2005/12/17 全日本実業団対抗女子駅伝
区間エントリーと前日取材から
明日のレースを展望すると
チーム別編
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●三井住友海上
◇鈴木秀夫監督
「やってきたことを出せれば、去年と同じ感じでレースを進められるのでは。あとは1区。(日本人)トップでなくても、挽回できる位置で持ってきてくれればいい。相手も、それほどいっぱいいるわけじゃないし。3連覇は、1回逃しているからね(00・01年と2連勝したが、02年は第一生命が優勝)。ぜひ、したいですね。こちらから、(3連勝しろと)言葉に出しているわけじゃないけど、選手1人1人がそういう気持ちでいる」
「渋井は今日も、1000mを1人でやりたいと言ってきて、3分02秒で行けた。(数日前の)3000mも9分14秒でスーッと上がったし、そのときは大平も1人でやって9分17秒で行けた。大平はマラソン練習もやっているから、11kmの距離も大丈夫。山下(郁代)が仕上がりが良かったのに外さざるを得なかった。2000mを6分04秒、3分04秒で入って3分00秒で上がったくらいだったのに、選手になれない。そういう状況を、他の選手たちもわかっていると思う」
「1区さえ行ければ、穴はない。東日本予選で高山(典子)は引っ張って失敗した。明日は、(フィレスが)中途半端なスピードだとつく選手も出てくるが、思い切って行ける選手は1区に来ていない。東日本よりもコースがきついから、(6区で逆転した)あのときよりも早くつかまえられると思う」
◇大平美樹
「10kmの区間は東日本に続いて2回目。全日本ですし、優勝もかかっているので、そのときより緊張感はあります。タイムは坂下(奈穂美)先輩や土佐(礼子)先輩と同じくらいでは走りたい」
●京セラ
三井住友海上がエースの欠場を何度も克服しているのに対し、京セラの2年連続2位は原裕美子が5区で、前々回2位、前回1位とエースとしての走りをしっかり果たしてきた結果だった。
原が不在でも1万m31分台ランナーが3人いる。1区に小川美智子、3区に阿蘇品照美、5区の小川清美と配し、2区に中距離2種目日本記録保持者の杉森美保、6区に国体5000m2位の石井智子というエントリーで、前半でも攻められるし、アンカー勝負にも対応した布陣。
問題は、世界選手権マラソン6位の大黒柱がいなくなったことによる、精神的な焦りか。特に、前半のエース区間に登場する阿蘇品が、“自分が何とかしないと”という気持ちになると、力みにつながってしまう。
しかし、阿蘇品の話を聞くと、その心配はなさそうだ。
◇阿蘇品照美
「(原の欠場は)昆明で合宿していた11月の終わりには、難しいかなと感じ始めました。自分が5区に行くこともイメージしましたけど、マラソン練習をやっている分、距離への不安がなくなっています。以前だと、10kmを超える距離に対しては、構えた部分もありましたが、それがなくなりました。(前半の自分が)しっかりしないといけない、とは思いますが、ガチガチになると空回りしますから。チーム全体としても、原さん1人に頼る部分がなくなっています。1人1人の意識が、去年までより高くなったと思う」
●資生堂
弘山晴美をアンカーに起用した。夏のマラソンを走ったことで、弘山のスピードの戻りが若干遅れたこともあるが、むしろ、佐藤由美と加納由理の2人が力をつけたことによる結果だという。
藤永佳子が外れたが、直前の練習ではメンバー入りも可能な仕上がりだったという。ただ、夏からの練習の状況を見て、中期的にしっかり練習ができている選手が起用された。それだけ、各選手の状態がいいということだろう。
5000mの平均タイムはチーム史上最高で、高地トレーニングの日数も年間で例年より20〜30日上回る。筋力トレーニングへの取り組みも積極的な選手が増えた。ヨーロッパ合宿中に世界選手権観戦&応援に4選手が行き、モチベーションも高まった。
川越学監督も手応えを感じている。
◇川越学監督
「弘山を1区に起用して1〜2秒稼ぐよりも、アンカーで1〜2秒勝とうという考え方。極端に言えば、ラスト100 m勝負で勝てばいい。1区の(今大会初出場の)平田も、今が絶好調。直前の3000mで自己新を出しているくらい。1区も楽しみです」
●ワコール
野田頭美穂、鈴木亜弥子と、5000mのタイムでチーム2、3番目の選手に加え、前回3区を務めるなど、安定感のある風間友希も欠いた布陣に。野田頭と鈴木は調子が上がらずにメンバーから外れ、風間は第2中足骨を痛めてしまった。公式プログラムでは「優勝」を目標としていたが、3位以内に修正せざるを得ない状況に。
◇永山忠幸監督
「5区の福士に1分以内の差で中継したい。1万mの記録では30〜40秒差ですが、自分でペースを作らないといけない駅伝だったら、そのくらいの差はあると思う。5区の追い風を利用して、どれだけ走れるか。風間が使えると厚みが違ってきたが、アンカーに松元(美香)が起用できたのは明るい材料。ゼッケンが4(前回順位)ですから、それより前の順位だったら合格点です」
●パナソニック
1区・杉原加代、2区・吉川美香、3区・ワンジクとなれば、前半をトップで行く可能性があった。杉原は03年の1500mの日本選手権優勝者で、その後は距離を伸ばし、今季は5000mで日本選手権4位、1レースだけだったが1万mでも32分29秒29を出している。吉川は1500mで今年の日本選手権4位という成長株。2人とも1500mで4分17秒台のスピードを持つ。そして、ワンジクは言わずと知れたアテネ五輪5000mケニア代表の国際的ランナー。
しかし、キャプテンの川村美香が起用できなかったのが響いた。高橋富士子も2年前の宮崎女子ロードで2位の実績からわかるように、本来なら5区の選手だが調子が上がらずに4区起用となった。短い距離の区間を予定していた選手も、思うように調子が上がらない。苦肉の策が1区・吉川、3区・ワンジク、5区・杉原だった。
◇倉林俊彰コーチ
「浮き沈みの出る展開になると思いますが、杉原が遅いペースにはまらず、上がっていくペースに乗って欲しい。吉川が1区のスタミナが付いてきたのは確か。日本人トップの見える位置で渡せればいいのですが」
◇星善市監督
「杉原が福士に追いつかれて、一緒に行く展開になればいいのですが。1万mは1回しか経験していませんが、練習から判断すると、走れると思いますよ。攻めのオーダーでは決してありませんが、ケガの功名になればいい。4〜10位は力の差はありません。どこにも4位の可能性はある」
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