2003/11/14 東京国際女子マラソン
前々日共同記者会見 日本3選手
「順位だとか結果だとかよりも、この夏に練習してきたことを思いっきりぶつけようという心境です」(高橋)
「オリンピックはとても大きな夢で。必ずチャンスはあると思って」(嶋原)
「世界的にすごい選手の前で走ろうと決めているわけではありません」(高仲)


Q.(代表質問)この大会に向けて、いつから、どこで練習してきたのでしょうか。また、ポイントを置いて練習してきた点、また目標タイム、順位があれば教えてください。
高橋 この大会に向けて練習を再開したのは、6月23日にボルダーに渡米して、合宿を始めたときからです。本格的な、ちゃんと走る練習を始めました。しかし、その前から大島だとか、起伏のある色んな合宿地で、ウォーキングなどの基礎トレーニングを始めています。4月、5月ぐらいから、徐々にこの大会に向けて絞ってきました。
 主に合宿場所としてやってきたのは、今まで通りボルダーです。昨年、一昨年、その前のシドニー五輪に引き続き、同じようにボルダーでトレーニングをしてきました。
 目標にするタイムと順位は、ぜんぜん決めていません。この場所に来てこうやってお話したのが、昨年欠場を発表したとき。あれから1年間経って、ここにいて、こうやって走ることを話せることが嬉しいです。1年間、応援して待っていてくださったファンの皆さん、支えてくれた皆さんに元気な姿を見せられるように頑張ります。
嶋原 初めまして。嶋原と申します。私のことを知らないという方も多いと思いますが、今回、いい走りをお見せすることができたらいいな、と思っています。タイムは自己記録更新を目標としています。順位は考えていません。前向きな気持ちで、会社の同僚やチームの同僚、そして大学の後輩たちに刺激を与えられる走りができたらいいな、と思います。
高仲 合宿は9月半ばから、岐阜県の御嶽でずっとやってきました。今回が初マラソン。距離を踏んでいませんでしたか、9月半ばから距離走を多く取り入れて練習してきました。最後の調整は昨日まで1週間、中国に行っていました。マラソンを走りたいと入社して、5年目なんですが、これまでケガが多くてチャレンジできませんでした。今回は不安もありますが、思い切って、楽しんで走りたい。
Q.(代表質問)アテネ五輪の選考レースですが、アテネをどう意識していますか。
高橋 私も今年31歳で、アテネ五輪に出たい、アテネを区切りにしたいきもちでやってきたので、この東京をバネに、ステップに、という思いでやってきました。しかし、すべてを練習してきた今は、順位だとか結果だとかよりも、この夏に練習してきたことを思いっきりぶつけようという心境です。純粋に走ることを楽しみたい。今はアテネとかその先とかより、純粋に東京を楽しもうとしています。
嶋原 オリンピックはとても大きな夢で、今回東京に出るに当たって、必ずチャンスはあると思って前向きに考えています。
高仲 オリンピックは小さい頃からの夢でした。そして来年はアテネ五輪があります。でも、来年だけにこだわるのでなく、その次(のオリンピック)も考えています。次に生かせるレースをしたい。
Q.(代表質問)大会は25周年記念ということで、市民マラソンも同時開催するのですが、それについて何か考えがありますか。
高橋 日本の首都、東京を、その日の2時間、3時間だけは、私たちが何も気にせず走らせてもらえるということが、すごいことだと思います。多くの人にそういう機会があって、同じ風を感じ、同じ思いを同じ場所ですることができることを、私自身すごい楽しみですし、走り終わった後に、みんなにとっていい思い出になるので、とてもいいなと思います。
嶋原 知り合いも何人か走ります。お互いに目標を持って、負けないように、そして一般の人と、楽しんで走りたいと思います。
高仲 25周年という大きな大会で、初マラソンを走れるのが嬉しいです。一般ランナーの人たちと一緒に、楽しんで走りたいと思います。
Q.(前略)高橋さんを今回は楽しみにしているファン、特に子どもたちにメッセージをお願いします
高橋 本当に皆さんに心配していただいて、応援してもらったのに元気な姿を見せることができなくて、今年恩返しができるといいな、という思いです。元気な姿を見せたいと思います。子供たちには、(世の中)いいことばかりじゃないけど、そこであきらめないで頑張れば、またいいことがあると、それを伝えられるような走りをしたいですね。
Q.昨年のケガ、苦しみの中で「必ず何かをつかんで、ただでは起きないぞ」とおっしゃられていましたが、その“何か”は見えてきましたか。
高橋 セビリアや他の(苦しんだ)時のように、しっかりとつかめてはいませんが、でも、すごく慎重になったのは確かです。ハードなトレーニングが終わっても、最後まで「石橋を叩いて」と監督と毎日言い合って、やってきました。去年より慎重にやって来たなと思います。昨年は短い時間で仕上げたところを、今年は長い時間を取っていただいて、すごくゆっくりな調整だったんですけど、そのおかげでケガなくこられました。
Q.小出監督は市民ランナーがいるからこそ(エリートランナーが)走れる、とおっしゃっていますが、その言葉を高橋さんはどう受け止めていますか。
高橋 私も陸上が好きでやっていますが、私は昼間に時間をとれて陸上中心の生活です。それを一般の人たちはちゃんと仕事をされて、朝6時に起きればいいところを5時に起きて、仕事が終わって疲れていても走られます。ホントに好きでないとできないことです。私はまだ負けていると思います。もっと好きになって、もっと頑張らないといけません。好きな人と会うと楽しいですし、やっていない人にも走ってほしいと思います。
Q.3年8カ月前のオリンピック選考会(名古屋国際女子マラソン)前は、玉手箱を開ける気持ちと言っていましたが、今回は一番いい状態でレースを迎えるように見えるんですけど、どんなお気持ちですか。
高橋 気持ちは全然変わっていません。玉手箱を開けるようなワクワク、ドキドキという気持ちです。これが終わった結果、次に進む道、方向性が決まるレース。「玉手箱」をついに開ける時がきたかなって思います。でも怖くて開けたくないような、開けたいような気持ちです。
 一番よく見えるのは、昨年は走れず、やはり今回は違った気持ちでこの場所に座れっていられる、話すことができるという気持ちだからだと思います。
Q.高仲さんは(昨年の)札幌ハーフでデレバ(ケニア)さんの前を走られて、今年の世界ハーフでもラドクリフ(英)さんの前を5kmまで走られて、今回も尚子さんの前を走るレースをするのでは、なんて思っているのですが。積極的なレースを敢えてされているのでしょうか。今回、こういう走り方をする、というのがあれば教えてください。
高仲 いつも、世界的にすごい選手の前で走ろうと決めているわけではありません。調子が良くて、体が勝手に前に行ってしまうのがほとんどです。それに、人の後ろを走るのがあまり好きじゃなくて、練習のときも後ろよりも前に行きたいタイプ。それがレースにも出ているのだと思います。今回、高橋さんが出られて、世界のトップと走れて嬉しいのですが、今回はスタートしてからでないと、自分の走りを具体的にどうするかはわかりません。そのときの流れというか…。
Q.嶋原さんは元々、中距離選手なんですよね。貧血で悩んでいたと聞いていますが、どのように克服して、今の体になってきたのでしょう。
嶋原 血液状態が良くなくてコーチから常々、自分で変わりなさい、改善しなさい、強くなりなさい、と言われてきました。なかなか実行できませんでしたが、昨年から今年にかけて、寺内さんと一緒に高地トレーニングなどをさせてもらっているなかで、いい食事を心掛けることや、いい練習もできて、血液状態も改善され、距離も伸ばせるようになりました。

※この後も高橋、小出監督の会見が続きましたが、嶋原・高仲2選手についてはこれで全部です。

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