2005/11/20 東京国際女子マラソン
高橋の強烈スパート健在
35-40kmの17分09秒は
過去最速!!
ちなみに一昨年の20分17秒は過去最低

 シドニー五輪で日本陸上界に戦後初の金メダルをもたらした高橋尚子(ファイテン)のスパートは健在だった。
 高橋のレースには大きく分けて2パターンある。下記がマラソン全成績一覧表だが、2度目のマラソンで日本記録を更新した98年名古屋と、シドニー五輪代表を決めた00年名古屋、そしてシドニー五輪がスパートするパターン。アジア大会とベルリン2回は記録狙いで最初からハイペースで走り、勝負をつけるための強烈なスパートをする展開にはならなかった。
回数 記録 順位 大会 月日
2.31.32. 7 大阪国際女子マラソン 1997 1.26
2.25.48. 1 名古屋国際女子マラソン 1998 3.08
2.21.47. 1 バンコク・アジア大会 1998 12.06
2.22.19. 1 名古屋国際女子マラソン 2000 3.12
2.23.14. 1 シドニー五輪 2000 9.24
2.19.46. 1 ベルリンマラソン 2001 9.30
2.21.49. 1 ベルリンマラソン 2002 9.29
2.27.21. 2 東京国際女子マラソン 2003 11.16
2.24.39. 1 東京国際女子マラソン 2005 11.20

 つまり、今回は5年ぶりの高橋のスパートが見られたわけである。東京のコースでは初めて。東京の35km過ぎからの上り坂で、あれだけ強烈なスパートは記憶になかった。そこで、フィニッシュタイムが2時間30分未満の全パフォーマンスの、35-40kmのスプリットタイムを調べてみた。それが、下記の表である。
35-40km フィニッシュ記録 順位 選手 所属
17:09 2:24:39 2005 1位 高橋尚子 ファイテン
17:21 2:25:24 1987 1位 カトリン・デーレ 東ドイツ
17:32 2:25:08 2001 1位 デラルツ・ツル エチオピア
17:36 2:27:45 1997 1位 伊藤真貴子 第一生命
17:36 2:28:50 1995 3位 原 万里子 富士銀行
17:40 2:28:02 1997 2位 ジョイス・チェプチュンバ ケニア
17:41 2:25:15 2005 2位 ジビレ・バルシュナイテ リトアニア
17:42 2:24:59 2002 1位 バヌーエリア・ムラシャニ タンザニア
17:42 2:25:02 2002 2位 松岡理恵 天満屋
17:43 2:25:29 2001 2位 イリーナ・ティモフェエワ ロシア
17:45 2:28:46 1995 1位 浅利純子 ダイハツ
17:45 2:28:48 1995 2位 ワレンティナ・エゴロワ ロシア
17:46 2:25:35 2001 3位 ブルーナ・ジェノベーゼ イタリア
17:48 2:28:49 2000 6位 アリナ・イワノワ ロシア
17:53 2:28:23 1997 3位 ヤネ・サルマエ エストニア
17:54 2:24:02 2000 1位 ジョイス・チェプチュンバ ケニア
17:54 2:26:34 2004 1位 ブルーナ・ジェノベーゼ イタリア
17:55 2:22:12 1999 1位 山口衛里 天満屋
17:55 2:26:43 2004 2位 嶋原清子 資生堂
17:57 2:28:56 1995 4位 吉田直美 リクルート
17:58 2:24:47 2000 2位 土佐礼子 三井海上
17:58 2:26:45 2002 3位 イリーナ・ティモフェエワ ロシア
18:03 2:27:57 1987 3位 ゾーヤ・イワノワ ソ連
18:06 2:26:34 1987 2位 カーラ・ビュースケンス オランダ
18:06 2:27:52 2000 4位 マルゴルザタ・ソバンスカ ポーランド
18:10 2:27:01 2001 5位 マルゴルザタ・ソバンスカ ポーランド
18:10 2:28:29 1998 1位 浅利純子 ダイハツ
18:10 2:28:29 1998 2位 市橋有里 住友VISA
18:11 2:26:55 2005 4位 スベトラーナ・ザハロワ ロシア
18:13 2:29:37 1995 5位 後藤郁代 旭化成
18:15 2:26:39 2001 4位 ディタ・コンスタンティナ ルーマニア
18:17 2:26:40 1993 1位 ワレンティナ・エゴロワ ロシア
18:19 2:28:20 2000 5位 片岡純子 富士銀行
18:23 2:27:28 2004 5位 ジビレ・バルシュナイテ リトアニア
18:24 2:28:22 1993 2位 谷川真理 資生堂
18:26 2:26:50 2005 3位 エルフィネッシュ・アレム エチオピア
18:30 2:27:38 2005 5位 マーラ・ヤマウチ
18:32 2:24:47 2003 1位 エルフィネッシュ・アレム エチオピア
18:32 2:27:38 1992 1位 リズ・マッコルガン
18:34 2:26:38 2000 3位 デラルツ・ツル エチオピア
18:34 2:26:58 2004 3位 エルフィネッシュ・アレム エチオピア
18:36 2:27:05 1999 2位 ファツマ・ロバ エチオピア
18:40 2:27:02 2004 4位 千葉真子 豊田自動織機
18:46 2:28:58 1996 1位 藤村信子 ダイハツ
18:47 2:28:52 1993 3位 カトリン・デーレ ドイツ
18:48 2:28:56 1999 4位 ヤネ・サルマエ エストニア
18:51 2:28:51 2000 7位 山内美根子 資生堂
18:53 2:27:15 1986 1位 ロザ・モタ ポルトガル
19:06 2:28:13 2001 6位 赤木純子 積水化学
19:08 2:28:06 1999 3位 ワレンティナ・エゴロワ ロシア
19:14 2:29:32 1996 2位 マヌエラ・マシャド ポルトガル
19:15 2:28:22 2001 7位 後藤郁代 旭化成
19:26 2:29:24 2004 6位 孫 英傑 中国
19:52 2:29:18 2001 8位 市川良子 東京陸協
20:01 2:29:31 2002 4位 エルフィネッシュ・アレム エチオピア
20:12 2:29:00 1999 5位 千葉真子 旭化成
20:17 2:27:21 2003 2位 高橋尚子 スカイネットアジア航空

 予想通り、今回の高橋がトップ(※注)。それでいながら、レース後の会見では「意外に遅いぞ、と思った」と言うのだから恐れ入る。もっとも、この「遅いぞ」は、向かい風に関する質問の際に出た言葉なので、自身の感覚では16分台だったということなのだが。
 しかし、失速した2年前の同区間は20分17秒で、2時間30分未満のパフォーマンスでは大会史上最低記録。レース後の会見で「なんで、あんなにきつかったんだろう、と走っていて思いました」と話すのも肯ける。

※注 2時間30分00秒以下の記録では、94年に2時間30分09秒で優勝したワレンティナ・エゴロワ(ロシア)が、同区間を17分08秒と今回の高橋よりも1秒速かった。2時間30分30秒で2位の盛山玲世(芙蓉)も、17分19秒と上記リスト2位のデーレを上回っている。


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