2004/8/1 2004スプリントチャレンジカップIN山梨
室伏兄妹が壮行試合で好感触
由佳が67m77の日本新
広治は82m88のシーズンベスト


 日本記録を幾度となく更新するのは、01年までは兄の広治の役目だった。しかし、84m86の世界歴代3位にまで記録を引き上げた今、記録更新を簡単に繰り返せるレベルではなくなっている。代わって、今度は妹の由佳がその役を担おうとしている。6月の日本選手権に66m12で優勝すると、2週間後の中京大記録会で66m68の日本新。7月10日にも66m16を出し、この日は1投目に67m77と1m以上も記録を更新した(五輪A標準も突破)。

「正直、ここまで(の試合)は予想していませんでした。特に1投目は、アテネの予選を考えるといいシミュレーションになったと思います。万々歳ではありませんが、アテネに向けて1つのステップになりました。今できる投てき(技術)が、距離に表れてくれましたね。自分の中で1つの収穫になったと思います。その反面、本番に向けて試行錯誤が始まったかな、という感じもします」

 “収穫”だったのに“試行錯誤”が始まるとは、どういうことを指すのか。その説明は、陸マガ9月号(P124)を参照。

「国際大会はこれが最後になる」
 6月末のプラハ・グランプリUの際の、室伏広治(ミズノ)のコメントである。“試合”ではなく、“国際試合”という表現を使ったことで、オリンピック前にもう1試合出場する意向であることが予想された。

「ハンマー投の試合がなく、どうしてもここで投げておきたかったのですが、山梨の方たちに大変な協力をしていただきました」

 開口一番、地元への感謝の言葉を述べた室伏広治。それだけ、この時期に試合でチェックをすることが重要だったのだ。その結果、アテネ五輪に向けての練習の流れも順調だと確認できた。

「ケガもなく順調に仕上がっています。今日は暑くも寒くもなく、記録も予想より良かった。今日は(参加が8人で)6回投げられることが決定していたので、どのように自分の力を発揮できるか、ペース配分を考えて投げました。最後のチェックができてホッとしています。ある程度の強化練習を終えて、ここから調整に入ることになる。本番では、今日のようにノビノビと試合ができるように心掛けたいですね」

 最近の室伏広治は、この“ノビノビ”という言葉をよく使う。

「自分の力を出し切れるように、落ち着いて試技をしたい。メンタル面も重要になります。あまり重荷になるようなことは背負わず、いい気分で臨みたいです。いかにストレスを貯め込まないか、ですね」


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