2005/10/23 国体1日目
成年女子800 mは専門外2選手が2位通過
丹野、久保倉の決勝のペースは?

 成年女子800 mでは専門外の2選手が、それぞれの組の2位で決勝に駒を進めた。1組では400 m日本記録保持者の丹野麻美(福島・福島大)が2分07秒57で、陣内綾子(佐賀・佐賀大)に0.14秒差。2組では400 mH日本歴代2位の久保倉里美(新潟・新潟アルビレックスRC)が2分09秒14で、桑城奈苗(滋賀・アコム)に0.27秒差。
 しかし、同じ2位でもレース内容は異なっていた。

 丹野はオープンとなる100 m地点ではトップに立つような勢いだったが、そこから抑えて2番手に。その後も3番手、4番手と意識的に下がるような走り方。しかし、残り100 mで切り換え、陣内に迫ってフィニッシュした。
「今日は余裕があったので、決勝で自己記録は更新できそうです」
 9月の2分07秒31(日本学生チャンピオンシップ)に迫るセカンド記録。そのときは1周目を63秒で入ったが、今回は62秒。それでも、1人で先頭を走った自己新のときと違い、1秒速くても今回の方が余裕があったという。
 明日の決勝の丹野自身の目標は自己記録更新だが、周囲の期待はもう少し上にある。予選後に「1周目を58秒で先頭が通過したら付いていくのか?」という質問が出た。西村美樹(東京・東京高ク)あたりが、そのくらいのハイペースで入る可能性はある。
「そこが難しいところです。そこまでの練習はしていません。勝負なので付いていくかもしれませんが、たぶん、ダメだと思います」
 確かにまだ、60秒を切るタイムで前半を走ったことはないし、練習でもそこまでのペースは試していないようだ。だが、今日の走りの余裕を見ると、58秒で入っても2周目をかなりのタイムで上がってこられるような感じを受けた。それが具体的に何秒となるか…。

 久保倉はプログラムの参加資格欄が空欄だったので、今回が初800 mかと思われた。もしもそうなら、初800 m日本最高記録(2分09秒99=大湊慧・2000年)更新だったが、本人に確認すると今大会が3回目だった。丹野との違いは集団から大きく遅れて走ったこと。400 mでは1秒前後の差があった。16秒毎にウォッチが鳴るようにセットし、100 m16秒のペースで走ったからだ。
「そういう練習しかしていません。集団に付いて行っていたら潰れていたと思います」
 400 mまではそのペースを守ることができ64秒で通過したが、集団は63秒。500m、600mと“16秒ペース”が守れずにさらに差が開いたが、水濠付近の応援で鞭が入った。前の集団を追うと、フィニッシュ前で集団に割って入って2位に。最後の200 mは31秒だったという。
「あれで、いっぱいいっぱいでした。決勝も今日のような展開しかできないと思います。みんなが下がってくるのを待つようなレースになりそう。1点でも多く取るのが目標です」

 同じ福島大・川本和久監督門下でも、丹野は優勝をも視野に入れている。練習では丹野も“16秒ペース”で行なっているが、久保倉に比べればレース経験がある。明日の決勝は2人がどんな展開をするかにまず、注目したい。


寺田的陸上競技WEBトップ