2006/8/5 大阪インターハイ4日目
女子200 mの中村、男子800 mの畠山
高校生が見せたハイレベルの修正能力


 大会4日目の男子800 mと女子200 mでは、優勝した2選手の修正能力が目についた。

 女子200 m優勝の中村宝子(浜松西)は、2日目の100 mは前年の2位から4位に順位を落とした。3日目の4×100 mRも、それほど良くなかったという。事実、優勝した埼玉栄の4走・高橋萌木子の強さばかりが印象に残った。
 きっかけは、4×100 mRの後に、知り合いの指導者が見せてくれた4×100 mRのビデオだった。脚が流れていることも指摘してもらったという。高橋と比べると、それが明確にわかった。その夜に浜松西の筒井先生と緊急ミーティングを持ち、対策を講じた。
「軸が少し前に倒れてしまって、脚が後ろ回転になってしまっていました。それに伴って、肩もすごく上がってしまっていて、(ストライドの)狭いランニングになっていたんです。気持ちが焦ったり、ピッチを意識しすぎると上体が倒れがちになるのだと思います。結果的に脚が流れて、良くないようです」
 100 mも準決勝(1組1位=11秒81・±0)までは、その欠点が出ないでいたが、決勝ではスタートで左隣の福島千里(帯広南商)にリードされ、中盤から右隣の高橋に追い上げられた。硬さも出て本来の走りができなかった。
「自分の持ち味は大きな走りですから、200 mではそれを心掛けました。骨盤を起こすようにして、上体を真っ直ぐに立てて、脚も前回転ができるような動きを意識しました。今朝のアップからそこに気をつけるようにして、予選で上手く走れたので、大丈夫だと自信を持ちました」
 それに加えて、これまでは抑え気味に入っていた200 mの前半を、思いきって速く入るように変更。大きな動きに変えても前半からハイペースで入ることができた。それが記録を生む主な要因となった。

 男子800 mは畠山政和(砂川)が1分52秒35で優勝。準決勝で1分51秒89(1組2位)の北海道高校新記録を出していたが、そこまでは積極的にレースを引っ張るのが、畠山のスタイルだった。それを決勝では、後方待機からフィニッシュ前の直線勝負に切り換えたのだ。
「当初は3番くらいで着いていくつもりだったのに、5〜6番と思った以上に後ろになってしまって、まずいかなと感じながら走っていました。でも、前が1人ずつ落ちてきて、カーブを抜けてから上げていって、残り50mでもう1回行きました」
 戦術変更を決めたのは、決勝レースの直前だったという。
「30分くらいでイメージトレーニングをしました。後ろでレースが上手くできるか不安もありましたが、先頭の様子や距離も見て、ちょっとでも前で動きがあったら、自分も行くつもりでいました」
 これまで、全国大会の決勝は経験がない。今回も準決勝を通るのが最初の目標で、決勝に残ったら3位以内を目指そうと考えていた。目標を2段階に設定していたことで、レースパターンの変更にも柔軟に対応できたのかもしれない。

 レース構成を修正するには、それなりの時間をかけてイメージしていく必要があるが、中村と畠山は、インターハイ期間中にイメージを修正してみせた。状況への対応能力が高かったと言った方がいいのかもしれない。いずれにせよ、高校生としてはレベルの高さを感じさせる2人の優勝だった。


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