2004/5/8 国際グランプリ大阪
苦しむ内藤、日本選手権へ踏ん張りどころ
「本当にどん底状態。それを抜け出さないと日本選手権は見えてきません」

 ミズノの先輩の谷川聡が好調の今季、対照的に日本記録(13秒47)保持者の内藤真人が、不調に苦しんでいる。元々、室内で記録を狙っていたわけではないが、世界室内の60mHで室内日本新をマークしたところまでは順調だった。この冬は、冬期トレーニングでもある程度のスピードを維持することに主眼置いてきた。その成果が調整ほとんどなしの室内で現れたのだ。
 ところが、世界室内から帰国後の沖縄合宿から歯車が狂いだした。左の踵、右ハムストリング、腰と続けざまに痛めてしまった。さらに、水戸国際では谷川と接触して派手に転倒。右ヒザに裂傷を負い、この日も“位置について”の姿勢が満足にできないほど。
 故障が重なったせいで、動き自体が崩れているのだ。この日は向かい風1.2mだったとはいえ、14秒10と信じられない記録。13秒72の谷川だけでなく、13秒75の田野中輔(富士通)にも大きく置いて行かれてしまった。

「今日のアップの最中も痛みがあり、心も体も迷ってしまっています。レースでも3台目か4台目をぶつけて、スピードに乗れないまま終わってしまいました。基本的に練習ができていません。走れていないんです。去年は無意識にできていた部分が、今年は意識的にもできていない。本当にどん底状態。それを抜け出さないと日本選手権は見えてきません。今の崩れた状態をどう修正していくか、難しいところです」

 普通だったら話しづらい部分も、気丈にコメントする内藤。

「たまにアップでいい動きができたりもしているんです。やらないといけないことは、わかってきています。今の状態を把握して、気持ち的にも切り換えて、あと1カ月でどこまで変えられるか、です」

 昨年も日本選手権前の5月に故障をした。1年前は2カ月で立て直し、7月には日本記録を出している。そのときよりも“崩れ方”が気になるところだが、ここは内藤の踏ん張りどころだろう。


春季サーキット2004
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