2005/7/10 南部記念
末續が100 mに10秒15wで快勝、世界選手権追加代表確定
レース後の一問一答
「2カ月間、ダッシュをしていませんでした」
Q.現在の心境は?
末續 練習でスパイクを履いたのが先々週。どうかな、というのもあったけど、色んな人のアシストがあってここまでこぎ着けられ、ホッとしています。
Q.予選のスタートは力を出していなかったようにも見えましたが?
末續 2カ月100%ダッシュしていません。静岡国際のあと、スターティングブロックをつけたのは、今日のアップのときが初めて。ダッシュ**********、しどろもどろでした。
Q.タイムや走りは、自身の予想したものとどう違いましたか。
末續 1・2・3位争いに絡められれば、と思っていました。思いの外、ヒザ裏の痛みが長引いて、仕上げるのは遅めにしていました。正直、治るかな、と感じた時期もありましたが、色々な人に手助けしてもらって、上手い具合に痛みが引いて、ようやく試合に間に合いました。
「“元気な姿”だったら誰でも見せられる」
Q.記録的にはどう思いますか。
末續 いいと思いますよ。寒くて、条件が良くなかったけど、気にしないで思いきって行けました。今日は、思いきって走れるかどうかを、確認するレースでもあったんです。とにかく、元気な姿を見せてくれればいい、と言ってくれる声もありましたが、それだったら誰でもできること。ここで勝たないと、世界選手権に行く資格はないと思って臨みました。
Q.思いきり******?
末續 (雨のなかでは思いきったの方だが)まだ、走っている中で、冷静な感覚があります。今日はレース中のアナウンスも聞こえました。「アサハラクン」とか。集中してくると、視界も狭くなり、(音も)聞こえなくなります。これ以上行ったらまずい、というスピードの8〜9割でした。
Q.走ってみて気になった?
末續 それはなくなって、ここまでは“試合にこぎ着ける”練習でしたが、ここからは世界選手権に向けて、“試合を高められる”練習をしていきます。
Q.どうして合宿場所を沖縄に?
末續 毎年、梅雨の時期は練習がままならなかったですし、ヒザも、雨が降るとよくない。集中して温かい場所でやりたかったんです。雨は1回降りましたが、2週間、集中してできました。
「“技術の走り”と“筋力の走り”が分かれてしまっています」
Q.静岡国際のあと、動きをまた変えようとしているわけですが、今日のレースでどの程度できていましたか。
末續 今回のテーマはヒザが痛くならない走りです。最近、“技術の走り”と“筋力の走り”が分かれてしまっています。筋力に頼る走りだと地面とケンカをしてスピードが出せません。片や技術だけに頼ると、推進力が弱かったりする。どっちつかずなんです。両方を、上手い具合につなげていく作業をしているのですが、まだ答えは見つかっていません。
Q.腕振りを変えているということですが?
末續 そういうところもやっていますが、答えを探すのはいいのですけど、決めつけるのはよくないんです。
Q.世界選手権の年に2カ月間、実戦を離れたことをどうとらえていますか。
末續 こういうこともあるかな、と。北京や大阪を目指すなかで、そういう時期もあるでしょう。成功もあれば失敗もある。レースから離れないといけない時期もある。そのなかで自分でも考えることがありました。世界選手権もありますが、結果を求めすぎず、元気で活躍するのが仕事なら、その仕事をしようと。
Q.苦しかった時期もあった?
末續 全然。考えようによっては焦りますが、そこは九州男児ですから。色んな人に助けてもらって走っているんです。1人で走っているようでいて、実は(1人では)走っていない。それを切に感じました。ヒザのこの痛みには、どこの治療院がいいか、自分で考えて行動しました。たったの2カ月です。これからですよ。
「世界選手権の出場種目は、これからの練習がミソ」
Q.日本選手権がダメでしたが、世界選手権にはキチンと出ないといけない。走ることが仕事という立場で、それをどう意識しましたか。
末續 世界選手権という大きな仕事があります。もし、そこでキチッとした走りができない可能性があったら、それは我慢をしないといけない時期。僕は日本選手権に出る気だったんです。でも、体の状態を整理しないと何が起こるか危険な状態でした。下手に筋肉を使えなかった。しかし、チャンスをいただいて、記録会に出ればいいと言われました。でも、それでは意味がありません。南部は気合いで走りました。
Q.改めて(テレビ用に)、今日勝てた感想と、世界選手権への抱負をお願いします。
末續 ここにこぎ着けられたのは、試合に出られたのはすごく嬉しいです。2カ月もレースから遠ざかって、練習期間が長く感じました。代表権をもらったからには、タダでは帰ってきません。(具体的に)何をするかは、なるようになるという意味で、その辺は無抵抗ですけど(結果ばかりを考えすぎないという意味)。
Q.種目は100 m・200 m両方?
末續 もちろんです。これからの練習がミソですね。
Q.スピードを上げた練習を?
末續 明日の(ヒザの)状態が、どの程度かによりますね。
高野進コーチ・コメント
「あの練習でよく10秒1台で走れるな、と思います」
「私がインカレがあったので、末續1人で、沖縄で練習をしました。スタート練習は(東海大では)、昨日も一昨日もやらず、実際のレースまでどうなるか、一抹の不安はありましたね。でも、沖縄と毎日連絡を取っていましたし、練習のタイムから10秒2〜3は行くと思っていました。帰ってきた本人の表情を見ても、大丈夫だと。
力で走る走法のダメージが出てしまったので、ビデオをチェックしながらゆっくり、ゆっくり始めてきて、本人もつかみかけてきたものがある。末續も『自分でまとめます』と言ってくれました。本人なりに一生懸命考えて、自分自身で動きをつくり上げることが大事だと感じているようです。オーバーコーチングは控えるようにしました。
ここまで、研き上げる練習はしていません。量も追っていない。ゆっくりした動きで新しい感覚を確認していました。あの練習でよく10秒1台で走れるな、と思います。テンポ走です、200 mを24〜25秒の。でも、10秒のイメージを持ってやる。
今日は天候が良くなく、故障明けレースには不安がありましたが、ヘルシンキのことを考えたらリハーサルになる。第1回大会(ヘルシンキ)に私も出ましたが、気温が11〜12℃ということもあった。ここの結果で代表にならないと、胸を張ってヘルシンキには行けません。
久しぶりなんで、予選のスタートは本人なりに心配していたみたいです。決勝は、予選でキレが戻ったので、行けるな、という感触でした。
仕上げの練習はまったくしていません。これから始めます。ヘルシンキでもどこまで行けるかわかりません。アテネ五輪の敗北から、すぐに力がつくとは考えられませんし。世界選手権でニュー末續の第一ステップを踏めたらいいでしょう。先々を考えた中での世界選手権になります。
出場種目もまったく決めていません。アテネ五輪前はごまかしていましたが、本人は100 mに出たいと思っていました。今回は、本当にわかりません。故障明けで欲張っていいのかどうか。100 m・200 mともA標準を突破して権利は獲得しましたけど。あとは戦略もあります。日本選手団としての戦略も」
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