2004/1/25 大阪国際女子マラソン
さよならパーティー後の武冨監督共同取材

「スローペースへの対処は本人に任せました」

■現在の気持ちは?
武富監督 世界選手権が終わってからオリンピックに行かせてあげたい気持ちが強かったので、ホント、ホッとしました。
■レース前に展開を予想しましたか。
武富監督 スローペースになるだろうと予想して、坂本にも、イライラせずに行こうと話しました。前に出るな、というよりも、イライラしないように、短気を起こさないようにと。イライラすると、余計に疲れますから。スローになると、接触なども心配でした。
■実際にスローペースとなって。
武富監督 遅いなと思いました。本人もやきもちしたでしょう。あそこまで遅くなるとは思いませんでしたから。しかし、コーチたちに沿道で指示をさせていましたが、ほっとけ、と。本人に任せるしかありません。
■31kmで出たのは?
武富監督 レースの流れと、本人の感覚でしょう。しかし、正直、ちょっと早かったかと思いました。様子を見たのかな、と。そのまま行くとは思いませんでした。まだ先頭に4人いましたから。確実に勝つには、2人になってからの方がいいと思っていました。去年の野口(みずき・グローバリー)のように。キッカケ作りを千葉(真子・豊田自動織機)がしてくれました。
■後半の戦い方は、どう指導してきましたか。
武富監督 特にこの地点からスパートしよう、という話はしていなくて、速いペースで入っても、去年より(練習の)上乗せができているから大丈夫だと。初マラソンでも勝負所は抑えていましたしね。本人も言っていたように、(スパートは)1回で決めるのでなく、1回目は様子を見て、2回目で決めようと話しました。寒かったし、自分の脚が動くか確認しろ、周りの反応を見ろ、それから勝負しろと。

「(15分47秒)くらいで行かないと世界とは戦えない」

■ポーンと出る練習をしましたか。
武富監督 必要ない選手です。スピード面でもかなり上がってきています。スピードはアルバカーキで確認できていたので、このメンバーでも負けないだろうと思っていました。ラスト100 mとかになったら、弘山(晴美・資生堂)とかに勝てないと思いますが。
■30kmから15分47秒にペースを上げたことについては?
武富監督 あれは流れですが、去年も同じ5kmで、あのハイペースでも16分20秒で行きました。今回はスローペースでしたから、あのくらいは行くでしょう。それに、あのくらいで行かないと本当の意味で世界とは戦えない。そういった意味では、それを試すことができたのは収穫です。やれる感触は得られました。
■団子で競技場まで来て、トラック勝負になることも考えましたか。
武富監督 それは全然考えていませんでした。途中で絶対に勝負するだろうと。
■速い流れになったら、どのくらいのタイムが出ていたでしょう。
武富監督 コンディションが良ければ、最低でも大会記録を狙いたい、そういうイメージでやってきました。(2時間19分台も?)そういう目標は持っています。

「同じ練習でも疲労感が違うので、手応えがあったのでは」

■レース前は一番リラックスしていたのでは?
武富監督 ちょっと朝からテンションが上がって、どうかな、とは思いました。表に(影響が)出なければいいな、と思っていましたが。
■かなり、自信のあるようなコメントをしていましたが。
武富監督 練習ではある程度、やることができていました。継続してできたことが大きいですね。世界選手権の前は7月に故障で練習ができず、その分、ストレスがたまってしまいました。今回は11月からアルバカーキで順調にでき、本人も安心できたのでは。あとはレースでどれだけ出せるか、でした。
■故障とはぎりぎりの線で練習していると思いますが。
武富監督 そんなに強い子ではないので、やらせ過ぎないことを考えています。練習の量は大したことないですよ。継続してできたことがよかったと思います。そこだけを考えていました。
■強度はどのくらい?
武富監督 距離走だったら去年は、距離だけという感じでしたが、今年はここで勝つために、ある程度設定しました。それが、寒さでできなかったこともあった。それでも、去年よりは高くなっています。それに、もしも天候が良かったら、練習で突っ込んで疲労感が残ったかもしれません。この1年での成長には、手応えがありました。本人も、同じ練習でも疲労感が違うので、手応えがあったのでは。
■最後の5kmが課題と言われていましたが。
武富監督 何も***とは思っていませんでした。原因はわかっていましたから。マラソンを走りきる体力がない、ということです。それも、継続した練習ができれば解消すると考えていました。どの選手も同じような練習をしていると思いますが、坂本が去年と違うのは確か。ちゃんとレースをすれば、勝つ確率は高いと思っていました。
■世界選手権の悔しさがバネになった?
武富監督 悔しさはわかりませんが、世界選手権前に故障をしてしまい、本当に合わせられない悔しさを、彼女も僕も感じたと思います。キチッと合わせて初めて、野口とも勝負ができる。今の日本では野口が一番強いでしょう。

「(アテネ五輪へ)坂本に合った合宿場所で」

■アテネが楽しみですか。
武富監督 アテネもそうですが、彼女の持っているものを、もっともっと引き出したい。彼女は特に(アテネ五輪のことは)口にしていませんが、僕は行けると信じています。
■このあとのスケジュールなどは?
武富監督 ここで勝てるか勝てないかで、まったく違ったスケジュールになってきます。だから、ここで勝つことだけを考えていました。あとは休んで、彼女に合った合宿場所を探します。世界選手権後も休ませたかったのですが、すぐに始めていますから(まずは休ませたい)。


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