2007/12/22 全国高校駅伝前日
区間エントリー発表
世羅が前半型オーダー
仙台育英、西脇工、佐久長聖は後半勝負に持ち込めるか
両渡辺&両角監督のコメントを紹介

 13時からの監督会議後に、全国高校駅伝の区間エントリーが発表された。男子有力校のメンバーは以下の通り。

高校 1区 2区 3区 4区 5区 6区 7区
世羅 ビタン・カロキ 山崎諭弘 鎧坂哲哉 中原 大 大工谷秀平 北 魁道 竹内一輝
仙台育英 上野 渉 山野友也 ポール・クイラ 川上遼平 斉藤貴志 棟方雄己 橋本隆光
豊川工 三田裕介 水野眞治 早川智浩 長坂公靖 小嶌裕貴 正木 翔 鶸田雅哉
西脇工 八木勇樹 福士優太朗 志方丈典 渡辺真矢 仁木崇寛 細川勇介 新庄浩太
佐久長聖 村澤明伸 長瀬貴幸 佐々木寛文 千葉健太 藤井 翼 佐々木健太 堂本尚寛
那須拓陽 岩崎耕三 郡司貴大 小高悠馬 星 孟宏 大森一輝 佐藤陽平 手塚佳宏
埼玉栄 後藤田健介 宮澤隼平 服部翔大 市塚 遊 根岸靖史 高柳祐也 田倍憲人

 前回優勝の世羅は予想通り、1区にカロキ、3区に鎧坂、4区に中原と、前半でリードを奪いたい布陣。岩本監督も「1区で流れに乗りたい。4区までで1分から1分半(リードが)あればいいのですが」と明言。
 6・7区は5000mが14分50秒前後。他の有力校に比べるとやや劣る。「最後の2区間は並ばれたら終わりです」と言う。ただ、その2区間はともに1年生。本番での成長が最も見込める年代でもある。
 世羅が2連覇をするとしたら、前半で大きくリードするか、1年生の成長があったとき、ということになるだろう。

 世羅が前半でリードするのは、すべての有力校監督は想定している。後半、あるいは終盤の勝負になれば勝機あり、と考えている(それがどのくらいの確率で実現できるかは別として)。
 前回は3区で逆転された仙台育英・渡辺高夫監督は「4区が終わって40秒がデッドライン」という表現。ただ、クイラの脚の状態で1区に起用できなかった。「下りに不安があるが、上りだけの3区ならキチッと走れる」と渡辺監督。
 1区は2年生の上野。それでも、「29分40秒くらいでは行く。40秒差なら3区で取り返せる」と強気なコメントも。仙台育英のV奪回は、上野の走りとクイラの脚の状態次第という感じだろうか。

 西脇工高の渡辺公二監督は「5区までに20〜30秒差なら、5・6・7区でつかまえられる」と話す。ただ、「今年のチームはハートが弱い。(県予選の2時間4分台も)たまたま出た記録」と言う。西脇工の1年生(志方)長距離区間の起用は28年ぶりだというが、「いくら強くても1年生が1・3・4区を走ったらダメでしょう」と言う。
 エースの八木勇樹は外国人選手に着いて行く可能性もあると思われたが「着いていけないでしょう」と否定する。「国体はスローペースで勝てましたが、明日それをやったらオーバーペースで6〜7kmでつぶれてしまう」
 直前の状態は、外国選手のハイペースに対応できるほど上がっていないということだろうか。八木に精神的な負担をかけまいとしている可能性もある。
「トラックなら1人の問題ですが、駅伝になると良い位置でタスキを渡さないといけないと考えてしまう。(タスキが)20kgにも30kgにも感じてしまうことがある。1人でやらんでも7人でやればいいんです。1人で10秒返せば、6区間で1分返せる」

 佐久長聖の両角監督は「6区終了時点で10秒差なら」と、区間、秒差とも細かい数字を挙げた。「相手あってのことなので(細かい展開は)わかりませんが、ウチはウチなりの走りができる仕上がりにはなっています」
 佐藤清治、上野裕一郎、佐藤悠基ら、スーパーエースが存在したチームだが、今季は2年生の村澤が国体5000m5位とはいえ、歴代のエースほどの存在になってはいない。と、同時に、「1年生が入らなかったのも初めて」だと両角監督。14分30秒07の大迫傑が外れるほど、上級生が充実しているということだ。アベレージ的な強さは過去最高ではないか。
「スーパーエースがいてどうこうというものでもないでしょう。それに頼り切るのもよくありません。村澤は2年生ですし、(留学生ではなく)八木君に着いて失敗しても、学ぶものがあるでしょう。(チーム全体も)来年のため。良い経験にすればいいと思っています」
 もっとも、駅伝には“来年の方が良い”と思って気楽に臨み、力を発揮できるケースも多々、あるのだが。


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