2007/2/11 千葉国際クロスカントリー
ジュニア男子は“大阪”の再現
八木がインターハイ、国体に続き3冠
(日本人1位)

 ジュニア男子8000mには昨夏の大阪インターハイ5000mの上位選手が揃った。千葉のレースに触れる前に、大阪の成績を紹介しておいた方がわかりやすいだろう。

5位 八木勇樹(西脇工)
6位 野口拓也(東北)
7位 中西拓郎(埼玉栄)
8位 清谷 匠(世羅)
9位 栗原 俊(九州学院)
10位 延寿寺博亮(諫早)
11位 田村英晃(十日町)
12位 田中佳祐(大牟田)


 上記の日本人上位8選手が今大会にも出場。期待に違わず先頭集団を形成し、4km過ぎに縦長の6人になった。間もなく2人が追いついて8人となったが、そのなかに八木、野口、中西、清谷、栗原、田中の6人が含まれていた(だからこそ、その6人に食らいついた中山卓也<須磨学園>と伊藤正樹<秋田工>の健闘が光った)。
 6km付近で中西がスパート。八木、野口、田中と4人になり、やがて八木と野口のマッチレースに。野口が引き離しにかかるが、八木も粘る。最後の直線の下りに入る地点で八木がスパートし、野口を一気に引き離した。

 八木は国体でも中西に0.09秒差で競り勝っている。全国都道府県対抗男子駅伝では5区(8.5km)で区間賞の野口に6秒負けているが、一斉スタートのレースでは日本人高校生間で負け知らず。その勝負強さを今回も発揮した。
 八木は予定した走りができたことに満足している様子。
「ラストの直線に入るポイントに(西脇工)足立先生がいてくれて、下りなら絶対に負けないと思って行きました。1週間前の兵庫県郡市区対抗駅伝の1区(10km)でも、ラスト200 mで仕掛けて実業団や学生選手に競り勝てた。今日もそこで仕掛けました」
 一方の野口は「作戦ミス」と悔やんだ。
「早めに仕掛けられず、機を失った感じ。遅すぎました。(ラストの)スピードがないので、ロングスパートを仕掛けない勝てません」

 しかし、野口は1学年下の八木の強さを、素直に認めた。
「同じスタートラインに着いたレースでこそ、本当の実力がわかります。その対決に負けた自分の方が弱い。これを励みに、自分を研いていきたい」
 一方の八木も、勝利におごったところは感じられない。
「勝ったから自分が一番強いとは思いません。レース展開を見ると野口さんや中西さんの方が上。自分は引っ張ってもらって最後に出ただけです。これからも練習で1つ1つ、力をつけていきたい」
 以下のコメントにも表れているように、八木が勝利にも、自身の足元を冷静に見つめている点が印象に残った。

八木のコメント
「今日の目標はラスト勝負で勝つことでした。前半、中盤、後半とペースをそれほど速いと感じませんでしたし、(西脇工)足立先生の指示も聞こえて冷静に走れました。3月に世界クロカンで“世界”を経験して、その後はインターハイ路線を頑張ります。最終的には全国高校駅伝の優勝が一番の目標です。記録よりも力を出し切ることを考えているので、具体的に何秒という目標はありません。力を出し切れば、見合うタイムがついてきます。将来的にはオリンピックのマラソンで金メダルを取りたい。しかし、一日一日を大切にやっていくことで、結果がついてくるのだと思っています」


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