2005/4/29 織田幹雄記念国際
110 mHがヒートアップ
大橋が学生歴代2位の13秒65
“3強”が万全になるのは日本選手権か?
若手の台頭で男子110 mHが面白くなってきた。
織田記念には昨年のアテネ五輪代表だった谷川聡(チームミズノアスレティック)と内藤真人(ミズノ)に、日本選手権優勝の田野中輔(富士通)と3強が揃った。レースはD・ドリバル(ハイチ)が自己記録13秒25&01世界選手権3位の貫禄を見せて制したが(13秒58・+1.2)、内藤が13秒59で2位。ドリバルに0.01秒差と迫り、日本人トップの座を占めた。
「決勝は1台目をぶつけてバランスを崩し、ダメかなと思いましたが、大橋君が隣で、(学生には)負けられなかった。後半、リラックスができて、冷静に走れたのでなんとかなりました」
中盤まで筑波大4年の大橋祐二が胸ひとつリードしていた。終盤でドリバルと内藤真人が辛うじて抜き去った。
「8台目を抜き脚のヒザでぶつけてしまいました。調子が良くて、踏み切りが近くなってしまったのかもしれません」と大橋。
それでも13秒65。内藤が01年にマークした13秒50とはまだ差があるが、学生歴代2位の好タイム。昨年4人いた13秒7〜8台の学生選手間でも、一歩抜け出た形に(大橋の詳細記事は陸マガ6月号に執筆)。
大橋に辛勝だった内藤は、故障明けで苦しい状態だった。
「3月の沖縄合宿から4月23日まで、アキレス腱の痛みで練習ができませんでした。JISSで治療をして、織田記念まで1週間の準備ができましたが、予選も通過できるかどうか不安でした。昨日の練習でいい感じをつかめました。練習のブランクはありましたが、冬期に動きのバランスを考えてやってきたことが、今日の結果に出ていると思います。弱点だった動きの部分がよくなって、ちょっとずつつながってきたのでしょう」
谷川は13秒77、田野中は13秒79で大橋の後塵を拝した。次なる対決は国際グランプリ大阪。大橋がさらに記録を短縮するのか、あるいは3強が“やっぱり格上”と思わせることができるのか。そこが注目点だが、内藤はともかく、谷川と田野中は大阪ではまだ、そこまで調子を上げらるのは厳しいか。
谷川は4月から筑波大の講師として新生活が始まり「思ったよりもストレスがある」と漏らす。その状況の中では、織田記念は「想定の範囲内」の結果だという。冬期トレーニング中から「今は水平方向だけを考えている」と話していた谷川。昨年までは冬期中もハードルを跳んでいたが、今季は織田記念にも「ハードル練習は1〜2回だけ」で臨んだ。
「(垂直方向との融合できる)感触はありますが、織田記念の感じではまだ、跳べません」
田野中の話は聞いていないが、岩崎コーチによれば3月上旬の沖縄合宿でふくらはぎを故障して、「スパイクを履いたのは1週間前」と、内藤と同じような状況。谷川、田野中とも国際グランプリ大阪で完全な状態にするのは「?」。
大橋は日本選手権への抱負を次のように話した。
「谷川さんとは一緒に練習していますから、しっかり仕上げてくるとわかります。A標準を突破している2人(谷川と内藤)は強いと思いますが、今回走ってみて、チャンスがないこともない、と思いました。3位以内が目標です。競ることができればA標準(13秒55)も出せないことはない」
その谷川は、次のように話した。
「日本選手権での勝負が第一ですから、今やっていることを時間的、環境的にすり合わせて、13秒4台が出せる状態まで持っていきたい。去年とはまた違うアプローチで、記録を出せるイメージでトレーニングしています。大橋君は織田記念くらいでは走れると思っていました。冬期からしっかり、通して練習ができている感じがします。自分で思っている部分と、実際にできている部分が、つかみ始めてきているのでは。標準記録に向けてしっかりトレーニングを積めば、日本選手権で13秒5台は出せるでしょう」
大阪はあくまで前哨戦。新旧対決は6月の日本選手権が本番だ(どの種目も日本選手権が最重要試合となるのだが)。
春季サーキット&国際グランプリ大阪2005
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