2006/9/23 スーパー陸上前日
沢野、遠征後半でケイレン克服の気配
「いい方向に進みつつあるのは確か」


 明日の男子棒高跳はエキシビジョンマッチ。沢野大地(ニシスポーツ)と、親友のブラッド・ウォーカー(米国)とのマッチゲームという形式だ。8月に話が持ち上がり、遠征中に沢野から打診をし、ウォーカーが快諾して実現した。2人だけという特殊な試合形式だが、沢野が自身の日本記録を上回れば日本新記録として公認されるという。
 8月中旬からは約1カ月に及ぶ遠征から19日に帰国したばかりだが、「一昨日、今日と練習して、動きは問題ありません」という。遠征では8試合をこなし、最後のワールドカップでは5m70で2位に。今回は単に“経験”だけにとどまらず、手応えも感じているという。

「ワールドカップのときは、チューリッヒの頃の自分、1カ月前とは全然違っていました。今季3回目のヨーロッパ遠征でしたが、成長を感じられたという点では今回が一番です」
 これまでずっと、試合の最中に起きてしまうケイレンに悩まされ続けた。だが、今回の遠征後半では、抑えることに成功しつつある。米倉照恭コーチは次のように説明してくれた。
「今回は試合が続いたので、練習感覚で行くようにアドバイスをしました。リラックスして、とにかく気負わないようにと。それで後半は上手く抑えられましたが、ワールドカップの最後の試技では、これを跳べば優勝という場面で出てしまった。ワールド・アスレティック・ファイナルでも、ケイレンまでは行きませんでしたが、水分不足でちょっと危なかったようです」
 沢野自身、昨年5m71の国外日本人最高(当時。今年5m75に更新)で2位となったローマ・ゴールデンリーグが「練習で修正するような感覚で跳んだ」と、話してくれたことがあった。ただ、精神面がが全ての原因だったと、結論を出すまでには至っていない。
「集中しないとか、意気込まないというわけでもなくて、微妙なところ。色々と試して、いい方向に進みつつあるのは確かです。水分なども、スポーツ飲料などの方がいいのかもしれません」
 明日の試合はエキシビジョンで、相手も気心の知れたウォーカー。いつもよりリラックスした状態で試技に臨める。そこで沢野が、さらなるヒントをつかむ可能性は高いのではないか。


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