2007/11/30 福岡国際マラソン前々日
日本選手ビッグ4が会見
4人とも“新たなパターン”に手応え


佐藤「結婚を機に、気持ちが変わった。変わった自分で思い切り走り抜けたい」
Q.(代表質問)高岡選手は初マラソンの2001年と2003年が福岡ですが、今回に懸ける意気込みは。
高岡 だいたい計画的な流れで来ています。選考会はここにして、次につながればと考えて福岡を走ってきました。今回はしっかりと結果を残して、目標とするところにたどりつきたい。
Q.(代表質問)藤田選手は3年連続の福岡で、2001年にはコースレコードの2時間06分51秒でも走っています。今年の福岡に懸ける意気込みは?
藤田 初めて走った福岡で日本最高を出すことができ、ゲンの良い大会ととらえています。今回は選考会だからどうのこうではなく、いつものマラソンのレースという感覚で、最善を尽くしたいと思います。選考会だからと硬くならず、いつものマラソンに臨むつもりで走ります。
Q.(代表質問)油谷選手は意外にも福岡は初出場ですが、どんな意気込みで初めての福岡を走りますか。
油谷 福岡は初めてですが、それはチームの事情があったからです。尾方(剛)さんが毎年福岡に出ていましたから、それとかぶらないようにしていました。いつか出てみたいと思っていた大会です。走ったことはありませんが、記録の出やすいコースだと思うので、記録も狙っていきたいですね。
Q.(代表質問)佐藤選手は2001年以来2度目の福岡ですが、今年はハーフマラソンで日本記録を出すなど好調ですし、私生活も結婚をされて充実していると聞きました。何を目標に福岡を走りますか。
佐藤 ずっと福岡で勝負をしたいという思いがあって、それが実現することがまずは嬉しく思います。結婚を機に、気持ちが変わった感じがあります。大会当日は、変わった自分で思い切り走り抜けたい。

藤田「今回はまた、新たなスタイルで臨んでいる」
Q.(代表質問)過去のマラソン(練習)と何か、変えた点がありますか。
高岡 昨年、1年近く故障をしていて、今年もトラックレースができなかったぶん、マラソン練習が長くなりました。そのなかで距離とスピードを上手く織り交ぜて、ここまで持ってこられたと思います。
藤田 過去2年の福岡は追い込みすぎて、試合当日に合いませんでした。それを考慮して追い込まないスタイルを別大で試して、今回もそれに近い流れで来ています。ただ、走り込み段階では例年と同じか、それ以上にやってきました。今回はまた、新たなスタイルで臨んでいるといえると思いますので、結果が自分でも楽しみです。
油谷 毎年、夏に走り込みをしていますが、今年はそのままマラソン練習に入ったことがちょっと違います。今までの東京とびわ湖は、ニューイヤー駅伝をはさんでマラソン練習をしていました。駅伝が入ること自体は気にしませんが、今回は、そこもちょっと違います。
佐藤 (2月の)別大は思い切りが足りなかったので、試合と練習でときどき思い切りを加え、そのことで絶対値が上がりましたし、積極的に行けるようになりました。スタミナ練習は普段のマラソンと同じですが、余裕を持ってやるように心掛けています。

油谷「優勝をしたことがないので、優勝したい」
Q.北京五輪の選考会ということで、日本人トップを取ることも大事になりますが、レースを進めるときあくまで優勝を狙うのか、日本人トップを意識するのか、どちらでしょうか。
高岡 大会に参加する以上、勝ちたい気持ちを持ってレースをします。確かに、日本人トップになることは重要ですが、その日のレースの流れで判断していきます。
藤田 まったく同じで大会に参加する以上、一番を目指して走ります。選考会ということは特に考えず、最善を尽くしてやりたい。
油谷 ほとんど同じで、出る以上は優勝を目指して走りたい。優勝をしたことがないので、優勝したい。
佐藤 私も優勝経験がないので、初優勝を狙いたい。

高岡「(4年前と比べ)マラソンに詳しくなった。練習過程も含めて、上手くつきあえるようになった」
Q.4人とも、4年前の選考会当時もすでにトップ選手でしたが、4年前と比べて自身のどこが強くなったと思いますか。どこが変わったと思いますか。
高岡 4年前の選考会(福岡)はマラソン3レース目で、自信を持っていたスピードと、勢いで代表になれると思っていました。4年経って、(2005年の)東京で勝つことができましたし、4位でしたが世界選手権の戦いも経験できました。マラソンに詳しくなったと思います。練習過程も含めて、上手くつきあえるようになった。それが成長だと思います。
藤田 国内の選考会は初めてで、4年前と変わったかはわかりません。僕自身の変化でいえば、ひと言でいえばやわらかくなりました。以前は頭がガチガチで、先入観だらけ。最近は色々な方向を探して、可能性を見つけられるようになりました。
油谷 オリンピック(5位入賞)を走ってから、結果だけを見たら弱くなっていると、自分でも思ってしまいますが、練習は昔と変わらないくらいにできています。以前は疲れをあまり気にせずやっていましたが、今年の夏は走り込みすぎたのか、暑さも手伝ってか、疲労がなかなか抜けませんでした。体のケアを夏からすごく大事にするようになりました。
佐藤 フォームがやわらかくなりました。力まなくなりました。周りからも言われますし、自分でも感じています。結婚して心の支えもでき、気持ち的にも落ち着けています。気持ちをやわらかくしてもらえるので、助かっています。

高岡「4年後はないと思っていたので、4年たってまた、勝負ができるのが嬉しい」
Q.高岡選手は4年前の3秒(3秒前の2位でフィニッシュした諏訪利成=日清食品=がアテネ五輪代表となり)を、今となってはどう考えていますか。
高岡 4年前はこの大会を過程として、通過点として、オリンピックにつながればという思いが強かったですね。結果的に2位でもオリンピックに行けたわけですが、そのときの目標はあくまで勝つことでした。勝てなかったことが、一番残念でした。そのときは、4年後はないと思っていたので、4年たってまた、勝負ができるのが嬉しいです。オリンピックの選考会はトラックを含めて4回目。(全部が)延長線上でできていることが、僕の中ではモチベーションになっています。
Q.他の3人はみんな30歳前後で、37歳という年齢でオリンピックを狙うのは、過去の日本人では例がないのでは?
高岡 37歳なんですが、気持ちは若い選手とかわらないつもりでいます。まあ、数字だけではなく、年齢に見合ったレースができることを心掛けています。

藤田「ライバルとかではなく、胸を借りるつもりで走ります」
Q.代表枠は3つ。あらためて、ライバル意識をどのくらい持っているかということと、オリンピックへの思いをお話しください。
高岡 本当に皆さん、調子の良いような話しか聞こえてこないので、負けないように挑戦するだけです。マラソンでオリンピックで勝負に行きたい気持ちは、みんな持っていると思いますが、僕も(負けないくらいに)持っています。挑戦したいと思います。
藤田 僕以外の3人は、実力も実績も十分に持っています。その点僕は、国内選考レースは初参加。ライバルとかではなく、胸を借りるつもりで走ります。挑戦させていただく心境です。オリンピックも出たことはなく、たどり着くことが夢です。行ってみたいとは思いますが、北京に行くための福岡ではなく、まずはこの福岡で頑張りたいという気持ちです。
油谷 本当に良いメンバーが揃いました。このメンバーで勝ってこそ価値がある。福岡に決めた理由は、高岡さん、藤田選手、佐藤が出ると聞いて、自分も最終的に決めました。こうして、揃って会見に臨めるのは嬉しいことですし、このメンバーで走るのは楽しみです。オリンピックは前回が5位でメダルが取れませんでした。(次は)メダルをとの思いがありますが、アテネ以後は満足な結果を残せていません。まずは福岡で自信となる結果を残し、代表に選ばれたらメダルを目指します。
佐藤 福岡に強い選手たちが集まるということで、福岡にしました。やり甲斐がありますから。強い選手たちの間で、自分の力をいかに発揮できるか、わくわくしています。アテネは出られないで、テレビで見ていました。自分も出たいな、と思ってみていました。今回、良い走りをして切符を取りたいですね。


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