2005/8/7 世界選手権2日目
岩水、パリ大会に続く決勝進出には失敗も
“駆け引きのレース”として自己評価の高い内容


 岩水嘉孝(トヨタ自動車)が8分28秒73で予選2組10位。パリ大会に続く予選突破はならなかった。しかし、岩水自身のレースに対する評価は、客観的な評価とは異なった。
「パリと比べたら残念な結果ですが、自分の3000mSCの中では価値のあるレースでした。タイム的には不本意な結果ですが、駆け引きのレースでこのタイムは評価できる。見えない部分の駆け引きといったところを、もっと強化していかないと。ペースメーカーが付くレースだったら、日本記録を出せる状態で臨めたと思います」
 アメリカのAnthony Famigliettiが2000m手前でスパートした。
「ガラガラっとレースが変わりました。ズーンと来るものを感じましたね。その状況で対応できませんでした。リズム、位置取り、揺さぶりへの対応などがダメでしたね」
 パリでは今回とは逆に、岩水が2000mで仕掛け先頭に立った。
「自分がバーッと行って、後ろの選手が力を出し切れなかった。アンソニーはユニバーシアードの優勝者ですが、パリでは勝っている相手。今回、力の同じ選手には負けないようにしたかったのですが。フィンランドのジュッカJukka KeskisaloやオーストラリアのピーターPeter Nowillたち。同じ組になった彼らと競って、普通なら予選通過ラインになる8分22〜23秒で走りたかった」
 岩水自身の状態も、パリのときほど完全ではなかったのだろう。それに加えて、Famigliettiに機先を制され、レースの状況が一変した。岩水はリズムを立て直すのに使おうとしたエチオピアとモロッコの選手の後方に着いたが、その2人が逆に、前の集団から離されてしまう不運もあった。
 いずれはマラソンに進出するプランもある岩水。だが、これでまた、3000mSCへの意欲が強くなったようだ。
「大阪についてはこれから考えます。まだ終わったばかりで冷静に考えられませんが、まだまだ3000mSCをやり切れていないと感じています。高校からやっている種目ですが、走力が上がっただけでもダメだし、色んな要素がある。3000mSCを日本で盛んにさせるとかは、僕は考えていません。駅伝やマラソンの日本的な価値観があって、選手が育ってもいる。ただ、僕は僕で、世界で戦いたい、3000mSCで極めたいという気持ちが強い。800 m・1500m・3000mSC・5000mでは世界で戦えないと思われています。実際に5000m・1万mでも戦えていないのに、なんで3000mSCで戦えるのかと思われても仕方がない。日本の選手で瞬発力や体幹(?)に自信のある選手はやっていく******。僕はただ、こういう舞台で精一杯やっていくだけ。そういう心構えでいます」


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