2005/10/8 シカゴ・マラソン前日
トップ集団の顔触れをみるときの参考資料に
代理人別エリートランナー一覧
昨年のシカゴ・マラソンの男子先頭集団。2位のダニエル・ジェンガ(ヤクルト)、3位の高岡寿成(カネボウ)のほかは、優勝したエヴァンス・ルット(ケニア)と同じ代理人の選手が多かったという。給水などをお互いに手渡ししたり、何事か話し合ったり。同じコーチについているわけではないが、同じ代理人を通じて出場料などを受け取るのだから“同じ釜の飯”を食べている仲間といえる(中には、同じコーチの指導を受けているケースもある)。
代理人 |
選手 |
国 |
年齢 |
記録 |
ハーフ |
1万m・10km |
5000m |
Mark Wetmore |
Dejene Berhanu |
ETH |
24 |
debut |
|
27分12秒22 |
12分54秒15 |
Tom Ratcliffe |
Timothy Cherigat |
KEN |
28 |
2時間09分34秒 |
1時間01分22秒 |
|
|
Laban Kipkemboi |
KEN |
27 |
2時間08分39秒 |
1時間01分16秒 |
|
|
Paul Koech |
KEN |
36 |
2時間07分07秒 |
|
26分36秒26 |
|
Craig Kirkwood |
NZL |
31 |
2時間13分17秒 |
|
28分37秒 |
|
MATT LANE |
USA |
28 |
debut |
|
28分08秒 |
|
BENJAMIN MAIYO |
KEN |
27 |
2時間09分45秒 |
|
27分07秒55 |
|
THOMAS NYARIKI |
KEN |
34 |
debut |
|
27分30秒 |
|
EVANS RUTTO |
KEN |
27 |
2時間05分50秒 |
|
27分21秒3 |
|
Federico Rosa |
Patrick Ivuti |
KEN |
27 |
debut |
59分31秒 |
27分05秒88 |
|
Sammy Korir |
KEN |
33 |
2時間04分56秒 |
1時間00分19秒 |
|
|
James Kwambai |
KEN |
22 |
debut |
1時間00分22秒 |
|
|
Brendan Reilly |
DANIEL NJENGA |
ヤクルト |
29 |
2時間06分16秒 |
|
27分51秒8 |
|
佐藤敦之 |
中国電力 |
27 |
2時間08分36秒 |
|
27分56秒86 |
|
渡辺真一 |
山陽特殊製鋼 |
28 |
2時間09分32秒 |
|
28分42秒43 |
|
CONSTANTINA TOMESCU-DITA |
ROM |
35 |
2時間22分50秒 |
|
31分14秒 |
|
Michel Boeting |
William Kipsang |
KEN |
28 |
2時間06分39秒 |
|
28分54秒 |
|
Jos Hermens |
FELIX LIMO |
KEN |
25 |
2時間06分14秒 |
1時間01分15秒 |
27分39秒 |
|
Luis Posso |
PABLO OLMEDO |
MEX |
30 |
2時間13分30秒 |
|
|
13分13秒3 |
ADRIANA FERNANDEZ |
MEX |
34 |
2時間24分06秒 |
|
31分10秒 |
|
GRAZYNA SYREK |
POL |
33 |
2時間26分22秒 |
|
|
|
Ray Flynn |
DEENA KASTOR |
USA |
32 |
2時間21分16秒 |
|
30分50秒32 |
|
Alan Culpepper |
USA |
33 |
2時間09分41秒 |
|
27分33秒93 |
|
Konstantin Selinevich |
ALBINA IVANOVA |
RUS |
28 |
2時間25分35秒 |
|
|
|
TATYANA PETROVA |
RUS |
22 |
2時間36分34秒 |
|
32分20秒 |
|
シカゴにはルットらの代理人であるTom Ratcliffe氏が、多くの選手を送り込んでいる。ご存じのようにルットはシカゴ2連勝中で、今年のロンドンで敗れるまでマラソン3戦全勝。ベストタイムは2時間05分50秒で、スピードマラソンでは世界最強と言われていた選手。今回もルットのほか、表のように2時間7分台のP・コエチ(ケニア)ら多くの選手を送り込んでいる。何人かの選手はルットのサポートが目的かもしれない。もちろん、サポートをしながら調子が良ければ、自身も好成績を収めることができる。
Ratcliffe氏は元KIM(ケニアの長距離育成に貢献したキム・マクドナルド氏のマネジメント会社)の社員だったが、マクドナルド氏の死去後に独立。ケニア選手を多く、発掘している。
Federico Rosa氏はイタリア人で、世界記録保持者のP・テルガトや、歴代2位のS・コリルという、世界で2人しかいない2時間4分台選手を2人とも抱える。今回はコリルがエントリーし、イヴティ、クワンバイというスピードランナー2人をマラソンにデビューさせる。初マラソンでも、2年前のルットのようにいきなり、快記録で優勝する可能性を持つ選手たちを送り込んできた。
父親のGabriele Rosa氏がやはり、ケニアでの選手指導に多大に貢献し、今も有力選手のコーチを務めている。親子で世界のマラソン界を舞台に活動している。
ルット同様、この春のロッテルダムで3位と敗れるまで、2時間6分台を安定して出していたF・リモ(ケニア)は、Jos Hermens氏が代理人。同氏はオランダ人の元強豪選手で、H・ゲブルセラシエらK・ベケレら、エチオピアの強豪選手も抱えている。
同じようにエチオピアに橋頭堡を持つのがMark Wetmore氏。ボストンの弁護士で、ボストン・マラソンの仕事をしているうちに、代理人の仕事をするようになった。ロバ、アベラ、アレム、T・ディババらの選手を何度となく、日本の大会にも送り込んでいる。今回は5000m12分台の記録を持つD・ベルハヌを初マラソンに挑戦させてきた(欠場との情報も?)。
日本選手の多くは、ボルダー在住のBrendan Reilly氏を代理人に指名している。日本勤務の経験がある元銀行マン。会話だけでなく、日本語の読み書きもでき、各実業団チームから信頼を置かれている。日本選手だけでなく、今大会女子の優勝候補の一角であるトメスク・ディータらも担当。昨年のシカゴでは女子で同選手が優勝し、ジェンガが2位、高岡が3位と、Ratcliffe氏と並んで好成績を収めた代理人だった。
Ratcliffe氏とRosa氏がケニア、Hermens氏とWetmore氏がエチオピア、Reilly氏が日本と、各代理人によって食い込んでいる国(地域)がある。今大会で女子のフェルナンデス(メキシコ)や、男子のP・オルメド(メキシコ)は、Luis Posso氏の選手。同氏はコロンビアからアメリカに移住。ニューヨークのホテルに勤務していたが、ニューヨークシティ・マラソンのスペイン語通訳を務めたのがきっかけで、この世界に入ってきた。スペイン語圏の選手を多くマネジメントしている。Konstantin Selinevich氏はロシア人。この分野では後発の旧共産圏だが、ロシア選手を中心に、勢力を伸ばしている代理人である。
テレビ観戦をするとき、ただ漠然と先頭集団を眺めているのでなく、どの代理人の選手なのかを知っていると、細かい行動の意味が理解できたりして面白くなる。
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