2007/10/20 第84回箱根駅伝予選会
1位通過の中央学大と、
1位通過候補だった2位・城西大を分けたものとは?
中央学大はトップ通過もあり得ると言われたが、エースの木原真佐人(3年)が故障の影響で練習不足が伝えられていた。故障者も若干いて、万全の布陣ではなかった。対して城西大はトップ通過候補と言われた。高橋優太(2年)が日本インカレ5000mで13分37秒69をマークし、ユニバーシアードでも4位に入賞。1万m平均タイムは29分20秒と他を大きくリードしていた。
しかし、結果は中央学大が10時間10分49秒で快勝。城西大は10時間12分14秒で帝京大と同タイムで2位を分け合った。
木原と高橋。エースの差が出た、ようにも見える。
モグス(山梨学大4年)は別格として、スタートから飛び出した木原が5km14分23秒、10km28分48秒と突っ込んだが、後半もなんとか1km3分ペースを維持し、58分40秒で日本人トップの2位。
「設定より速かったのですが、迷ったら行けと監督からも言われていました。(高橋が)ついて来たのはわかりましたが、ちぎろうとか、特に意識しないで自分の走りをしようと思いました」
対する高橋は、最初こそ木原に着いたが、間もなく集団に戻った。佐々木悟(大東大4年)が引っ張った集団は5km14分49秒、10km29分49秒。10km以降はほぼ3分ペースだった。スピードダウンして集団に入った高橋だが、そこで“タメる”ことができなかった。15kmを過ぎて集団がややペースアップした時点で遅れ始めた。
「設定ペースはありませんでしたが、集団についていって、終盤で開けられるだけ開ける予定でした。自分で勝手に木原さんについてしまって…。対応できると自惚れていたのかもしれません」
だが、エースの走りに差が出た、と結論づけてしまうのははばかられる。というのは、2人のタイプに違いがあるからだ。木原は1年時に箱根駅伝1区区間賞で、昨年の予選会も2位と20kmの距離で実績がある。1万mは28分16秒57の記録を持ち、今季は兵庫リレーカーニバルでも佐藤悠基(東海大3年)に僅差でフィニッシュしている。
その点、高橋は冒頭で紹介したように5000mでこそ学生トップレベルだが、1万mは29分09秒78がベスト。20kmの距離になるとまだ実績がない。昨年の全日本大学駅伝1区区間賞、箱根駅伝1区区間3位があるが、スローペースに助けられた面もある。
「力不足です。(長い距離は)まだまだ。僕の場合トラックで走れても、20kmはスピードだけでは押していけません」
城西大のエースたるべき選手ではあるが、木原と比較した場合、そういった違いがある。木原に対抗意識を出してしまった点は反省点だが、20kmの距離で通用するかどうかは、1回はトライしてみないとわからない部分でもある。
ただ、城西大にトップ通過に対して若干の力みがあったようには感じられた。5km、10kmの通過では城西大がリードした。だが、櫛部静二コーチによれば「10kmを過ぎて急にきつくなったと話す選手が多かった」と言う。日差しが強く、前日までよりも気温が大きく上がったことも影響した。
箱根駅伝本番では、流れに乗るために前半を速く入るシーンも多くなるだろう。この日の経験がそのまま生きるとは言えないかもしれないが、何らかのヒントにはなっただろう。
中央学大もトップ通過を目指していたのは同じ。だが、木原が先行し、キャプテンの篠藤淳(4年)も集団で好位置をキープしていたが、残りの選手は自分のペースで落ち着いた走りに徹し、終盤で順位を上げてきた。そこが勝因となった。
それでも、川崎勇二監督は兜の緒を締める。
「他が崩れてのトップ通過です。今日の結果では本戦で通用しません。木原にしても今日の後半の走りでは2区では区間7〜8位がいいところでしょう」
本番で目指すのは全員が区間ヒト桁順位の駅伝だという。
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