2005/6/6 世界選手権代表選手記者発表
ヘルシンキ選手団の特徴は?
丹野が女子400 m初の代表、五輪を含めても41年ぶり
金丸は10人目の高校生代表
異色の成長過程が興味深い日高
最多出場は室伏の6回連続
早狩は実に14年ぶり
●女子400 mと七種競技で史上初
日本選手権女子400 mで日本人初の51秒台(51秒93)を記録した丹野麻美(福島大)が、世界選手権同種目初の代表となった。五輪を含めても1964年東京五輪の小川清子(長良高)以来、史上2人目の快挙。東京五輪は地元開催で大人数の選手団だったが、小川は準決勝まで進出したので、“地元優遇枠”だったわけではないようだ。
七種競技の中田有紀(栄クリニック)も、世界選手権初の女子混成競技代表。しかし、こちらは昨年のアテネ五輪から連続出場。
●金丸が代表入り、高校生では10人目
日本選手権男子400 mの予選で45秒69(高校新・ジュニア歴代2位)、決勝も45秒86で快勝した金丸祐三(大阪高)が代表入り。インターハイに出場後にフィンランド入りし、4×400 mRに出場するスケジュールが有力。
高校生の世界選手権代表は過去9人と、意外に多い。
男子では87年ローマ大会4×100 mR3走の名倉雅弥(坂戸西)、99年セビリア大会1500mの佐藤清治(佐久長聖)。女子では83年ヘルシンキ大会走高跳の佐藤恵(沼垂)、91年東京大会4×100 mR1走の正木典子(城ノ内)、同2走の柿沼和恵(埼玉栄)、同補欠の吉田香織(高志。結婚後は坂上姓で活躍)、93年シュツットガルト大会10kmWの上岡由佳(山田)、99年セビリア大会5000mの藤永佳子(諫早)。
佐藤恵、柿沼、吉田の3人が高校2年生時に代表となっている。
●ジュニア選手
金丸と、日本選手権男子100 mに優勝した佐分慎弥(日体大)の2人が、今年いっぱいU20のジュニア資格を持つ選手。佐分は昨年、日本ジュニア選手権とインターハイと国体少年Aで100 m3冠を達成した選手で、それなりに注目されていた。それでも、百戦錬磨の朝原宣治(大阪ガス)に勝ったのには驚かされた。
●日高、日本選手権初出場で代表入り
若い佐分にもびっくりさせられたが、それ以上の驚きは、7月で25歳となる日高一慶(宮崎アスリートクラブ)の急成長だ。日本選手権はなんと初出場。準決勝で10秒29と大会前の自己記録を0.15秒更新し(昨年と今年4月に10秒44)、決勝では佐分、朝原に次いで3位。国際大会の日本代表は、初めてではないだろうか(アジア大会以上では確実に初めて)。
年次別ベストと主要大会成績は以下の通り。
年 |
学年 |
大会名 |
種目 |
ラウンド・組 |
順位 |
走順 |
年次ベスト |
1997 |
高2 |
|
|
|
|
|
10秒72
21秒81 |
1998 |
高3 |
全国高校 |
男100m |
準決勝3組 |
5 |
|
10秒80
21秒64 |
男200m |
決勝 |
7 |
|
男4×100mR |
準決勝2組 |
8 |
4 |
1999 |
大1 |
日本学生対校 |
男4×100mR |
決勝 |
3 |
3 |
10秒61 |
2000 |
大2 |
日本学生対校 |
男100m |
予選4組 |
5 |
|
10秒57 |
男4×100mR |
決勝 |
8 |
4 |
2001 |
大3 |
日本学生対校 |
男100m |
決勝 |
7 |
|
10秒49
21秒42 |
男4×100mR |
決勝 |
5 |
2 |
2002 |
大4 |
日本学生対校 |
男100m |
予選4組 |
dns |
|
10秒50 |
男200m |
予選3組 |
dns |
|
2003 |
社1 |
|
|
|
|
|
10秒52
21秒65 |
2004 |
社2 |
全日本実業団 |
男100m |
決勝 |
3 |
|
10秒44
21秒11 |
2005 |
社3 |
日本選手権 |
男100m |
決勝 |
3 |
|
10秒29 |
日南高2年までインターハイ宮崎県大会でも入賞できなかった。3年時に宮崎県大会で2冠となったが、南九州大会は100
m・200 mとも末續慎吾(九州学院高)、甲斐哲郎(宮崎工高)に敗れて3位。甲斐はこの年のインターハイ200
m優勝者、末續は国体少年A100 m優勝者だった。
順大時代のインカレ個人種目での決勝進出は3年時が初(関東インカレも)。しかし、優勝争いをするわけではなく、年次別ベストを見ても昨年までは10秒44(2004年の日本リスト25位)。昨年秋、全日本実業団と国体で3位に入っているのが唯一、今回の快挙の兆しだった。
長距離では20歳代半ばに急成長することもよくあるが、一般種目では珍しい。同じ教員選手で、教員日本最高(10秒22)を持つ山下徹也も一時、名前が聞かれない期間があったが、高校時代にはインターハイ2位と強かった。
どんな環境とモチベーションで、どんなトレーニングを続けた結果なのか、興味のあるところだ。
●男子20kmW、2回連続のフルエントリー
かつては、フルエントリーのなかった20kmWが、前回のパリ大会に続き、3人が代表入り。競歩がインターハイ本大会に行われるようになった成果で、若い段階での人材発掘が上手く行っているように感じられる。ただ、標準記録A(1時間23分00秒)は昨年の世界リスト90位前後。フィールド種目など25位前後に設定されているという違いはある。
●出場回数と出場種目数
6回目:室伏広治(ミズノ)
5回目:朝原宣治(大阪ガス)
4回目:高岡寿成(カネボウ)
:弘山晴美(資生堂)
3回目:谷川 聡(チームミズノアスレティック)
:内藤真人(ミズノ)
:為末 大(APF)
:岩水嘉孝(トヨタ自動車)
:信岡沙希重(ミズノ)
:大島めぐみ(しまむら)
:池田久美子(スズキ)
最多出場は室伏広治の6回。室伏はミズノ広報を通じて以下のコメント(抜粋)を寄せた。
「世界選手権出場は6回目。初めて参加したときは緊張しましたが、最近は色々な経験を生かして少しずつ、力を発揮できるようになってきました。1983年の第1回大会と同じヘルシンキで行われるということで、自分自身も原点に戻って、いい試合ができたらと思っています。
近年は陸上競技全体、(マラソン以外の)フィールド選手、トラック選手も活躍し始めました。ヘルシンキは次の大阪大会、そして北京五輪に繋がっていく、ステップとなる試合だと思います。私も含めた日本代表全体が盛り上がって、良い成績を残したい」
その第1回大会には父の重信氏が出場した。
4回目の弘山晴美は、シュツットガルト大会の1500m・3000mから始まって、5000m、1万m、ついにはマラソンへと距離を伸ばしてきた。5種目はもちろん、世界選手権出場種目数最多記録。高岡寿成の3種目も、男子では個人種目最多となる。
3回目となると以下の7人。谷川、信岡、大島の3人は世紀をまたいでの出場。内藤、為末、岩水の障害トリオに池田を加えた4人は、21世紀3大会皆勤賞。
●14年ぶりの出場
早狩実紀(光華AC)は同大1年時の1991年東京大会に3000mで出場(予選1組11位・9分14秒02)。今回、実に14年ぶりの出場で、間隔の長さでは日本最長。世界でも例がないのではないか?
男女 |
種目 |
選手名 |
所属 |
男子 |
短距離 |
佐分慎弥 |
日体大 |
朝原宣治 |
大阪ガス |
日高一慶 |
宮崎アスリートクラブ |
高平慎士 |
順大 |
金丸祐三 |
大阪高 |
佐藤光浩 |
富士通 |
井上洋佑 |
筑波大 |
中距離 |
小林史和 |
NTN |
長距離 |
三津谷祐 |
トヨタ自動車九州 |
岩水嘉孝 |
トヨタ自動車 |
マラソン |
尾方 剛 |
中国電力 |
入船敏 |
カネボウ |
高岡寿成 |
カネボウ |
細川道隆 |
大塚製薬 |
奥谷亘 |
SUBARU |
ハードル |
内藤真人 |
ミズノ |
谷川 聡 |
チームミズノ |
為末 大 |
APF |
成迫健児 |
筑波大 |
競歩 |
谷井孝行 |
佐川急便 |
杉本明洋 |
京大大学院 |
森岡紘一朗 |
順大 |
山崎勇喜 |
順大 |
明石 顕 |
ALSOK |
跳躍 |
寺野伸一 |
奥アンツーカ |
石川和義 |
三洋信販 |
投てき |
室伏広治 |
ミズノ |
村上幸史 |
スズキ |
女子 |
短距離 |
石田智子 |
長谷川体育施設 |
信岡沙希重 |
ミズノ |
佐藤友香 |
七十七銀行 |
丹野麻美 |
福島大 |
中距離 |
杉森美保 |
京セラ |
長距離 |
福士加代子 |
ワコール |
大南博美 |
トヨタ車体 |
宮井仁美 |
豊田自動織機 |
早狩実紀 |
光華AC |
マラソン |
小崎まり |
ノーリツ |
原裕美子 |
京セラ |
大島めぐみ |
しまむら |
江田良子 |
ヤマダ電機 |
弘山晴美 |
資生堂 |
競歩 |
川崎真裕美 |
海老沢製作所 |
小西祥子 |
パンジョ |
跳躍 |
近藤高代 |
長谷川体育施設 |
池田久美子 |
スズキ |
投てき |
豊永陽子 |
T−FARM |
室伏由佳 |
ミズノ |
混成 |
中田有紀 |
さかえクリニックT.C |
寺田的陸上競技WEBトップ