2005/10/9 シカゴ・マラソン
痛みを克服して3位
千葉真子のプロ意識とは?
レース後のコメントを紹介
<共同取材>
Q.痛みがあったというのは?
千葉 持病みたいなものですが、右の恥骨です。いきなり寒くなったのもあって。
Q.その状態で10kmまで飛ばした(32分41秒)のは、相当なチャレンジだったのでは?
千葉 逆に開き直っていました。トメスクさんと一緒に行こうと思っていましたし、それほどきつくなかった。体感ではタイムほど速くは感じませんでした。それに、チャレンジするのが大好きなんで。
Q.風は気になるほど強かった?
千葉 前半は結構、楽でした。追い風だったかもしれません。後半は向かいになって、しかも1人になったので、ちょっと厳しい走りになったのかな。
Q.(質問不詳)
千葉 タイムはよくありませんが、痛みもあったなかで3位で走れたことは、順位としては満足しています。
Q.痛みが出たのは後半?
千葉 そうですね。あまりにもひどくなったら無理はしないでおこうと思っていましたが、まだ3位という順番を走っていたので、その順位に助けられて走り切れました。
Q.どのくらいの痛みだったのですか。
千葉 走っている最中はけっこう麻痺している感じで、痛いというよりも力が入らない感じです。
Q.30kmを過ぎて18分を越えるようになりましたが。
千葉 向かい風も強くなりましたし、1人になった方が脚の痛みを感じてきました。1人になったのは中間点よりも前ですけど。
Q.どうやって痛みを乗り切ったのですか。
千葉 まず、沿道の応援が大きかったこと。それに、走っているのは私ですが、マラソンは色んな人の尽力で成り立っているんです。ボランティアの方々も一生懸命に支えてくれています。無理はできませんが、できる限り、完走したいな、と思いました。
Q.悪いコンディションなのに、どうして出場したのですか。
千葉 絶対に出なければいけないレースではありませんが、レースはいいコンディション出られるとは限りません。北海道から1カ月ちょっとでマラソンを走ったらどうなるんだろう? みんな、「厳しいんじゃないの」って言いますが、実際にどうなるかは自分でやってみないことにはわかりません。なんでも体験してみたいタイプなんです。それに、体調が悪い状態で選考レースに臨まないといけないこともあるかもしれません。そのとき、悪いなかでどう組み立てていくのか。引き出しを増やす経験を今はしていい時期だと思いました。
<個別取材>
◆最初の5kmが16分14秒、10kmが32分41秒と速かったことについて。
千葉 ある意味、調子が悪かったので行けるところまで行っちゃおう、という面もあったと思います。(最終的なペースは)いつも、走り出してから自分と対話をして決めています。3年前のシカゴも、最初は楽だったから行ったんです。そうしたら潰れましたけど。でも、今後のマラソンは最初から速く入るレースになると思います。今日の上位2人は力があるなと思いましたが、ああいう力がないと生き残っていけない。チャレンジするのみです。
◆35kmまでの5kmが18分19秒だったが40kmまでは18分17秒と、ほとんどの選手がタイムを落とす部分で、タイムを維持できたことについて。
千葉 最後だから頑張れたのかもしれません。いつも思うことですが、絶対に前に進んではいるんです。だから、絶対にゴールは来る。でも5km毎だと遅いですから、今日は1マイル毎にある標識を見てカウントダウンをしていました。残り6マイル(9.654km)の看板を見たときに、マラソンは26マイルだから、あと6マイルなら頑張れるんじゃないかって。あと5マイル、4マイル、3、2、1って。
◆北海道マラソン後の練習と、40km走について。
(陸上競技マガジン11月号参照)
◆出場を決断させたプロ意識。
千葉 1週間前は欠場する方向に気持ちが傾いていました。それで、日本のテレビ局に電話をして欠場を打診したんです。「スタートラインに立つのは難しいです」って。そうしたら、出ても出なくても、現地には入って欲しいと言われて。それで、火曜日にシカゴに入って、最後まで出場するつもりで調整をしました。テレビ局の人たちの熱意も伝わってきました。私が出るということで、放映時間も変更してくれたみたいなんです。私の出る出ないの一言で、周りのみんなが動いてくれるのがわかりました。今までもそういうことはありましたが、監督がカバーしてくれていました。甘えていられました。でも、今はプロのランナーとして、自分の言動には責任を持たないといけません。最後まで全力で、スタートラインに立てるよう努力をしようと思いました。
◆北海道マラソン後の練習や40km走について話した後に、独立しての活動について。
千葉 元々、超プラス思考ですが、すべてを前向きに考えていかないと、やっていけません。そのくらいでないと、1人では厳しいですね。ですけど、気持ちさえしっかりしている選手なら、より視野が広まると思います。アスリートとしてはもちろん、プロとしてもそういった気持ちは持ち続けたい。そして人間的には、常に応援される存在でいたいですね。マラソンの人気はすごくて、いつも励ましてもらえます。その分、社会になんらかの形で返していきたい。スポーツで世の中を元気にする活動をしていきたいですね。
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