2006/6/16・17 近畿インターハイ
小林、近畿は4分14秒39&8分59秒75
底力のアップを実証したダブル大会新

独走したときの力みが課題に


 小林祐梨子(須磨学園)の近畿インターハイは日本記録(4分07秒87)を持つ1500mが4分14秒39、高校記録(8分52秒33)を持つ3000mが8分59秒75。自己記録更新はならなかったが、ともに大会新をマークした。
 小林が考えていたペースとフィニッシュタイムは、1500mが「68秒で3周、最後の300 mを50秒、3000mが「3分00秒、3分00秒で最後を2分50秒」というもの。この通りに走れれば1500mは4分14秒、3000mは8分50秒になる。
 実際の1500m(大会2日目)の100 m毎と、3000m(同3日目)の400 m毎・1000m毎の通過&スプリットタイムは以下の通りだった。

近畿インターハイ2006 国際グランプリ大阪2006
距離 通過 100m毎 200m毎 300m毎 400m毎 距離 通過 100m毎 200m毎 300m毎 400m毎
100 00:15.9 00:15.9       100 00:16.28 00:16.28      
200 00:32.2 00:16.3 00:32.2     200 00:32.42 00:16.14 00:32.42    
300 00:48.9 00:16.7   00:48.9   300 00:49.13 00:16.71   00:49.13  
400 01:05.8 00:16.9 00:33.6   01:05.8 400 01:05.92 00:16.79 00:33.50   01:05.92
500 01:22.6 00:16.8       500 01:22.80 00:16.88      
600 01:39.7 00:17.1 00:33.9 00:50.8   600 01:39.57 00:16.77 00:33.65 00:50.44  
700 01:56.8 00:17.1       700 01:56.25 00:16.68      
800 02:14.1 00:17.3 00:34.4   01:08.3 800 02:12.69 00:16.44 00:33.12   01:06.77
900 02:31.5 00:17.4   00:51.8   900 02:29.25 00:16.56   00:49.68  
1000 02:48.7 00:17.2 00:34.6     1000 02:45.80 00:16.55 00:33.11    
1100 03:06.0 00:17.3       1100 03:02.32 00:16.52      
1200 03:23.6 00:17.6 00:34.9 00:52.1 01:09.5 1200 03:18.84 00:16.52 00:33.04 00:49.59 01:06.15
1300 03:41.0 00:17.4       1300 03:35.29 00:16.45      
1400 03:57.8 00:16.8 00:34.2     1400 03:51.64 00:16.35 00:32.80    
1500 04:14.39 00:16.6   00:50.8   1500 04:07.87 00:16.23   00:49.03  
近畿インターハイは寺田計測。国際グランプリ大阪は日本陸連科学委員会のデータ

◆1500m
距離 通過 スプリット
400 01:12.6 01:12.6
800 02:24.3 01:11.7
1200 03:36.4 01:12.1
1600 04:48.1 01:11.7
2000 06:00.4 01:12.3
2400 07:12.7 01:12.3
2800 08:25.6 01:12.9
3000 08:59.75 00:34.2
距離 通過 スプリット
1000 03:00.2 03:00.2
2000 06:00.4 03:00.2
3000 08:59.75 02:59.4

 1500mは最初の400 mを速く入りすぎた。日本記録のときと同じペースだったのだ。
「1人で走る意識が強くなりすぎたからだと思います。(最後で切り換えられなかったのも)競う相手がいないと難しいですね」
 3000mは予定通りのペース。400 m毎も大きな上下動はなかった。それでも、ラストの1000mでペースアップすることができなかった。
「高校記録のときはずっと引っ張ってもらったのですが、今日は1人で2000mまで走りました。タイムを見ながら1人で走る間に、力を使ってしまったのだと思います」
 体調も、“現時点での万全”ではなかった。
「1500mが終わって疲労感がありましたけど、上手く(疲労を)抜けた感じもあって、8分55秒を出そうと思っていました。(今季は)800 mと1500mをやってきましたから、残り2周で『ここから800 mだ』と切り換えたかった。最後を68秒まで上げたいと思ったのですが、難しいですね。

 小林クラスの選手にとって、地区インターハイの走りは難しい。インターハイは基本的に“勝ち抜き戦”であり、日程的にも負担となる。そういった大会をどう位置づけして、モチベーションをコントロールしているのだろう。
「遅いタイムの中でも学べることがあります。今回の1500mなら、68秒で押していっても、ラストで切り換えること」
 結果的に、考えていた100%の走りはできなかったが、そのなかでも小林の成長を確認できる要素は多くあった。1500mでは1000〜1100mのリラックスが課題だと、陸マガ7月号で長谷川重夫先生が話していた。今回のその部分について小林は「今日は力を抜いても、タイムが落ちていません。それが良かったと思う」と振り返る。

 目標タイムを上回ることはできなかったが、それに近いタイムは出した。
「県の1500mは4分15秒でしたし、4分14秒台がコンスタントに出せるようになりました。今年に入って、強くなったところだと思います。3000mは県が9分2秒で、今回が最低でもインターハイ前に1回は出しておきたかった8分台でした」
 小林クラスの選手にとって、地区インターハイは結果こそ求められないが、内容的には求めるものがある。自身の底上げができていることは、しっかりと確認した。

 この後は7月の日本選手権、8月のインターハイと、今大会とは違って結果を出すべき試合が続く。
「日本選手権はもちろん、優勝が目標です。去年の、ラストでドンと出る勝ち方が、私の中では印象に残っていますけど…。インターハイは最初からドンと行くレースになると思います。たくさんのレースパターンを身につけたいし、色んな人に感動を与えられるレースをしたい」
 インターハイでは、きっちり勝つことが求められると考えている。3年生となった今季はキャプテンも務めている。800 m・1500m・3000mでできるだけ大量得点を獲得し、総合争いでも少しでも上位に食い込み、駅伝に勢いをつけたいという考え。
「インターハイは原点に返って勝負をしたい。でも、あまり力みすぎないようにして」
 近畿大会では力みが出てしまったが、その反省をインターハイ本番で生かせれば、レース前半を力まずに走れる。結果として後半の余力が違ってくる。


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