2005/5/13 関東インカレ2日目
高平がインカレ初タイトル
そして、
100 m初タイトルの意義は?

 高平慎士(順大3年)が1部100 mに10秒46(+1.2)で優勝した。現役学生唯一の短距離五輪代表選手だが、決して楽勝ではなかった。本職の200 mではないし、準決勝では同郷(北海道)の1学年後輩、品田直宏(筑波大2年)に敗れていた(追い風3.4mで10秒30と10秒33)。
 決勝も終盤まで混戦だった。高平は5レーンで、スタートから序盤は右隣、6レーンの相川誠也(早大3年)がリードした。中盤で出たのは3レーンの佐分慎弥(日体大1年)。高平は終盤でやっとトップに立てた。4レーンの品田は、決勝は見せ場を作れなかった。
 タイムは10秒46で、昨年出した自己ベストの10秒32、今年の織田記念でマークした10秒35とは差があった。追い風とはいえ、北海道出身の高平が寒ささえ感じた悪コンディション(正式の気象コンディションが本日は未配布)。恐らく、10℃ちょっとしかなかっただろう。
 タイムよりも、接戦に勝った点が評価される100 mだったように思う。

 今大会のコメントを紹介する前に、春季サーキットでの高平について触れておこう。織田記念、静岡国際(予選で20秒56の自己新でA標準突破)と好調を維持。末續慎吾(ミズノ)を終盤で追い込んだ静岡の決勝レース後、次のように話していた。
「今年はゆとりというか、自分の中でレースができています。去年までは周りを見て、ガチガチになっていた。その克服を課題として、織田の100 mと今日(静岡)の予選で、できたと思います。他人を考えなくなって、それがプラスになっています」

 そして関東インカレ。100 mでは3位以内を考えていたという。年上の選手に挑む春季サーキットと違い、同年代の選手間での争い。しかも、対校得点が課せられる。レース中は、織田記念や静岡国際と同じ走りができたのだろうか。
「今日は軽く焦りました。(レース途中で)3番手にいるんだろうな、となんとなくわかって、少し気にしてしまいました。しかし、その状況でもしっかり走れたのがよかったですね。織田記念の土江(寛裕・富士通)さんや松田(亮・広島経大ク)さんと競り合ったのに比べれば、楽な展開だったと思います」
 決勝に進んだ4年生は村上一博(国士大4年)ただ1人。競り合ったのは全員、3年生以下だった。その点は、どう感じたのか。
「相川が隣にいたので、インターハイを思い出しました(相川が10秒30で優勝。高平は10秒57で5位)。慣れているのでプラスだな、と思えました。品田とも何度か走っていますし」

「200 mで決めます」と、得点争いにも燃えている高平。得点はしっかり取るが、100 mはスピード練習の一環としてとらえ、200 mできっちり結果を残したいというのが、今インカレに臨むスタンス。
「先生からも無理はするなと言われていましたが、勝負をしてしまいました。出来すぎです」と、予想外の結果に顔をほころばせる。インカレは1年時の関東が2位で日本が3位、2年時は関東4位で日本が2位(全て200 m)。意外にもインカレ初優勝だった。
 加えて、100 mでは高校時代を含めても初のメジャータイトル。100 mだから競り合った末の勝利だったわけで、その経験が今後にプラスになっていくと思われた。

2005地区実業団&地区インカレ
寺田的陸上競技WEBトップ