2006/4/23 兵庫リレーカーニバル
陣内がセカンド記録に迫るタイムで小林を抑える
小林は2年ぶりの自己新、中距離的な動きを確認

 女子800mは好レースとなった。オープンとなる100 mで竹内昌子(秋田ゼロックス)がややリードしたが、200 mは陣内綾子(佐賀大)がトップで通過。西村美樹(東京高校クラブ)が続き、地元の小林祐梨子(須磨学園高)は5m以上離されていた。400 mでは陣内、西村、竹内の順で小林は0.9秒差。小林が慎重に走っているのか、長い距離中心の冬期を過ごしたためにキレがないのか。
 しかし、2周目に入って小林が徐々に、前との差を詰め始めた。600 mでは0.6秒差に。しかし、そこから陣内も走りを切り換えて西村を引き離す。小林も西村を抜いて2番手に浮上。ホームストレートでも陣内との差を少しずつ詰めたが、0.33秒届かなかった。

距離 陣内通過 スプリット 小林通過 スプリット
200     30.8 30.8
400 1:01.9   1:02.8 32.0
600 1:33.6 31.7 1:34.2 31.4
800 2:05.45 31.8 2:05.78 31.6
※寺田の手動計時

 陣内の優勝タイムは2分05秒45。2分03秒99の自己記録更新はできなかったが、セカンド記録に0.08秒に迫った。日本中距離界の期待を担う小林に対しても、プライドを持って臨んでいた。
「去年の日本選手権で2位(2分03秒99)でしたから、勝たないといけないと思っていた。あまり年下とか思っていませんが、負けたくない気持ちは少しありました。残り200 mからバーンと行くのは、作戦として考えていたことの1つ。ラスト100 mでもう1回と思っていました。まだまだですけど、今の段階としてはだいぶいいと思います」

 対する小林は、4月頭に世界クロカンに出て、翌週にも5000mに出場したばかり(15分31秒90=高校歴代3位)。やはり冬期の長距離路線から、中距離の動きへの切り換えが、まだ十分ではなかった。それが、この日の前半の走りとなってしまった。
「1周目は内心、ビックリしていたんです。これが800mか、と思いました。でも、2周目のスタミナには自信がありました。今日はイーヴンくらいで押せたので、その点は自信になりました。クロカンが終わって3日間ほど休みましたが、それから動きを切り換えました。クロカンまではヒザ下を使わない長距離的な動きでしたが、クロカン後はヒザ下を使う動きを意識しています」
 それが2分05秒78と、高校1年時の2分05秒84を僅かだが更新することにつながった(高校歴代6位)。須磨学園高・長谷川先生も、動きの切り換えを裏付ける話をしてくれた。キックが著しく強い小林は、シューズの底の減り方が異常に速いが、この冬期の間は「長持ちした」という。それが、世界クロカン以後はまた、それなりに減るようになっているという(シューズの違いもあるので、一概に断定することはできないというが)。

 この日の陣内は400 m通過が61秒台だったが、日本記録保持者の杉森美保(京セラ)が出るレースは58秒台で入ることが予想される。
「杉森さんが行ったら付いて行く、というレースになると思います。でも、無理をして付いていくことはしないで、つかず離れずという展開もあり得ます。もしも(前半で)離れても、(後半で)差を詰めて勝負ができたらと思っています」

 小林は国際グランプリ大阪の1500mで、やはり日本記録保持者である杉森との対戦を、自身の記録面も含めて楽しみにしているようだ。世界選手権B標準の4分10秒を意識するのか、という問いに対して次のように答えた。
「杉森さんの後ろに付くのではなく、前に出るレースをしたい」
 女子中距離で唯一、五輪&世界選手権を経験している杉森を“勝負をする相手”として、若手2選手が意識し始めた。


春季サーキット&国際グランプリ大阪2006
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