2005/11/5 全日本大学駅伝前日
明日の見どころをオーダーと監督コメントから紹介

◆駒大
齊藤が欠場、佐藤4区で藤山が8区
「齊藤がいない状況で序盤をどう踏ん張れるか。箱根に向けて、新戦力が伸びるかどうか」

区間 選手 学年
1 堺 晃一 2
2 村上 和春 4
3 高井 和治 3
4 佐藤 慎悟 4
5 井手 貴教 4
6 平野 護 2
7 糟谷 悟 4
8 藤山 哲隆 4
風見 尚 4
安西 秀幸 2
太田 行紀 1

※コメントはすべて大八木弘明監督
 1万mで駒大現役最高記録(28分36秒64)を持つ齊藤弘幸が左足首の故障でメンバーから外れ、前回3区の本宮隆良も腰の痛みで登録メンバーにも入れなかった。佐藤慎吾を中盤の4区に置き、最終8区には藤山哲隆が起用された。2人とも4年生。
「去年の田中(宏樹・現中国電力)がそうだったように、今回も4区が重要。前半で出遅れたら、そこで修正しないといけないし、(上位にいれば)突き放すこともできる。そういう区間に佐藤を置いた。藤山も、夏合宿は佐藤と一緒にできた。距離に不安はないし、ラスト勝負に強いタイプなので、最後で並んでいたら面白い」
 1区は2年生の堺晃一。出雲にも出ていない選手だが、高島平20kmに1時間0分台で優勝した成長株。
「1区の堺は付いていくだけ。初めての駅伝なので、どれだけ見通しが立てられるか。ここでしっかり役目を果たせば、箱根にもつながる」
 2区は4年生の村上和春。齊藤が部全体のキャプテンだが、村上が長距離キャプテン。元々副キャプテンだったが、今大会を前に駅伝キャプテンという肩書きに。日大・サイモン、中大・上野裕一郎らスピードランナーが出場する区間。
「(齊藤が故障ということもあり)今は村上を中心にやっています。村上もスピードがついてきました。出雲の3区(区間2位=日本人トップ)でもよかったし、14分台ヒト桁の力はある。それに、ロードはトラックとはまた違います。ウチはロードの走りができる選手が多い。サイモンについていくことは、考えていません」
 3区は3年生の高井和治。高校時代から期待されていた選手だが、出雲、今大会とやっと、駅伝メンバーに定着してきた。1万mでも28分50秒台をマーク。
「今年の高井は少し、頑張ってくれるかな。揖斐(祐治・現エスビー食品)みたいな活躍を、ちょっと期待しています」

 レースの流れについては、以下のように話していた。
「1・2区がどう転ぶか。昨年のように1区で飛び出せることはめったにありません。1・2・3区のそのときの流れに、どう対応できるか。齊藤がいれば2区でしたが、彼がいない状況でどう踏ん張れるか。ウチの層の厚さでなんとかできるか」
 前回優勝校で箱根駅伝4連勝中の駒大。先月の出雲では4位だったが、距離が短く不利と思われたなか、5区終了時点ではトップに立っていた。メンバーの肩書きだけを見たら地味に見えるが、本当にそうなのか。
「名前が通っているかどうかより、強さが感じられるかどうか。その意味では、無難に来ていると思いますよ」
 問題はメンバーの学年構成だろう。4年生が5人で、3年生が1人、2年生が2人と下級生が少ない。各学年に必ず核となる選手を育て続けたのが、駒大の強さが継続している要因だ。現時点で4年生には佐藤、齊藤を筆頭に、箱根で頑張ってきた選手たちがいる。しかし、3年生位以下にはまだ、そういった選手が育っていないのだ。高島平優勝の堺と、1万m28分50秒台の高井がそうなりつつあるが、例年と比べると見劣りがする。高井は28分台といっても、出雲の2区では区間5位なのである。
「(箱根に向けては)今大会初出場の新人たちがどれだけ伸びるか。特に平野と堺がどれだけやってくれるか。明日上手くいったら、(箱根に向けて)駒大はまた行くな、と思える。沈んだときには、修正が大変になりますね」


◆日体大
1区重視の北村起用、2区に新人・石谷、アンカーは保科
「第2集団で最後に2〜3位に上がるよりも、最初にトップ争いをしたい」

区間 選手 学年
1 北村 聡 2
2 石谷慶一郎 1
3 末吉 敏 4
4 熊本 剛 4
5 梅枝 裕吉 4
6 鶴留 雄太 3
7 岩崎 喬也 4
8 保科 光作 3
佐藤 直人 4
藤原 司 2
野口 功太 1

※コメントはすべて別府健至監督
 日体大の1区と言えば鷲見知彦(3年)の指定席だったが、膝の故障で戦線を離脱している(別府監督によれば、「もう治りました」とのこと)。その1区に出雲のアンカー(区間3位)の北村聡(2年)を起用してきた。2区に1年生の石谷慶一郎(藤沢翔陵高出身)で、石谷も日本ジュニア選手権5000m優勝の実績を誇るが、強いて言えば1区に比重を置いている。「1・2区をセットに考える」(別所監督)のは珍しいことではないが、他校は大方、2区の方にスピードのあるエース級を配している。
「石谷1区も考えましたが、トータル的に見て北村と判断しました。石谷は(学生駅伝での)実績こそありませんが、合宿や普段の練習を見ても、石谷が2区に行くのは他の部員も認めるところ。1・2区が1セットで、3・4・5区が1セット、6・7・8区が1セットという考え方。(それぞれのセットにも)4区に熊本(剛・4年)、8区に保科(光作・3年)と置いています。熊本が1区をやれればいいのですが。外国人選手がどう走るかによって変わってきますが、北村には気負わずに行ってもらいたい。ベスト記録ならトップは当然と考えがちですが、そういうところに落とし穴がある。ウチはチャレンジする立場なんです」

 別府監督が1区にこだわったのは、序盤で必ずトップ争いをしたい、という強い思いがあるからだ。前回の箱根駅伝は16年ぶりの2位という好結果。しかし、1区・鷲見が区間3位につけたが、往路を独走した東海大にも、復路でトップに進出した駒大にも絡むことはできなかった。
 先月の出雲では1区の岩崎喬也(4年)が区間14位。タイム的に上位から大きく離されたわけではなかったが、結局、中位グループから浮上できず、最後に3位まで上がったが不満の残る内容だった。
「箱根にもつながる部分ですが、トップ争いをすることが今回の目標です。前の方でレースを経験することです。第2グループで進めて最後に6位、あるいは3位となるよりも、最初にトップ争いをして最後に10位になる方がいい。今回は結果ではなく、内容を重視したい」

 数年前の日体大だったら、2位や3位という結果なら、それでヨシとしていただろう。それ以上の結果、つまり、近い将来の優勝を目指すための内容重視なのではないだろうか。


◆中大
2区に上野、8区に池永のオーソドックスな布陣
加藤直人が学生駅伝初出場
「とにかく8区まで、先頭争いをしていきたい」

区間 選手 学年
1 田村 航 4
2 上野裕一郎 2
3 小林 賢輔 3
4 宮本 竜一 3
5 加藤 直人 4
6 中村 和哉 4
7 山本 亮 3
8 池永 和樹 4
真田 泰芳 4
奥田 実 3
加田 将士 2

※コメントはすべて田幸寛史駅伝監督
 2区にスピードのある上野裕一郎(2年)、8区に1万mで今季28分52秒57(=関東インカレ7位)の池永和樹(4年)を配置。大枠では、オーソドックスな布陣を敷いた。細かい点で言えば、前回1区の山本亮(3年)が7区に回った。昨年11月の府中多摩川ロードで駒大の主力数人に先着し、箱根駅伝でも1区を予定されていた選手だ(故障で欠場)。まだ、1年前の調子には戻っていないのか、1区の田村航(4年)の状態がいいのか、どちらかだろう。
「1区のこのメンバーなら、田村にはいい位置でタスキを持ってきてほしい。2区でトップに立てればいいのですが、それができなくてもトップ争いの中に含まれればいい。とにかく8区まで、先頭争いをしていきたい。ウチはどこからでも勝負できるし、全員が戦えるようでないと勝てません」
 田幸監督も日体大・別府監督同様、トップ争いをすることに意味があると考えている。昨年の今大会で、駒大に1区から独走を許したことを、しきりに悔やんでいた。昨年の中大はエースの高橋憲昭、山下りの野村俊輔、キャプテンの家高晋吾と4年生に人材が揃い、駒大に勝つ可能性も十分あった。しかし、全日本で打倒・駒大のきっかけをつかめなかったため、11月下旬の府中多摩川ロードで結果を求めた。
 そこで高橋が駒大キャプテンの田中宏樹に競り勝ち、前述のように山本が駒大の佐藤、糟谷に先着。きっかけはつかんだが、その後に上野、野村、山本と故障者が続出した。ケガの原因は練習の流れも結びつく部分なので、一概に府中多摩川ロードのせいとは言い切れないが…。

 話を今回の全日本に戻すと、上記のように言っても、2区で最低でもサイモンの日大の次には位置したいはず。1区で日大を引き離せれば、トップに立たないといけない。そうなるとやはり、上野の状態が気になるところ。
「出雲(6区2位)のあと、国体(成年1500m)を挟んでいますから、疲れがないと言ったらウソになります。ただ、悪い状態ではありません。元々力はある選手なので、力通りの走りをしてくれたらいい」
 国体の際に上野に話しを聞いたが、レースでは1500mに出ても、練習では駅伝用に30km走などもこなしているという。といっても、レースが1500mなら当然、“スピード・モード”にはなっている。それが現時点での、上野流の駅伝(&マラソン)へのアプローチ方法でもある。

 5区には加藤直人(4年)がエントリーされた。高校3年時には全国高校駅伝1区で日本人トップ。世界クロカンのジュニア代表にも2年連続して選ばれた。中大入学後はまったくと言っていいくらいにレースに出ていなかった。復活までの詳しい経緯は取材できなかったが、夏頃から走れるようになってきた、という情報も耳にした。
 一方、前回の箱根駅伝8区区間賞の奥田実が、補欠に回った。


◆順大
2枚看板不在で「我慢のレース」
1区に出雲失敗の1年生・小野
8区に好調の板倉を抜擢

区間 選手 学年
1 小野 裕幸 1
2 佐藤 秀和 1
3 清野 純一 3
4 松瀬 元太 3
5 井野 洋 2
6 長門 俊介 3
7 難波 祐樹 4
8 板倉 具視 3
和田 真幸 4
中村 泰之 3
鈴木健太郎 2

※コメントはすべて仲村明駅伝監督
 関東インカレ2種目日本人1位の松岡佑起(2年)と、箱根駅伝5区で驚異的な区間新をマークした今井正人(3年)の2人が欠場。松岡は右脛骨を関東インカレ後に痛め、そこは良くなったが今度は右の踵を痛めた。今井は春先に右の腓骨を疲労骨折。完治して夏には練習を積んだが、9月下旬に再度、同じ個所を痛めてしまった。
「さすがに明日の結果で、箱根への弾みはつかないと思いますよ。2人がいないなかで、どこまでできるかを見るレースになります」
 出雲ではその2人を欠いて10位。箱根の予選校や、関東以外の大学にも後れをとった。ただ、このときは3区の松瀬元太(3年)は外国人との位置関係でレースに「空洞ができてしまった」(仲村監督)という、不運な状況もあった。
 出雲の結果というよりも、出雲で明暗を分けた2選手が、明日のスターターとアンカーを任された点に注目したい。1区の小野裕幸(1年)と8区の板倉具視(3年)だ。

 小野はは出雲でも1区で区間13位。日体大・岩崎と同様、上位とのタイム差はそれほど大きくなかったが、流れを悪くしてしまった。1年生とはいえ5000mで13分57秒80を出していることを考えると、不満が残る結果だった。
「周りの動きに過剰に反応しすぎましたね。スピードがある選手にありがちなことで、余裕があって右に左に前にと、落ち着きのないレースをしてしまった。気づいたら最後に、余力がなくなっているというパターン。今回は同じ轍を踏まないようにさせないと」
 一方の板倉は、出雲の4区(6.5km)で区間賞と好調。だが、出雲・全日本で長距離区間への出場は初めてで、箱根駅伝にも出場したことはなく、駅伝の20km区間は初陣ということになる。
「今、チームの中で一番安定しています。ロードが好きで、ロードでは強さを見せる選手です。1・2年時は蚊帳の外にいた感じですが、この夏で変わりました。実業団の合宿に参加して、実業団選手の心構えに接したり、母校の立命館宇治高の合宿で、高校時代の強かった自分を思いだし、夏の一連の出来事で原点と将来を整理できたのだと思います。練習と精神が合致して、本来の力を発揮し始めました。金沢ハーフマラソンでは昨年の今井と、それほど変わらないタイムで走りました」

 5000m高校記録保持者の1年生・佐藤秀和が2区。仲村監督が気に懸かるのはやはり、1年生に頼らざるを得ない序盤の流れだ。
「明日は我慢のレースになりますが、とにかく小野ですよ。1区次第ですね」


◆東洋大
前半の3区間に1年生の有望選手を起用
4区・山本は昨年までサッカー選手
「有力校に対して引かず、前に行けるかどうか」

区間 選手 学年
1 大西 智也 1
2 市川 健一 1
3 尾田 寛幸 3
4 山本 浩之 1
5 今堀 将司 2
6 宮田 越 2
7 桜井 豊 2
8 黒崎 拓克 2
川畑 憲三 4
宮下 裕介 3
平沢 岳 2

※コメントはすべて川嶋伸次監督
 箱根駅伝予選トップ通過を果たした東洋大が、その原動力となった下級生中心の布陣で今大会も戦う。3年生1人、2年生4人、1年生3人。特に4区までに3人の1年生を起用してきた。
 1区の大西智也は予選会7位(1時間00分22秒)で東洋大トップ。2区の市川健一は今年5月に28分51秒58をマークしたが、記録会ではなく関東インカレという舞台で出したのが評価できる。注目されている“強い1年生”間でもトップで、竹澤健介(早大)や佐藤秀和と小野裕幸の順大勢に先着した。
 3区の尾田寛幸は川嶋伸次監督が勧誘した最初の学年で、尾田賢典(トヨタ自動車)の弟だ。そして今回、川嶋監督が注目しているのが4区の山本浩之だ。川口北高ではサッカー部で、本格的に走り出したのはサッカーを引退した3年時の5月から。それでいて、埼玉県国体予選で3位(14分42秒)となった。埼玉県の大学が勧誘に殺到したという。
「山本にはエースが揃う4区で、ある程度の走りをさせたい。そのためには3区までいい位置で走りたいですね。有力校の前で4区につないで、山本には追いつかれてから勝負をさせたいと思っています。入学してすぐに29分55秒で走っていますし、練習では大西、市川と3人、同じ練習をこなしています」

 5区以降は2年生4人を並べた。補欠に回った3人は前回の箱根駅伝出場選手だが、後半の4人は箱根を経験していない。箱根未経験は1年生3人も同様で、尾田以外は全員が箱根を走っていない選手だ。
「5・6・7区は箱根のボーダーラインの選手をあえて起用しました。もちろん8区(予選会8位の黒崎拓克)にはちゃんと、力のある選手を置いています。4区までの流れが大事ですね。上位に食らいついていけるかどうか。そしてシード権(6位以内)は4〜7区の走り次第ですかね。シード権も大事ですが、それよりも内容です。攻めていって上の選手とやり合うことが今回の目的です。駒大、日体大、中大に対して引かずに、前に行くことができるかどうか」

 予選会から間もないが、予選会の疲労は今大会では大丈夫そうだという。
「下級生が多く予選会の20kmに不安もありましたが、練習の流れがよく、予定通りに行きました。今も体調は落ちていません。ここまでは緊張感もあって、疲れは出ていません。この大会の後ですね、疲れが出る時期は。そこを上手く休ませたいと思います」
 今季の学生駅伝は、駒大・東海大・順大・日体大・日大・中大が6強と言われているが、東洋大がその一角を崩す可能性は十分にありそうだ。


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