2004/2/8 東京国際マラソン
細川が初マラソン日本歴代8位!
早田の初マラソン東京最高に1秒と迫る2時間10分38秒

 細川道隆(大塚製薬)は気負わずに初マラソンに挑戦していた。

「緊張はあまりなかったですね。どういうきつさが待っているのか、怖さもありましたが、楽しみでもあったんです。できる限り先頭集団について、どう粘れるか。あまり多くは考えませんでした。記録もトータルで2時間何分とは意識せず、30kmまで先頭につくことで次につなげられればいい、と。30kmまでつけば2時間12〜13分は行けるだろうと思っていましたし。実際、どんなきつさか知らなかったから、あまり考えずについて行けたのだと思います」

 これまでレースでは、最長でもハーフマラソンまでしか走ったことがない(昨年3月の全日本実業団ハーフでの1時間03分10秒がベスト)。上記の話だけでなく他のコメントからも、細川は30kmをマラソンを走りきる上での、ある種の目安と考えていたようだ。そこに、NTT西日本時代の思いが重なる。

「清水(康次・NTT西日本)さんと30km地点で一緒に走っていたら、最高だと思っていました。自分は清水さんと国近(友昭・現エスビー食品)に憧れてNTTに入社しましたから。30kmはマラソンが本当に始まるところ。その地点で一緒に走れたら…」

 その清水は残念ながら、スタート直後にシューズが脱げたアクシデントが響いたのか、25kmですでに後れていた。かつてのチームメイトである方山利哉(NTT西日本)が代わって先頭集団で粘っていたが、30km手前で後れ始めてしまった。「NTT時代はサラリーマンと半々でしたが、今は陸上競技が中心」と言う細川が“1人で”目安だった30kmを越えた。

「32kmあたりで“行ける”と思ったんですが、その直後に胸の辺りに変な感じがして、寒気も感じてしまったんです。その瞬間、全身の力が抜けてしまいました。粘る間もなく後れた感じです。“なんや、これ”って。脚にきたり、スタミナ切れとかではなくて」

 とはいっても、35kmまでの5kmは15分39秒でカバーしているのだから、「ジョッグくらいまで落とした」という本人の感覚以上に走れていたことになる。アクシデントが起きるまでのリズムが、それなりによかったということだろうか。
 むしろ、「胸は35kmを過ぎて治った」と言うが、40kmまでは17分00秒とペースダウン。上りと向かい風だったことを考えれば仕方ない部分かもしれないが、30kmを無事に通過したことで、多少なりともホッとした部分があったのだろうか。

 それでも、2時間10分38秒は初マラソン歴代8位(表参照)。東京のコースに限れば、早田俊幸(当時鐘紡)が92年にマークした2時間10分37秒に1秒と迫る好タイムで、レース前の目標を大幅に上回った。今後の展望も開けたのではないかと思われたが…。

「トラックをずっと考えていたので、マラソンの次は考えていませんでした。今回も、マラソンをやることでトラックにつなげるつもりでしたから」

 昨年、全日本実業団1万mで28分22秒29の自己新をマーク、11月の八王子ロングディスタンスでも28分25秒10と好タイム(予想以上の低温と条件の悪かった八王子の方が評価は高いだろう)。ニューイヤー駅伝1区では日本人トップの区間3位。本人の言うように、トラックの方が日本のトップを狙える位置にいる。マラソンは早ければ今秋の海外も考えられるが、それもトラックのシーズン前半の結果次第。本人は「1万mで27分台を」と言うが、A標準の27分49秒00を狙ってほしい選手である。

初マラソンの2時間11分未満全パフォーマンス
歴代順位 記録 選手名 所属 年月日 大会 着順 年齢
1 2.08.12. 藤原正和 (中 大) 2003. 3. 2 びわ湖 3 21
2 2.08.53. 森下広一 (旭化成) 1991. 2. 3 別大 1 23
3 2.09.38. 五十嵐範暁 (中国電力) 1998.12. 6 福岡 4 26
4 2.09.41. 高岡寿成 (カネボウ) 2001.12. 2 福岡 3 31
5 2.09.50. 佐藤敦之 (早 大) 2000. 3. 5 びわ湖 4 21
6 2.10.01. 三木 弘 (旭化成) 1998. 3. 1 びわ湖 4 22
7 2.10.07. 藤田敦史 (駒 大) 1999. 3. 7 びわ湖 2 22
8 2.10.37. 早田俊幸 (鐘 紡) 1992. 2. 9 東京 3 23
9 2.10.38. 細川道隆 (大塚製薬) 2004. 2. 8 東京 6 27
10 2.10.43. 佐藤洋平 (カネボウ) 2003. 2. 2 別大 4 23
11 2.10.48. 油谷 繁 (中国電力) 2000. 3. 5 びわ湖 7 23
12 2.10.49. 中村祐二 (山梨学大) 1995. 3.19 びわ湖 1 24


男子マラソン2003-04
寺田的陸上競技WEBトップ