速。区間6位に終わった。気象条件もコースの起伏も違うので単純比較はできないが、そのときよりは抑えたのだろう。
今回の目的は「勝つこと」だった。同学年のサムエル・ワンジル(トヨタ自動車九州)が今年3月に出した世界記録は、狙っていなかったという。
折り返し後は向かい風と、終盤の上り坂でペースダウン。丸亀で出した59分48秒を更新することはできなかったが、ハーフの距離を確実に走りきる力は身につけた。
佐藤敦之(中国電力)はモグスの後ろにつき、5kmを13分51秒で通過。
「スタート後はそれほど速く感じませんでしたし、(トラックでスピードを追求した)シーズン前半の延長で行こうと考えました。つぶれてもいいからやってきたことを生かそうと。日本選手権(1万m9位)で力を出し切れなかったので、今回は思い切ったレースをしようと思いました」
モグスからは5km過ぎに離れたが、10kmを28分10秒というハイペース。別表のように高橋健一(富士通。現コーチ)の日本記録を上回るペースで飛ばしたが、そこでも佐藤は“速すぎる”とは思わなかったという。
「自分でタイムの壁を作るのはアホらしい。大丈夫と言い聞かせました。上を目指すのなら、高いレベルで勝負をしていかないといけません。そのくらいで行って当たり前、という気持ちで行きました」
後半はモグス同様、向かい風と上り坂でペースを落とした。ギルマ(SUBARU)にも最後は競り負けたが、揺さぶりに何度も耐え、自ら仕掛けるシーンも数回あった。フィニッシュではガッツポーズ。ハイペースで突っ込んでも、力をきっちり出し切ったという達成感があったのだろう。
上のコメントにもあるように、今回のレースに向けて佐藤は、持久的なトレーニングをほとんどやらずに臨んだ。
「30kmは1回だけで、スピードだけでどこまで行けるかを試したかった。わざとスタミナをなくした状態にして、ここでハーフを走れれば、このあとのスタミナづくりに入って行きやすい。昨年、何も走れないところからやっていった経験を生かせると思うんです」
これまで、トレーニングでは質と量の両方を求めて、疲労を蓄積することも多かったという。
「同じ刺激だけやっても体は反応してくれません。あえて逆の刺激をつくってみました。できると思えるものを、つかむことができました」
今後は福岡国際マラソン出場の方向で、トレーニングを進めていく。殻をなかなか破れないでいる佐藤が、どういう成果を得ることができるか、大いに注目される。
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