2008/1/3 箱根駅伝復路
2つの区間新にそれぞれの意義
A篠藤の区間新で9区の平均速度が
復路トップ※山下りの6区を除く
「10kmまでは設定通りでしたが、そこから上回っていきました」
(篠藤)

 今大会で10区間中、3つの区間記録が塗り替えられた。その一覧表を下に掲載した。10区間中3区間を保持することになった佐藤悠基(東海大3年)もすごいが、篠藤淳(中央学大4年)が9区で見せたスピードも、価値が高いものだった。
 注目してほしいのは表の【平均タイム/km】欄である。各区間のタイムを距離で割って、1kmあたりの平均スピード(タイム)を算出した。もちろん、区間によって起伏は大きく異なるし、風向によっても影響を受ける。1・2区の記録が良いのは、南下するため追い風に恵まれるためだろう。しかし、箱根駅伝は各区間の距離が20km前後と近い。平均スピードを比較するのが面白い、数少ない駅伝である。

区間記録・選手と平均タイム/km
区間 距離 区間タイム 氏名 大学 学年 区順 平均タイム/km
1 21.4 1:01:06 83 2007 佐藤悠基 東海大 2 1 02:51.3
2 23.2 1:06:23 84 2008 M・モグス 山梨学大 3 1 02:51.7
3 21.5 1:02:12 82 2006 佐藤悠基 東海大 1 1 02:53.6
4 18.5 0:55:20 82 2006 村上康則 順大 4 1 02:59.5
5 23.4 1:18:05 83 2007 今井正人 順大 4 1 03:20.2
6 20.8 0:58:21 77 2001 金子宣隆 大東大 3 1 02:48.3
7 21.3 1:02:35 84 2008 佐藤悠基 東海大 3 1 02:56.3
8 21.5 1:04:05 73 1997 古田哲弘 山梨学大 1 1 02:58.8
9 23.2 1:08:01 84 2008 篠藤 淳 中央学大 4 1 02:55.9
10 23.1 1:08:59 83 2007 松瀬元太 順大 4 1 02:59.2

今回更新された区間の従来の区間記録
区間 距離 区間タイム 氏名 大学 学年 区順 平均タイム/km
2 23.2 1:06:46 75 1999 三代直樹 順大 4 1 02:52.7
7 21.3 1:02:53 69 1993 武井隆次 早大 3 1 02:57.1
9 23.2 1:08:38 81 2005 塩川雄也 駒大 4 1 02:57.5

 今回の3つの区間新で気づいたことを列挙してみよう。
 2区のモグスは三代直樹(順大、現富士通)の記録を23秒更新。2区の距離は23.2kmなので、1kmあたり1秒速く走ったことになる。それでも、1区の平均スピードを上回ることができなかった。前回の佐藤悠基は、特殊区間の6区(山下り)を除けば、“箱根駅伝で最も速く走った選手”ということになる。
 その佐藤が今回は7区で区間新。従来の武井の記録でも、平均スピードは復路最速だったが(これも6区を除く)、それをさらに更新した。
 ところが、篠藤が9区で出したタイムを23.2kmの距離で割ると、佐藤の7区の平均スピードを上回った。従来の塩川の記録を37秒と大幅に更新したことで、篠藤は“箱根駅伝復路で最も速く走った選手”になったのである。

篠藤コメント
「前に東海大と山梨学大と関東学連選抜がいましたが、そこは意識せず、その前の駒大と早大を追っていこうと思ってスタートしました。設定は1時間08分45秒。実際の5km毎の通過は14分17秒、29分02秒、43分53秒、58分48秒で、10kmまでは設定通りでしたが、そこから上回っていきました。リズムの良い走りができました。北京五輪は3000mSCで狙います。(今日、駅伝で走れたからと)種目を変えたりはしません。3000mSCに懸ける思いが強いのです」


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