2006/8/5 大阪インターハイ4日目
女子800 mは久保が2分05秒52で圧勝
北京での高校新と、小林との対決が楽しみに
日本選手権で2分04秒44(2位)と、高校記録に0.44秒と迫った久保瑠里子(広島井口)が、インターハイでは強さと“今後の可能性”を見せた。
400 mはドリカ(山梨学大附)が先頭で、背後に着いた久保は59秒9。
「1周目はみんな突っ込むだろうから、着いていけばいいと考えていました。2周目からが自分の出番。400 m通過が59秒でもすごく楽でした。500mあたりで、ラストまできちんと行けると感じましたね」
600 mでドリカの前に出ると、あとは久保の独壇場だった。2分05秒52で2位に上がった広田愛子(須磨学園)に2.07秒もの大差をつけた。
「600 mまで着いていったら、誰にも負けないつもりです。相手が小林(祐梨子・須磨学園)さんでも。国体では1500mにも出ますから、見ていてください」
この日の久保の200 m毎の通過&スプリットタイムは以下の通り。
29秒8
59秒9 30秒1
1分32秒7 32秒8
2分05秒52 32秒8
最後の200 mを、その前の200 mと同じタイムで走破している点は評価が高い。
だが小林も、1500mの日本記録を出した国際グランプリ大阪の最後200 mを32秒6で上がっている。2つのレースの比較だけでは甲乙付けがたいが、その前に、小林がいつものように前半から飛ばしたとき、久保が着いていくことができるかどうか。久保自身が言っているように「残り200 mまで着いたとき」に初めて、小林と勝負をすることができる。
久保は昨年の400 mチャンピオン。しかし、10月に舟状骨の疲労骨折が判明。痛みは7月の世界ユースの頃からあったという。冬期は「生まれて初めて」食事制限をするなどして、体重のコントロールに気を遣った。クロスカントリーにも出場したが、これはケガの影響ではなく、以前から行っていた冬期のパターンだという。中学時代から冬期には駅伝やクロスカントリーにも出場している。
ただ、練習量が伸びたのは確か。断定はできないが、ケガをしたことにより、トップスピードの練習よりも、距離のトレーニングが増えたのかもしれない。
「中国大会まで400 mのキレがなかったですね。800 mもあと1〜2秒は伸びていいように感じていましたし。故障中もトレーニングはしていましたし、メンタル面も鍛えていました。日本選手権でやっと成果が出て、それまでの自分を超えられた気がしましたね」
故障はしていたが、足に負担をかけないようなトレーニングが、上手く積めていたのだろう。その成果が、800 mでより大きく現れたということだろうか。そこに、精神面のプラス要素が加わった。400 mで負けたことが、久保のやる気に火を点けたのだ。
「400 mで負けたときは本当に悔しくて、広島に帰ろうかと思ったくらいです。ケガをしてみんなに心配をかけましたから、絶対にインターハイでは優勝したかった。去年は自分のために走りましたが、今年は恩返しのために走りました」
心身の充実が、久保の好調を支えている。高校記録更新の可能性も十分にありそうだ。
「欲を言えば今回2分4秒を切りたかったのですが、2分5秒台は許せる範囲です。でも、高校新は北京(世界ジュニア)で出ると思います」
久保にとってインターハイでの感触は、そのくらいに良かったということだろう。
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