2004/4/29 織田幹雄記念国際
田子が5000mで自己新、静岡では1500mも
5000mでフロントランができたときに…?


 田子康宏(立命大)が男子5000mB組で実業団勢や学生ケニア選手を抑えて1位。13分54秒32と、4月の金栗杯熊本中・長距離選抜(13分56秒35)に続いて自己記録を更新した。

「13分45秒は出せますね。(ストライドが)つまって、つまって仕方なかったです。あとはラストの切り換えができればいいですけど。ラスト300mで徳本(一善・日清食品)さんみたいに」

 フィニッシュ後の第一声に、まだまだ記録を出せる感触がにじみ出ていた。田子といえば高校(由良育英高)時代から、中距離のフロントランナー(常に先頭を走ったり、独走する選手)として名を馳せていた。立命大入学後も、1年時の日本インカレ1500mで思い切った先行逃げ切り策で優勝。そういったランナーにとって、5000m14分ペースの集団の中で走るのは、ストライドがつまって走りにくいのだろう。思い切って1人で前半から行った方が、記録は出せるタイプなのかもしれない。

「5000mではまだ、最初から1人で行くレースはやったことがありません。1回、鴻巣のレースでやったことはあるんですが、それほど速いペースではありませんでした。三代(直樹・富士通)さんの13分44秒07(98年)が山陰記録ですから、学生の間には破りたいですね。2分45秒で5回、66秒で12周ですから」

 山陰記録は鳥取県と島根県を合わせた最高記録をいう。田子が5000mでもフロントランをできる力を付けたとき、その記録は破ることができるのではないか……と思ったが、要は13分45秒以上のペースになれば、集団の中でもストライドはつまらなくなるかもしれない。
 5月3日の静岡国際1500mではラスト勝負を制している。優勝記録は3分45秒42と、郷原剛の山陰記録(3分45秒1・96年)に近づいた。02年の高知国体成年1500mでもラスト勝負で大森輝和(くろしお通信)に勝ったことがある。集団の中で走りが狂う、というタイプではなさそうだ。

 4月10日金栗杯のときにはまだ、スピード練習不足と話していた田子。箱根駅伝で日本学連選抜のメンバーから外れたあと、「2週間は何もしないで、1月は冬眠」していたという。2月の奄美大島合宿でも、クロスカントリーが主体の練習。金栗杯の1週間前からスピード練習を少し入れ始めたという。そこから1カ月もしないうちに、ここまでスピードを戻すのだからやはり、スピードの資質は高いといえそうだ。

「今年は学生向きのレベルの国際大会がないんですよ。でも、記録では三代さんの山陰記録、1500mでは3分40秒切りくらいまで行きたい。定番ですけど、箱根を走れなかった悔しさがあったから今年があった、と言えるシーズンにしたいですね」


春季サーキット2004
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