2006/5/3 静岡国際
成迫のタッチダウンタイムでわかる風の強さと、少しばかりの課題
「ラストを走る感覚を修正したい」


 成迫健児(筑波大)が男子400 mHで2連勝。タイム的には昨年とほぼ同じだが、タッチダウンタイムを比較すると、今年の方が風が強かったことがわかる。

  06静岡国際 05静岡国際   05国体 05日本インカレ 04国体   05大阪GP
1台目 6.11 6.11 5.92 5.92 1台目 5.91 5.91 5.95 5.95 5.87 5.87 1台目 5.83 5.83
2台目 9.87 3.76 9.68 3.76 2台目 9.55 3.64 9.69 3.74 9.62 3.75 2台目 9.51 3.68
3台目 13.59 3.72 13.51 3.83 3台目 13.34 3.79 13.47 3.78 13.34 3.72 3台目 13.28 3.77
4台目 17.36 3.77 17.37 3.86 4台目 17.17 3.83 17.34 3.87 17.13 3.79 4台目 17.14 3.86
5台目 21.27 3.91 21.32 3.95 5台目 21.12 3.95 21.22 3.88 21.07 3.94 5台目 21.10 3.96
6台目 25.26 3.99 25.59 4.27 6台目 25.18 4.06 25.38 4.16 25.18 4.11 6台目 25.15 4.05
7台目 29.67 4.41 29.99 4.40 7台目 29.44 4.26 29.71 4.33 29.44 4.26 7台目 29.61 4.46
8台目 34.12 4.45 34.51 4.52 8台目 33.72 4.28 34.07 4.36 33.82 4.38 8台目 34.07 4.46
9台目 38.78 4.66 39.12 4.61 9台目 38.15 4.43 38.63 4.56 38.41 4.59 9台目 38.58 4.51
10台目 43.78 5.00 43.77 4.65 10台目 42.73 4.58 43.15 4.52 43.12 4.71 10台目 43.26 4.68
フィニッシュ 49.49 5.71 49.40 5.63 フィニッシュ 48.09 5.36 48.35 5.20 48.54 5.42 フィニッシュ 48.71 5.45
※計測は全て寺田による手動計時

 バックストレートが強い追い風だった。そうすると1台目までは向かい風。1台目の入りが通常よりも0.2秒くらい遅くなっている。また、元々、為末大(APF)と比べると0.1秒くらい遅れるのが1台目で、「出遅れることが多いので、冬期練習でも意識してきた」と話す部分でもある。
 2〜5台目、さらには6台目までは追い風に押されたことで、48秒09(日本歴代2位)を出した昨年の国体よりも速い。3台目の3秒72、4台目の3秒77は過去最速と言いたいところだが、いかんせん手動計時。そこまでは言い切れない。

 しかし、7台目以降はタイムが落ちる。ちょうど、13歩から14歩に切り換えるのが7台目。2つの原因が重なって、タイムの下がる幅が大きくなっている。
 ホームストレートで粘るのが成迫の特徴。スピード曲線はなだらかな下降線を描くのだが、この日は9・10台目の下がり方が大きかった。向かい風にスタミナ切れが重なったせいなのか、それとも、為末不在でモチベーションが維持できなかったのか。大会前日に、「アキレス腱とヒフク筋の間」(成迫)を痛めたことが、影響した可能性もある。

 しかし、成迫は他の誰かのせいとは言わなかった。今日のレースで生じた課題は? との問いに、次のように答えた。
「ラストで向かい風が強かったのですが、もう少し、ラストを走る感覚を修正したい。でも、今日わかったので、きっちり修正したい」
 国際グランプリ大阪では為末こそ出ないが、ヘルシンキ世界選手権金メダリストのバーション・ジャクソン(米)との対戦がある。
「スーパー陸上で負けていますから、今度はもっとぶつかって行きたい。ラストに強いタイプの選手なので、その強さを上手く利用して、自分のラストを上げられるようにしたいです」

成迫コメント
「この状況でも、もう少しタイムを出さないと。冬期で底力は上がったと思うので、技術と上手く噛み合わせたい。今年は為末さんも言っているように、いろいろなことができる年。400 mや200 m、800mにも出場して、キャパシティを広げようと思っています。為末さんとは400 mで当たっても、負けないつもりで行きます。13歩で行く台数を延ばすことも考えています。今日も少し、詰まり気味でした。ピークはまず、全カレに合わせます。金丸(祐三)とも対決しますが、勝ちます」


春季サーキット&国際グランプリ大阪2006
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