2007/1/1 ニューイヤー駅伝
佐藤が5区で大逆転の激走
現行コース7年間の5区を分析すると
5区は傾向として、同じエース区間の2区と比較した場合、集団で進まないこともあり、タイム差が大きくつきやすい区間である。
その5区で佐藤敦之(中国電力)が凄まじい走りを見せ、中国電力に2回目の優勝を引き寄せた。タスキを受けたとき、トップの日清食品とは2分17秒差。「正直、勝てないと思った」と佐藤が言うのも仕方がないくらいの大差だった。「とにかく前半を突っ込んで、差を縮めよう」と走り出した(通常なら、1kmや3kmの入りのタイム、5km通過などを紹介するところだが、ニューイヤー駅伝の途中計時については、本WEBでは示さない方針である)。
5kmで日清食品・大島健太が佐藤の視界に入った。「このペースにはまれば行ける」。佐藤は無理ではないハイペースを維持した。対する大島は「5kmの自分のタイムを見てギョッとした」と言う。自分が感じていたタイムより、30秒以上も遅かったのだ。
佐藤は12km過ぎで旭化成・小島忠幸を抜くと、15km手前で大島を抜いた。
「抜くときは一気に行きました。“ダメだ”と思わせるためです」
6区への中継では日清食品に22秒差をつけていた。
45分14秒は現行コースとなった2001年以降では、坪田智夫(コニカミノルタ)の区間記録に次ぐ歴代2位である。だが、ニューイヤー駅伝は風の影響で記録が大きく違ってくるので、純粋なタイム比較は意味をなさない。そこで、下記の表のように区間2位とのタイム差(今回でいえば坪田との差)と、5区スタート時にトップを走っていた選手とのタイム差(今回でいえば大島との差=トップを何秒追い上げたか)を比較してみた。
現行コースとなった01年以降の5区タイム差
大会 |
1位選手 |
1位記録 |
順位変動 |
トップ記録※ |
追い上げ |
2位選手 |
2位記録 |
1・2位差 |
優勝 |
優勝記録 |
2001 |
藤田敦史・富士通 |
0:48:07 |
2位→2位 |
0:48:19 |
0:00:12 |
松宮祐行・コニカ |
0:48:19 |
0:00:12 |
コニカ |
4:49:44 |
2002 |
坪田智夫・コニカ |
0:44:57 |
2位→1位 |
0:46:32 |
0:01:35 |
藤田敦史・富士通 |
0:45:45 |
0:00:48 |
コニカ |
4:45:32 |
2003 |
坪田智夫・コニカ |
0:45:17 |
1位→1位 |
0:45:17 |
0:00:00 |
太田 崇・NEC |
0:46:26 |
0:01:09 |
コニカ |
4:44:48 |
2004 |
佐藤敦之・中国電力 |
0:45:50 |
2位→1位 |
0:48:16 |
0:02:26 |
徳本一善・日清食品 |
0:47:21 |
0:01:31 |
中国電力 |
4:47:03 |
2005 |
佐藤敦之・中国電力 |
0:46:31 |
5位→2位 |
0:47:56 |
0:01:25 |
松宮祐行・コニカミノルタ |
0:47:56 |
0:01:25 |
コニカミノルタ |
4:48:57 |
2006 |
油谷 繁・中国電力 |
0:45:46 |
8位→2位 |
0:47:47 |
0:02:01 |
松宮祐行・コニカミノルタ |
0:45:54 |
0:00:08 |
コニカミノルタ |
4:44:54 |
2007 |
佐藤敦之・中国電力 |
0:45:14 |
7位→1位 |
0:47:53 |
0:02:39 |
坪田智夫・コニカミノルタ |
0:46:26 |
0:01:12 |
中国電力 |
4:47:02 |
※トップでタスキを受けた選手の区間タイム
過去7回の大会のうち、5区で区間賞を取ったチームが優勝したのは4回。そのうち3回が区間2位と1分以上の差をつけている。残りの1回が坪田の区間新の時で48秒差をつけている。トップ選手の追い上げでも、坪田がトップでタスキを受けた03年を除き、平均すれば2分以上の追い上げを5区選手が見せているのだ。
ただ、05年、06年と中国電力の5区選手が、激しい追い上げを見せたが優勝できなかった。レースの流れもあることなので絶対とは言えないのだが、5区で他を圧倒する走りを見せたチームは、優勝に近づくことになる。
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