2007日本選手権種目毎展望
長距離編

男子5000m
 日本歴代2位をマークしたばかりの三津谷祐と、今季無敗の上野裕一郎が激突する。P★の記事にあるように、上野がラストで勝負する自分のパターンを確立した。記録を狙って焦るようなことはなく、日本選手権も勝ちに行くだろう。三津谷もスピードはあるが、ラスト勝負ではやや上野に分がある。リズムに乗る中盤で引き離すか、13分30秒を切るくらいのハイペースの上でのラスト勝負に持ち込みたい。佐藤悠基が標準記録を破っている5000mで勝負に出てくれば、さらに盛り上がる。瀬戸智弘、中村悠希らの挑戦も期待したい。

 と陸マガには書いたが、日本インカレで上野は5位と敗れた。優勝した竹澤健介(早大)とは約7秒差。4月に1万mでA標準突破を果たした竹澤の評価を上げる結果だったが、レース展開をよく見ると上野にも可能性が感じられた。3600m付近で先頭から後れを取り始めたのだが、最後の1000mは2分39秒でカバーした。優勝した竹澤とも1.5秒くらいしか違わなかった。「どんな展開でもラスト1000mを2分36秒で」と話していた数字とは3秒の開きこそあったが、きっちりと走りきっていた。
 とはいえ、優勝者予想は日本歴代2位を出した三津谷。総合力を買った。3000mから4000mで押して行く力は一枚上だろう。
 関東・日本両インカレで不調だった佐藤悠基は、未確認だが日本選手権狙いだったという情報もある。ピークを合わせることができていれば、ひょっとするかもしれない。


女子5000m
 初日に1万m、最終日に5000mという日程なので、福士加代子が4年連続の2冠に挑戦するだろう。スローペースにしてラスト勝負のシミュレーションをするかもしれないが、独走に持ち込む可能性の方が高い。気象コンディション次第で、国内2度目の14分台を期待できる。
 杉原加代が1万mと2種目でB標準を突破している。ライバルの数でいったら5000mの方が少ないが…。小林祐梨子もB標準を破っているので、ここで2位になって日本選手権後にA標準を狙うことも可能だ。その点、赤羽有紀子はこの種目に懸けていると思われる。


 昨年B標準突破の那須川瑞穂、中村友梨香が今季、これという走りを見せていないが、中村は岡山県選手権で15分44秒37と上向き。正直、福士以外はわからない。織田記念だけしか出ていない新谷仁美や小崎まりが、一気に上がってくる可能性もある。日程が3日目なので、1500mの翌日。小林祐梨子や吉川美香が乗ってくる可能性は、それ以上にある。


男子1万m
 昨年は標準記録突破ゼロだった種目だが、4月に竹澤健介がA標準を突破。B標準突破も4人を数える激戦種目になった。ただ、ABの組み合わせで2人まで出場できるので、レースは勝負優先になるだろう。そうなると、ロングスパートに強い選手、あるいは最後の直線勝負に強い選手が有利となるが、正直に言ってこのメンバーで誰が該当するのかわからない。経験豊富なのは大森輝和で、今季の勝率で言えば前田和浩、純粋にラストに強いのは北村聡という印象だが。竹澤も関東インカレ5000mの最後で上野を追い込んでいる。

 と陸マガに書いたように、優勝者を予想するにはどの選手も決め手に欠けた。そこに、ロッテルダム・マラソンで好走した松宮隆行(コニカミノルタ)が、ホクレン士別大会で13分35秒31で走った。渡りに船というタイミング。優勝者予想は松宮隆とさせてもらった。
 日本インカレの5000mで見せたような落ち着いた走りができれば、竹澤健介にも可能性を感じさせる。


女子1万m
 福士加代子が6連勝に挑む。今季はエチオピアで2度合宿。その成果がどう出るか。日本新が最良の結果だが、そこは気象コンディションに左右される。終盤のロングスパートで安全に勝ちに行くパターンか。
 日本記録保持者の渋井陽子が、日本記録を出した5年前と同じスピード練習ができているという。打倒・福士への意欲も十分。福士の他には高校生の絹川愛と、脇田茜がの2人がA標準を突破済み。しかし、B標準突破者も、3位以内に入れば代表入りが可能。A標準選手も3位以内に入らないといけない理屈になる。


 陸マガに名前を挙げた以外では、宮内洋子(沖電気)が強くなった。あとは、大島めぐみ(しまむら)が復調した気配がある。松岡範子(スズキ)もゴールデンゲームズinのべおかの5000mでいい感じになってきた。


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