2005/11/6 全日本大学駅伝ちょっとした企画
「箱根駅伝は何強?」

@日大
狙い通りの逃げ切りに成功。
2区サイモンが区間新で2位以下に大差をつけ、
“8番目の選手”阿久津が勝利を確定させる区間賞。
元スピード派チームは箱根に向けて順調


 すべてが上手く回転した。全日本大学駅伝のレース後、「足りなかったのはどこか」という問いに対し、日大・小川聡監督は次のように答えた。
「今すぐに、何が悪かったという点は思い浮かばない。2日くらい経てば、ここがあそこがと、浮かんでくると思うが…。88点ですね」

 1区の福井誠(3年)は区間6位と好位置に付けた。福井より上位は総合力で中位以下のチームばかり。中大に27秒、駒大には45秒の差をつけたのが大きかった。
 そして2区のサイモン(2年)の区間新で、狙い通りトップに立った。
「彼でトップに立って逃げる作戦を組んでいました。金曜日の夕方に三島に行って練習を見て、本人とも話し合って、その戦略を立てたんです」と小川監督。三島校舎で学ぶサイモンは、チームとは別に練習している。8区でなく2区に起用するにあたって、細心の注意を払ったのだ。

 3区の秀島隼人(3年)は区間2位だが、区間賞の駒大・高井和治(3年)とは2秒しか違わなかった。
 日大が3区まで全員が力を発揮して最高の流れでタスキをつないだのに対し、ライバル校にはミスが目立った。駒大は1区の堺晃一(2年)が区間12位で、前述のように日大から45秒の差。2区にサイモンがいることを考えると、これは大きな差だった。中大は日本人区間賞の2区・上野裕一郎(2年)まではよかったが、3区の小林賢輔(3年)が区間15位で流れを断ち切ってしまった。有力校の中では唯一、1区で日大に先行した日体大(北村聡・2年)は、2区の1年生・石谷慶一郎が区間16位で日大とは2分04秒差に。
 中大も4区終了時で日大と2分32秒差になり、駒大も2区終了時で1分47秒差。駒大は3区以降でじりじりと差をつめる区間も多かったが、この駅伝では2分差がつくと逆転は厳しくなる。それだけ戦力が拮抗しているのか、それとも、精神面も含めた最近の選手の傾向なのか。

 日大は4区以降もミスがなかった。4区・土橋啓太(3年)、5区・武者由幸(4年)と続いた区間5位が最も低い区間順位。4区で日本人区間トップの駒大・佐藤慎吾(4年)に40秒詰められたが、5区では駒大・井手貴教(4年)を8秒上回った。
 6区は駒大・平野護(2年)が区間賞で追い上げたが、日大・吉岡玲(4年)も区間2位で、詰められたタイムは14秒にとどめた。各選手の“デコボコ”がなく、これだけ安定した走りを見ると、距離が延びる箱根でも期待していい。
 そして、7区の阿久津尚二(2年)が区間賞の快走で、ほぼ勝負を決した。レース後、小川監督は阿久津の起用に最も迷ったことを明かした。
「あそこに阿久津を置いてよかったですね。8区の下重(正樹・4年)をずいぶん、楽にしたと思います。今日の走りがなかったら、阿久津の箱根はなかったかもしれません」
 言ってみれば“8番目の選手”。メンバー入りギリギリの選手が、いざ出場したら快走する。駅伝に勝つときのチームとは、そういうものかもしれない。

 2年前は出雲で優勝しながら全日本は7位、箱根は10位とシード権最後の順位。出雲の優勝に全力を出し尽くした、という面もあった。昨年は出雲で2連勝し、全日本は2位、箱根は3位。サイモンの加入もあったが、長い距離に対して適応し始めた。そして今年は(サイモンの誤算もあったが)出雲が5位で全日本が優勝。箱根に勢いが付いた。就任4年目の小川監督が、その辺の理由を次のように話した。
「ウチは元々、スピード型のチーム。それを、2年前からガラッと練習を変え、距離も踏むようにしました。選手たちも、同じことをやっていてもダメだというのを、わかってくれた。指導者との信頼関係も、そういった部分では重要になると思います」
 今大会前の時点では、箱根駅伝は駒大と東海大が2強と考えられていたが、全日本の結果で日大が肩を並べたと言っていいかもしれない。


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