2005/1/22 全国都道府県対抗男子駅伝前日

兵庫
7年連続入賞を目指す兵庫
アンカーは7年連続別選手


 最多連続入賞記録を更新中の兵庫が、7回連続入賞に挑む。1区が全国高校駅伝1区11位の竹澤健介(報徳高)、3区が全日本実業団対抗駅伝2区区間3位の家谷和男(山陽特殊製鋼)、5区に高校駅伝3区区間2位の永井大隆(西脇工高)、7区に現役大学生1万m最高記録保持者の北村聡(日体大)という布陣。中学生2人も全日中3000mで決勝に進んでいる選手。優勝も狙えるメンバーだが、10年連続同県の監督を務める永里初監督は、まったく気負いがない。

「連続入賞を途切れさせないように頑張ります。1区を区間15位くらいでスタートし、2区で2つ3つ順位を上げ、3区で入賞ラインに上がりたい。5区でさらに上がればありがたいのですが、混成チームですから無理は言えません。(箱根駅伝の5区で痙攣を起こした)北村は大丈夫です。調子はいいようです」

 永里監督が余裕を持てっる理由は何だろうか。優勝にこだわらない兵庫県チームの姿勢があるのはもちろんだが、中学・高校と駅伝の強豪チームを抱え、人材が多く育っていることが背景にあるのは間違いない。

「夢と希望を与えるチーム」というのが、永里監督のチーム編成方針。ともすれば、エースが育てばその選手に頼りがちになるが、違う選手をメンバーに招集し、次々に育つ人材に機会を与えるという考え方。
 第1回大会からの兵庫県チームの順位と、アンカーの選手・区間順位は以下の通り。

第1回(96年)兵庫6位 7区・佐伯孝幸 区間31位
第2回(97年)兵庫22位 7区・大川久之 区間32位
第3回(98年)兵庫14位 7区・大川久之 区間40位
第4回(99年)兵庫1位 7区・小島忠幸 区間2位
第5回(00年)兵庫5位 7区・神屋伸行 区間7位
第6回(01年)兵庫2位 7区・坪田智夫 区間6位
第7回(02年)兵庫4位 7区・藤原正和 区間13位
第8回(03年)兵庫6位 7区・高橋謙介 区間11位
第9回(04年)兵庫2位 7区・上岡宏次 区間3位
第10回(05年)兵庫 位 7区・北村 聡 区間 位

 連続入賞が始まった4回大会以降は、2回以上アンカーを務めた選手がいないのだ。優勝回数は1回でも、兵庫が長距離王国であることは、このような点にも表れている。


長野
上野は箱根駅伝、佐藤は高校駅伝よりも上向き

 前回優勝の長野は1区に1万m高校最高記録保持者の佐藤悠基(佐久長聖高)を起用。成年区間は前回とは逆に、3区・帯刀秀幸(富士通)、7区・上野裕一郎(中大)という陣容。
 佐久長聖高の両角速先生は、全国高校駅伝1区で不調(1区区間7位)だった佐藤の状態に関して、次のように話した。
「全国高校駅伝の頃よりもいいが、万全ではない。予定外の積雪もあって、思うように練習ができませんでしたが、合わせなくてはいけない大会です。高校駅伝後は休養し、気持ちも切り換えさせました。本人なりにしっかり合わせてくるでしょう。区間賞で締めくくってもらいたい」
 箱根駅伝1区で痙攣を起こした上野裕一郎(中大)は、言葉少なに次のように語った。
「箱根駅伝に比べれば数倍、いい状態。長野のために頑張ります」


愛知
優勝候補筆頭か?
亀鷹監督も手応えの布陣


 開会式前後に指導者たちの声を聞くと、愛知の前評判が高かった。8分40秒台ちょっとが2人と、中学生区間でのリードが見込める。豊川工高勢は全国高校駅伝で全員が区間ヒト桁台の安定した強さで2位。今回も1区の野口功太は区間8位だった。そして、3区に前田貴史(トヨタ紡織)、7区に浜野健(トヨタ自動車)という布陣。
 亀鷹律良監督(トヨタ紡織)は次のように展望を話した。
「3区(前田)でトップに立ちたいですね。そこまでに流れをつくってしまえば、4区以降で順位が若干下がっても、アンカーの浜野で逆転できます。最終区に彼がいることで、心強くなれる。マラソン練習中なのでスピードに乗った走りができるかわかりませんが、しっかりした走りは期待できる。中学生2区間が強いので30〜40秒稼げるでしょうし、豊川工高の全国高校駅伝2位でチームに勢いがつきました」


鹿児島
五輪代表・大野の里帰り駅伝

 アテネ五輪1万m代表の大野龍二(旭化成)が、ふるさと選手として鹿児島の7区に出場する。
 5年前(2000年の5回大会)の鹿児島優勝時には中学3年で2区(区間15位で6人抜き)、鹿児島実高の3年間は4区(区間8位)、1区(区間15位)、1区(区間7位)。旭化成入社1年目の前回は出ていないので、2年ぶりの今大会出場となる。
 2年前の時点では高校トップクラスの選手というだけ。1年前ですら、アテネ五輪代表にまでなるとは誰も想像していなかった選手。
 若き五輪選手が“地元”へ戻った周囲の反応はどうだったのだろう。
「肩書きはオリンピック選手でも、周りは気軽に接してくれています。自分が変わるわけでもありませんし。“問題児の大野が帰ってきた”という感じですね。問題児というか、高校時代から一番明るかった選手だったと思うので」
 大野自身も、五輪選手を重荷に感じている風でもない。
「気構えみたいなのはありますが、だからといって気負ってもいい結果にはつながりません。オリンピック選手だから勝てる、というものではないと思います。ぎりぎりで選ばれた選手ですし、甘く戦って勝てる大会ではありません。高岡(寿成・カネボウ)さんみたいに力を付けたら、言えることだと思います」
 自身の区間賞よりも、チームに貢献する走りをしたいという。
「目標は37分50秒。タイム設定としては低いですけど、例年、37分台を出せば区間ヒト桁順位では行けます。狙って(ピークを合わせて)きた大会ではありませんし、(無理をするよりも)そのくらいの方が落ちてくる選手も拾えて、貢献できることになると思います」


高知
大森が区間記録更新に手応え

 高知の大森輝和(くろしお通信)が昨年、自身が3区でマークした23分52秒の区間記録更新に手応えを感じている。
「去年も今回も、1週間前に小さな駅伝の4km区間に出場したのですが、去年は追い風で10分38秒、今年は風がなくて10分41秒。今年は、そのときも(調整をあまりしないで)練習している状態でした。ちょっと上の状態だと感じています。三津谷祐(香川・トヨタ自動車九州)と同じくらいでタスキをもらうと思うので、楽しみですね」


神奈川
下里兄弟がタスキリレー

 下里兄弟のタスキリレーが明日、実現する。弟の下里雄喜(初声中)が6区、兄の下里和義が7区にエントリーされた。
 兄の和義は「何年か前から狙っていました。中学の選考レースの応援に行ったくらいです」と、喜びを口にした。
 下里兄弟にとっては10年越しの宿願だった。96年の第1回大会では長男の義夫が5区(高校生区間)に出場。翌年、中学3年の和義が6区に出場したが、義夫は2回大会以後、出場することができなかった。和義の9学年下の雄喜が今回メンバー入りしたことで、初のタスキリレーが実現する。


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