2006/5/6 国際グランプリ大阪
千葉と大前がセカンド記録でA標準突破
自己記録はともに5年前
そして“5年前”の共通点は?
@千葉は5年ぶりの48秒台
日本人2番手選手たちにも好記録が目立った。
最初は男子400 mH。3位の成迫健児(筑波大)まで47秒台を記録した高速レースで、5位の千葉佳裕(AS市川)が48秒83をマーク。自己記録の48秒65には届かなかったが、そのときタイムを出した2001年の関東インカレ以来、実に5年ぶりの48秒台となった。
50秒を切った大学2年以降の年次ベストは以下の通り。
99年 49秒55(順大2年)
00年 49秒35(順大3年)
01年 48秒65(順大4年)
02年 49秒70(富士通)
03年 49秒23(富士通)
04年 49秒86(富士通)
05年 49秒84(富士通)
06年 48秒83(AS市川)
ここ2年ほどは48秒台に迫るどころか、50秒を少し切るだけという状態だった。それでは、日本代表にも届かない。「苦しかったです」と、本音も漏れた。
静岡国際でも成迫に次いで2位。何が良くなって結果が出るようになったのか、という質問に、「この冬は全て自分で練習を考えて、(強度を)平均的に行うのでなく、ポイント練習的な組み方にしました」と答えた千葉。前半を14歩で行くスタイルを変えたわけではないと言う。
01年は5月に48秒台を出しながら、選考レースを勝ち抜けなかった。日本選手権は1位が為末大(当時法大)。2位に吉沢賢(デサントTC)、3位に河村英昭(当時三英社)と、千葉にとっては順大の先輩にあたる2選手が続いて代表に。
5年後の今は為末を追うのは成迫1人だけ、という現状。千葉はその状態を認めつつも、受け容れているわけではない。
「もう1回、かき混ぜて、世界選手権に出ていきたい。自己新も目標ですが、まずはアベレージを上げたい。来年、世界選手権の代表に入れれば、記録も付いてきます」
400 mのベストはやはり5年前の47秒78。それが本当の力なのかどうかはわからないが、400 mHとの記録差が1秒以内という驚異的な選手。ハードルによるロスタイムは、為末よりも小さい。
A大前は5年前の自己記録に次ぐ20秒57
200 mでは大前祐介(富士通)が20秒57のセカンド記録でA標準(20秒59)を突破した。優勝した高平慎士(順大)とは0.11秒差、2位のバットマン(豪)には0.01秒差と食い下がったレース展開も評価された。大前といえば5年前の20秒29のジュニア日本記録がベスト。末續慎吾の学生記録に0.03秒と迫った。
初めて21秒を切った2000年以降の年次ベストは以下の通り。
00年 20秒81(本郷高3年)
01年 20秒29(早大1年)
02年 20秒86(早大2年)
03年 20秒60(早大3年)
04年 20秒73(早大4年)
05年 20秒85(富士通)
06年 20秒57(富士通)
01年の20秒29は不運なことに、その記録を出したのが6月末だった。近年のような追加代表入りのシステムがなかったため、末續に次いで日本選手権で2位になっていながら、その年のエドモントン世界選手権代表になれなかった。03年には日本選手権の予選で20秒60とA標準(20秒59)に0.01秒と迫ったが、決勝は20秒76で7位。そして04年は5月の静岡国際で20秒52を出したが、追い風2.2mで参考記録に。
しかし、今回は早くもA標準を突破。本人の見ているところは標準記録云々ではないのだろうが、少なくとも、5年前のようなことを気にする必要はなくなった。
「基本的な調子は良かったんです。織田記念(100 mで予選落ち=10秒51?+1.3)はちょっと、自分の中でタイミングが狂ってしまったところがありましたが、静岡国際(200 m3位=20秒83・+2.8)で修正できました。春先の目標はここで結果を出すことでした」
大前といえば昨年は、トップスピードに乗ったときに「上下動のあるダイナミックな動き」を目指していた。言ってみれば、ガトリン(米)のような走りである。日本人には少ないが、筋力の強い選手ならこそできると考えたが、それを今季は修正しているという。
「コンセプトを、弾く動きから流す動きに変えています。力を上手くローテーションさせる感じです。今回は20秒6台が目標でしたから、上手くできていたのだと思います。これからも安定させたい」
ジュニア時代に出した20秒29は、重荷に感じることもあるが、「ステータスともなる記録」と、前向きにもとらえる大前。今回のセカンド記録で、見えてくるものがあったのだろうか。
「自己記録にもちょっとずつ近づいていきたい」
一気に、と言わないところが逆に期待できそうだ。
春季サーキット&国際グランプリ大阪2006
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