2004/4/25 兵庫リレーカーニバル
国内日本人最高の31分05秒68
30分30秒が目標だった福士が狙う“次のレベル”とは?

 最後はJ・ワンジク(パナソニックモバイル)に、4月10日の金栗杯熊本中・長距離選抜5000mと同様、競り負けてしまったが、福士加代子(ワコール)が“進境”を示している。31分05秒68は一昨年の釜山アジア大会でマークした30分51秒81(日本歴代2位)に次ぐ自己2番目の記録。渋井陽子(三井住友海上)の日本記録(30分48秒89)も2年前のカージナル招待と海外で出た記録なので、今回の福士の記録が日本人国内最高となる。
 400 m毎・1000m毎の通過&スプリットタイムは以下の通り。最初の400 mを除き、9周目の3600mまで全てのラップを1分14秒台でカバーしていたので、この日の福士のテーマは“1分14秒台押していくこと”と推測した。仮に1分14秒0で25周を走りきれば、30分50秒0の自己新。最後でペースアップができれば日本記録を更新できるのだ。

距離 福士通過 スプリット
1000 03:05.0 03:05.0
2000 06:10.4 03:05.4
3000 09:15.5 03:05.1
4000 12:23.3 03:07.8
5000 15:31.5 03:08.2
6000 18:41.3 03:09.8
7000 21:52.2 03:10.9
8000 25:01.9 03:09.7
9000 28:08.8 03:06.9
10000 31:05.68 02:56.9

距離 福士通過 スプリット
400 01:13.5 01:13.5
800 02:27.7 01:14.2
1200 03:42.1 01:14.4
1600 04:56.1 01:14.0
2000 06:10.4 01:14.3
2400 07:24.7 01:14.3
2800 08:38.9 01:14.2
3200 09:53.2 01:14.3
3600 11:07.8 01:14.6
4000 12:23.3 01:15.5
4400 13:38.9 01:15.6
4800 14:55.3 01:16.4
5200 16:09.4 01:14.1
5600 17:24.9 01:15.5
6000 18:41.3 01:16.4
6400 19:57.7 01:16.4
6800 21:14.2 01:16.5
7200 22:30.2 01:16.0
7600 23:46.0 01:15.8
8000 25:01.9 01:15.9
8400 26:17.8 01:15.9
8800 27:31.9 01:14.1
9200 28:44.5 01:12.6
9600 29:57.7 01:13.2
10000 31:05.68 01:08.0

 ところが、フィニッシュ直後に永山忠幸監督にその点を質問すると、「それでは進歩がない」という回答。

「本人も言っていましたが、74秒のペースにはまってしまいました。1000mが3分5秒だった時点で、まずいと思いましたね。練習ができていましたから、できれば速く入りたかった。(1周)73秒でしょうね。30分30秒を1人で走れて初めて、次のレベルが見えてきます。本人も行ける感覚を持っていると思うんです。しかし、レースは1人で25周を引っ張らないといけないから、スタミナがどうかな(という懸念もありました)。上手く乗れば後半上げられますが、3000mを過ぎて落ちると、それを取り戻せるかと」

 結果的に、4000m以降の中盤から、日本記録ペースからも後れていってしまい、本来の30分30秒という目標も、日本記録更新もできなかった。だが、パリ世界選手権5000m代表だったワンジクに競り負けたとはいえ、最後の1000mを2分56秒9、最後の1周を1分08秒0で上がっている。そして、海外で出たパフォーマンス1・2位の記録が、外国選手と引っ張り合う展開だったことを考えると、終始引っ張り続けたこの日のレースの価値は、決して低いものではない。
 昨年は冬期の練習不足もあって自己記録を更新できなかった福士だが、今季は3000m・5000mの日本記録を連発した2002年よりも、明らかに力が付いている。
 そして、これまでは“目の前の試合で頑張り、そのご褒美”として国際大会にも出場してきたが(福士陣営が、それが最善の方法と判断したのだろう)、今季は当初から、8月の国際大会にピークを合わせようと戦略を変更した。涼しかった昨年の世界選手権は以下のような記録だった。

優勝 30分04秒18
3位 30分07秒20
6位 30分26秒20
8位 30分37秒68


永山監督の言う「30分30秒で走れて見えてくる次のレベル」とは、具体的に何を指すのだろうか?

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