2005/12/4 福岡国際マラソン
レース後共同会見
バラノフスキー(ウクライナ)1位・2時間08分29秒
「誰もが悪いと言う天候だが、私には助けとなった」
「残り1kmを切って勝てると確信した。一般的には誰もが悪いと言う天候だが、私には助けとなるものだった。ジュニアのヨーロッパ選手権では、もっと強い雨の中を走ったことがあるが、いい記録で走れた。今回のような雨で、もっと低い気温でも力を出せると思う。
今回良かったのは、4カ月間大きなレースをせず、このマラソンに向けて集中してトレーニングができたこと。これまでと違う練習方法を採って、それが効果的だったように感じている。
世界でも伝統のあることで有名な福岡で勝ったことで、ウクライナのマラソン発展に貢献できれば嬉しい。ウクライナには本当のトップレベルと言えるランナーは5〜6人しかいない。私の勝利が、素晴らしい競技であるマラソンに対し、ウクライナ政府が支援してくれることになるきっかけになればいいと思っている。
今回のマラソンは6回目で初めての優勝。アテネ五輪では暑さで完走できなかった。アテネは暑過ぎて、外を歩くのも嫌だった」
藤田敦史(富士通) 3位・2時間09分48秒
「悔しいのひと言。天候が悪いと言っても、タイム差が大きすぎるので評価できない」
Q.日本人1位でしたが、レースの感想は?
藤田 優勝だけを目指してここまでやってきたので、悔しいのひと言です。それだけです。
Q.記録については?
藤田 走る前から天気が良くないのはわかっていたので、記録は狙えないかもしれないと思っていました。2時間10分を切ったのは(2時間06分51秒の当時の日本記録を出した00年福岡の)一度だけでしたから、2回目だな、と。今回のようなあまりにも悪い条件になったときは、トップ選手とのタイム差が目安になります。その差が(1分19秒と)あまりにも開いてしまった。自分の中ではあまり評価できません。
Q.満足度は半分くらい?
藤田 しっかり練習ができてスタートラインに立てたことは、それは評価していいと思います。でも、結果は良くない。点数で言えば60点くらいです。
「折り返しまでに脚に余裕がなくなっていた」
Q.風が強い中で日本人は1人となってしまいましたが、どこで仕掛けようと思っていましたか。
藤田 折り返してからが勝負だな、と考えていましたが、折り返しに行くまでに、自分にあまり余裕がなくなっていました。ペースも安定しませんでしたが、ペースメーカーが速いと感じた時点で、気持ちの余裕がなくなった。一番余裕がなくなったのは20kmあたり。そこから徐々に楽になりましたが、折り返し辺りからまた、余裕がなくなってしまいました。優勝したウクライナの選手がポーンと行ったときは、対応できませんでした。折り返し後は向かい風ですから1人になるより前に選手がいた方がいいと、前を追ったのですが、脚に来てしまっていました。
「最後の1カ月の調整で、練習のタイムを上げすぎてしまった」
Q.そういった状態になってしまった要因は?
藤田 ひと言でいえば、(調整段階の)練習を(タイム的に)やり過ぎてしまった。今日の分析はまだ、できていないのですが、ピークが早めに来てしまったのかな、と感じています。練習の仕上げを、レースのようなペースでやってしまいました。
Q.(質問不詳)
藤田 予定の練習でしたが、最後の1カ月でタイム的にかなり高いレベルでやってしまったのが、原因だったように思います。
Q.最後の1カ月の練習を振り返って、スタートラインに立ったときはどう感じていましたか?
藤田 やってきた自信と、やり過ぎた不安と、半々でした。
Q.向かい風が強かった最初の5kmは、どんな感覚でしたか。
藤田 遅いな、のひと言です。そこが遅かった分、急にペースが上がって、3分ちょっとを切るペースなのに、ものすごく速いと感じてしまいました。(1km毎で)10秒ちょっと上がったんですが、疲労がなければ対応できたと思いますが、疲労があると厳しくなってしまう。
Q.レイ選手と競っているときは、どんなことを考えていましたか。
藤田 とにかく振り切りたかった。僕の場合、トラックだとやられると思ったので。自分の脚に余裕がなかったのと、向かい風が強かったので行ききれませんでした。
「復活に向けた一歩にはなったと思う」
Q.復活の第一歩にはなった?
藤田 一歩だと思います。ここに来る過程はものすごく良くて、復活への道を歩いていると感じることができました。しかし、その結果が優勝できなかったのですから、完全復活とは言えません。でも、そこに向けてのいいステップにはなると思います。
Q.藤田選手にとって、完全復活できたと言える結果とは?
藤田 ひと言でいって、優勝することです。勝負の世界ですから、勝って初めて復活になります。
Q.次に向けては、どう考えていますか。
藤田 今のところはまだ、具体的に考えていません。このあと、大八木さん(大八木弘明駒大監督)とじっくり話し合って決めます。これまで、1回やると故障してダメになっていたので、まずは今日の疲労をとって、それから次の目標を定めたい。
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