2007/5/19 東日本実業団1日目
内藤「体が重くても」13秒43の日本歴代2位
好記録の要因はハードラーらしくなったこと?
レース後のコメントをできる限り再現
「13秒5台後半から13秒6台の感触」
「ハードル間で詰まらない方法は…」
「今日はコンディション的には体が重く、100%ではありませんでした。やろうとしている動きはできなくて、途中から詰まってしまった。この大会は出雲、織田記念、大阪GPの3連戦のあとで、疲れのあるなかでレース経験を積むことが目的の試合だったんです。この記録は条件に恵まれたからだと思います。普通の風なら13秒5台後半から13秒6台の感触でした。
大阪GPは(決勝)1本だけのレースで、世界記録保持者(劉翔・中国)も一緒で、“らしさ”を出せませんでした。大阪GPは日本選手権までのシーズン前半の動きを固める狙いで、調子も良い状態で臨んだのですが、1本レース(形式)に対応できなかったところがあります。レース前半は良い動きでしたが、後半は後傾してしまった。
インターバルは、しっかりと走れると詰まるのですが、そこをハードリングでカバーすることもできます。リード脚をしっかりと降ろすことで(ハードルに近い場所に接地でき)、ハードル間を刻みやすくなります。僕なんかはリード脚の接地が間延びして、インターバルの距離が短くなる。劉翔選手は10台のハードル全て、間延びしないで同じインターバルを刻んでいるんです。スタートもアテネ五輪のように、本気を出せば速いですからね。劉翔選手も史選手も、上半身と腕の使い方がダイナミック。後でテレビの録画を見ると、僕とは腕の出し方が違います。
大阪GPでは、中国選手とまだまだ差があると実感させられました。前半は以前よりも離されなくなりましたが、3台目以降で一気に行かれた。本来得意だったはずの中盤や後半が、今は伸び悩んでいます。技術種目は難しくて、変えようと思ってもなかなか変えられません。特に、不器用な自分にとってはそうです。ビデオを見ると、自分が意図した動きがなかなかできていない。
「八幡君に負けじと体を動かしたから記録が出た」
「今までで一番、ハードル練習をやっている」
今日も大阪GPと一緒で、後傾気味で刻み切れていません。もっと地に脚をカツカツするように刻めたらよかった。八幡(賢司・モンテローザ)君がすぐ後ろにいて、負けじと体を動かしたから記録が出ただけ。今日も腕の使い方を課題としていました。上半身をダイナミックに使えれば、ハードリングがキレるようになる。ワンランク上に上がるきっかけを、つかみつつあるのは確かだと思います。
この冬にアレン・ジョンソン(米国)と一緒に練習をさせてもらい、腰高に走るイメージを持っていますが、実際のハードリングのときはまだできていません。それよりも、ハードル練習を多くした効果が出ているのだと思います。昨年まで、ハードルを跳ぶのは試合の1週間前に1回、3日前に1回、そして前日でした。今年も試合前は同じですけど、昨年まで、それ以外は何もハードルをやりませんでした。今年は試合がないときでも週に2回くらいは跳ぶようにしています。これが110 mH選手かな、と感じているくらいに。
ハードルドリルも、抜き脚や、体の中心を意識したメニューを多くこなすようになりました。股関節を中心に、体幹をすごく使うドリルです。為末(大・APF)さんからも今季指摘されていることですが、そのドリルによって抜き脚が多少、速くなったと思います。次はリード脚をいかに速く降ろすか、が課題になります。そこに対しては、先ほど言った腕を使うアプローチ法をとっているわけです。
「13秒4台を安定させれば、13秒2台も可能」
修正して行くには試合が一番良くて、練習もビデオに録ったりしますが、試合が一番集中しています。可能であれば、試合でもう少し修正できればいいですね。
これからシーズンが進んで、レースを重ねていけば、ハードリングはもっと向上していきます。先ほども言ったように、これまででハードル練習は一番やっています。ケガもすることなく。やってきていることは間違っていないと思います。上半身をもう少しダイナミックに使えれば、ハードル間も楽に行くことができる。
去年は13秒5台が安定していましたが、それを今年は13秒4台にできれば、動きが1つ上のレベルで自動化されたということで、もっと上が狙えます。今日は本当にコンディションは良くなくて、そのなかで自己新を出せたことは自信になります。出せて当たり前のレベルだったかもしれません。ファイナリスト実現のため、ハードルもインターバルも、後半の動きを変えていくのが課題で、それがで自動化でき、今日のような風が吹けば13秒2台も可能だと感じています。
日本選手権で勝つことは、最低限のことでしょう。今日も八幡君が近い位置で追っていましたし、大阪GPでは田野中さんにやられました。日本のレベルも高くなっているので、負けたり勝ったりということもあるかもしれませんが、そこだけにとらわれず、世界選手権にしっかりと合わせていきたい」
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