2007/1/3 箱根駅伝
前回優勝の亜大は10位
「今度はエースも育てます」と岡田監督


 前回優勝の亜大は優勝候補の1つに挙げられていたが、シード権ギリギリの10位に。全日本大学駅伝は7位。距離が長くなる箱根は亜大に有利となると思われたが、順位を下げてしまった。
 最初のつまずきは2区での後退だった。1区の吉川修司は区間7位。独走した佐藤悠基(東海大)はともかく、区間2位の東洋大と31秒差は悪くない。しかし、9チームが10秒以内に中継する混戦状態になってしまったことが不運だった。
「同じ区間7位でも、前後の間隔がもう少し空いていれば良かったが、2区の山下(拓郎)が後ろから5〜6人に来られて、2分44秒で1kmを入ってしまった。2分50秒ちょっとくらいで入って、1kmを過ぎてからエンジンをかけるのが本来の走り方なのです」と、岡田監督。
 5km通過は14分30〜35秒を予定していたが、実際は14分22秒。そのツケが後半で出てしまい、1時間10分36秒で区間16位。16位まで順位を落としてしまった。前年の板倉克宜よりも2秒速いタイムだが、板倉はトップと2分56秒差の13位で3区にタスキを渡せている。今回はトップ東海大とは7分09秒差。
 3区こそ前年並みだったが、4・5区と前回を1分半前後下回り、往路終了時でトップの順大とは7分16秒差。2分51秒差だった前回とは、まったく違う流れになってしまった。

 6・7・8区でも前回よりタイムが悪い。純粋に走力の問題だったのか、走った位置の問題だったのか。9区の菊池昌寿が区間2位と好走し、シード圏内の8位に浮上したが、10区の岡田晃が2人に抜かれてギリギリの10位にまで落ちてしまった。
 2区の他にも5・6・10区と、競り合う場面で置いて行かれたシーンも多かった。優勝を逃した要因にはならないが、それがなければ、2分前で展開していた4〜6位争いに加わることはできたかもしれない。ちょっとした順位やタイム差が、流れに影響することもある。

 20kmの距離を1人で走りきる走力を付ける。そのためには長い距離を走り込む。それが亜大の基本的な強化方針だった。スピードのある選手、高校時代に全国上位の選手が少ないチームが、順大、日大、日体大、東海大、駒大などのチームに勝つには、それしか方法はない。入学してくる選手の傾向が変わらない限り、亜大の基本方針が変わることはないだろう。
 だが、今回の箱根が示したように、駅伝で勝つには“流れ”をつくる区間、“流れ”に飲み込まれない選手も必要となる。
「これまでのウチは、エースではなく“柱の選手”という言い方をしてきましたが、今後は“エース”を育てていきます。その自覚を持てる選手ですね。菊池や、他にも1人2人、可能性のある選手はいます」(岡田監督)
 来年の箱根駅伝では、ひと味違った亜大が見られるかもしれない。


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