2007/12/2 福岡国際マラソン
佐藤が2時間07分13秒の日本歴代4位!
レース後の共同会見から抜粋


「今までならガクンとペースが落ちたところで耐えられました。スピードの絶対値が上がり、力まなくなりましたし」
Q.思ったよりも早い仕掛けでしたが。
佐藤 ペースが遅く、ペースメーカーにもペースアップ、ペースアップと叫んでいました。その方が自分のリズムに合うので。最初は重くて大丈夫かな、と思いましたが、20kmからやっと身体が動いてくれた。伸びのある動きで、今日は行けるかな、と思いました。ワンジルのスパート後は途中まで行けていましたが、その後、行けなかったのが反省点です。しかし、今までならガクンとペースが落ちたところで耐えられました。スピードの絶対値が上がり、力まなくなりましたし、3位でしたが自己新も出せました。それと、これまで1人で試合に臨んでいったときは、入れ込みすぎて怖い顔になっていたようです。今回は1週間前から美保が一緒にいてくれて、シチューや粕汁などの食事もおいしく作ってくれて、リラックスができました。合宿した裏磐梯の旅館の方も馬刺を送ってくれました。皆さんに感謝をしたいと思います。

「これからマラソンを走るのが怖くはなくなります」
Q.フィニッシュしたときの気持ちは?
佐藤 優勝したことがないので、優勝したかった気持ちはありますが、今までダメレースばっかりだったので、そこからやっと抜け出せました。今まではマラソンを走るのが怖くて怖くて。これからマラソンを走るのが怖くはなくなります。周りからもなんで練習であれだけ走れるのに、と言われ続けてきましたが、これでもう何も言われずにすみます。
Q.33kmで前に出たのは?
佐藤 この3人で1位、2位、3位になると思ったので、とりあえず行こうと。
Q.折り返し前から後ろを振り返っていましたが。
佐藤 確認はしておこうと。最低日本人1位はとらないといけなかったので。25km過ぎで油谷さんの顔を見たら紅潮していて、藤田さんの反応も鈍っていた。みんな25kmを過ぎて前に出ようとしないし、ペースメーカーが行けば開くので、きついんだなと。前に着くようにして走りました。あとは自分を見失わなければ行けると。いつもはきつくなるところで、今日は周りを見ることができました。
Q.(質問不詳)
佐藤 今までは22〜23kmでつくのがいっぱいになるんですが、その時点で今日は脚に力がありました。サムエル(ワンジル)にはつけませんでしたが、サムエルもワールドクラスの選手です。あそこでもう1回つければ、メダルが取れます。その力をつけたい。
Q.スタート時の気持ちは。
佐藤 緊張しましたよ。走れる確信はなかったので。でも、今回は不思議とかっかしないで、「眠いなぁ、前半寝てようか」と思うくらいに余裕がありました。緊張したり笑ったり、自分でもどっちなんだろうと思っていました。

「こうあるべきと構えすぎて、疲れてしまっていた。今回は普段通りにやろうとしました。それをサポートしてくれたのが美保です」
Q.これまでの失敗は、どうしてだったと分析しますか。
佐藤 陸上競技とかマラソンを、大きなものと構えすぎていました。マラソンのために集中しないといけない、体重を落とさないといけない、これ食べるの我慢しないといけない。こうあるべきと構えすぎて、疲れてしまっていました。今回はその逆をやろう、普段通りにやろうとしました。それをサポートしてくれたのが美保です。2人でいたら笑っていられる。自分は真面目そうに見られますが、走るとき以外はそんなんじゃありません。自分を出していることで、自ずと結果はついてくる。彼女も「敦之は強い」とずっと言い続けてくれましたし、彼女のレースぶりが参考になりました。レースになったらいつも、腹が据わっているんです。それに対して自分は、いつもオドオドしている。そんなんじゃダメだとわかりました。北京に自分が引っかかるのと、まったくダメなのでは、美保のモチベーションもまったく違ってきます。夫として美保にいいところを見せようという気持ちが大きかったです。
Q.坂口泰監督にはどんな気持ちですか。
佐藤 苦手ですけど(笑)、(厳しい言葉の)裏には温かさもあったんだと、わかりました。自分が子供で、なかなかわからなかった。本当に感謝したいと思います。

佐藤美保さんコメント
「結婚して、夫婦になって、絆がすごく強いものになったと感じています」
「本当に大事な試合が1つ終わって、ホッとしています。スタートと18km、29.5kmとその地点での折り返し後、それからゴールで応援しました。こちらには気づかなかったようですが、その代わり、『ボトルに書いた言葉を見たから』と言ってくれました。このときはこういう気持ちだろうと想像して、少しでも力になれたらと心を込めて書きました。
 今回、すごく安心して見ていられました。付き合っている当時と、夫婦では感じが違うな、と。多少、ドキドキはありましたが、安心して見ていられました。
(指輪にキスしてくれたことは)頑張ってきてくれた証を残してくれたんだと思います。嬉しかった。その姿やそういう勇気を、私も受け継いで、北京を目指したいと思います。
(北京を先に決めると言っていたことは)気負いにならないように、考えすぎて良くない結果に終わらなければいいけど、とは思っていました。以前と比べたら表情が変わっていると周りの方が言ってくださって、多少は気持ちの面が変わってくれているのだと思います。
 私は少しでも力になれていればいいな、とやってきました。結婚して、夫婦になって、絆がすごく強いものになったと感じています」


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