2005/12/17 全日本実業団対抗女子駅伝
区間エントリーと前日取材から
明日のレースを展望すると


全体編

 区間エントリー一覧はISHIRO! Flash
 13時から監督会議が行われ、明日の区間エントリーが確定した。
 全体的な傾向としては、大物選手の欠場が目立つ。三井住友海上・土佐礼子、京セラ・原裕美子、資生堂・藤永佳子、天満屋・坂本直子、第一生命・斎藤由貴、ダイハツ・山中美和子、デオデオ・小鳥田貴子、サミー・橋本康子ら。どのチームも必ず“1枚”は欠けているので、故障者による有利不利はないとも言える。
 その影響か、1区に“名前のある選手”が例年より少なくなった。フィレス(ホクレン)の飛び出しが予想されるが、「追うことのできる選手はいないのではないか」という有力チーム監督の声も、少なからず聞かれた。

 エントリー区間で“おっ”と思わせたものは、それほど多くない。三井住友海上では大平美樹が初めて5区に起用されたが、東日本予選でもテスト済み。ワコールが野田頭美穂&鈴木亜弥子の欠場の影響もあって、福士加代子を5区に起用してきたが、これも前回と同様。強いて言えば、資生堂がついに、弘山晴美をアンカーに起用してきたことくらい。
 資生堂チーム内で現在のナンバーワンは3区の佐藤由美で、5区の加納由理も力を付け、弘山と変わらない状態だという。それに加えてかねてから、初優勝時には弘山にテープを切らせたいという希望が選手間にあり、今回ついに、アンカーへの起用となった。
 意外といえるのは、パナソニックが1区に吉川美香、5区の最長区間に杉原加代を起用したこと。東日本予選同様に1区・杉原、2区・吉川、3区ジェーン・ワンジクが予想されていたのだ。「選手不足で苦肉の策」と星善市監督は言うが、1500mのスピードのある杉原、吉川の2人が乗れば、面白い存在となる。

 レース展開はホクレンが1区のフィレスでリードしそう。どこまでトップを守れるかが注目されるが、3区の赤羽有紀子が好調なら、4区途中まで行く可能性はある。3強の三井住友海上と京セラ、資生堂がどこでホクレンをとらえるか。
 3強の位置関係は、本当にどうなるかわからない。トラックの状態では京セラ有利と思われたが、ここに来て三井住友海上の各選手もいい状態に仕上げてきた。“明日いい状態”をつくった選手が勝つことになる。また、京セラ3区の阿蘇品照美、三井住友海上5区の大平と、1月に初マラソンを控えた2選手が、駅伝をどう走るかも、勝敗を左右するポイントになるかもしれない。
 ワコールは前半をどこまで我慢できるか。5区の福士に1分以内の差で渡せば、可能性はある。第一生命は斎藤の欠場が痛いが、1区の垣見優佳が好調なだけに、3区の尾崎好美の踏ん張り次第か。積水化学は1区・上野理恵、3区・岡本由美子、5区・長尾育子と、柱となるべき選手がきっちりその区間に収まった。要注意の存在だろう。
 しまむらも馬目綾を3区、大島めぐみを5区と、布陣を見るかぎりは勝負をかけてきた。ノーリツは岡本治子が1区なら、復活の度合いが高いと見てよかったが、2区となると、まだまだ不十分とうこと。1区・山口由香、2区・岡本のスピードが、上手く引き出されると、3区・小崎まり、5区・大山香織の力が生かせる。

 資生堂・川越学監督は自チームの仕上がりを「2時間14分00秒程度。今回はどこも、2時間13分台の力はないのでは?」と予想する。過去、2時間13分台は一昨年、昨年と連覇した三井住友海上と、昨年2位の京セラ、94年に5区間の区間賞を独占したリクルートだけ。確かに、有力選手の欠場が多いことを考えると、そのレベルは厳しいかもしれない。
 さらに明日は低温が予想され、雪になる可能性もあるという。悪条件を“有利”と思えるかどうか。メンタル的な部分が、勝敗を左右するかもしれない。


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