2004/12/31 全日本実業団対抗駅伝前日
概ね予想通りの区間エントリー
中国電力は2区・油谷、3区・尾方、5区・佐藤
コニカミノルタは1区・太田、2区・松宮隆、5区・松宮祐
旭化成は1区・大野、2区・小島忠、5区・永田
ホンダは1区・山口、2区・藤原、5区・秋山

カネボウ・瀬戸が欠場、
4区に内冨、磯松、加藤ら30歳代選手
ルーキーでは2区に下里、5区に吉村の神奈川大OBコンビ


区間エントリーは関西実業団連盟ISHIRO!

中国電力
梅木が外れたが3本柱の充実ぶりは大会随一
 福岡国際マラソンを走った梅木蔵雄が外れ、2年目の重成英彰が6区に入り、過去2年間、梅木が走った7区は森政辰巳が務める。
「前回の梅木(区間6位)よりも、森政の方が1分近く強い。重成も、(他の選手の調子が落ちたのでなく)実力でメンバーに入ってきた」と、坂口泰監督。
 3本柱は2区・油谷、3区・尾方、5区・佐藤と予想通りの布陣。尾方は福岡国際マラソン後だが、「世界選手権、福岡と続いた1年前とは、元気の度合いがまったく違う」と言う。油谷の調整力への信頼度は揺るぎなく、今季絶好調の佐藤は「寒さと向かい風になったら、抜群」と、5区への適性も坂口監督のお墨付き。柱となる区間の顔触れはやはり、参加チーム中一番の充実ぶりだ。

コニカミノルタ
4区・磯松の起用は「勝負ができるから」
 過去、4回連続区間賞の坪田智夫が腰の故障で欠場(すでに、チームエントリーの段階で判明していたこと)。2・5区を松宮兄弟、1区・太田、7区・前田と予想通りの区間エントリーとなった。太田は前回区間5位で日本人トップとは8秒差にまとめたし、前田は区間賞だった選手。
 カギを握るのは4区に起用された、元“1区スペシャリスト”の磯松大輔かもしれない。前回は、福岡国際マラソン後の出場で、6区で区間15位とブレーキ。今回の4区起用も、1区時代の印象が強いため「力が落ちたからでは」との声も聞かれたが、佐藤コーチは「勝負できるから4区に置いた。今、チームで3〜4番目に強い」と強調した。

旭化成
3区の白石が好調、5区の永田は…
 1区に五輪1万m代表の大野龍二、2区に小島忠幸、5区に永田宏一郎という布陣。ケガから復調した高尾憲司は4区に出場できるが、瀬戸口賢一郎は間に合わず補欠に回った。2区と5区の両エースの振り分けは、練習の状態で小島忠幸の方がいいから、ということのようだ。永田が、次のように話していた。
「1・2・3区が、Aグループでやっていた3人。僕は甲佐の前から疲れが出て、Bでやっていました」
 このコメントで注目すべき部分は、3区の白石賢一が好調だという点。19歳の大野の駅伝での強さは未知数だが、なんといってもオリンピック代表(日本選手権1万m優勝)。2区の小島忠幸は前回、同じ区間で20人抜きをやってのけた選手。そして3区の白石が絶好調となれば、中国電力をリードする可能性もある。
 そうなると、5区の永田と佐藤敦之という、かつて日本インカレなどで接戦を展開した同学年コンビの対決が、勝負の行方を決めることに。「頑張ります。やるしかありません」と、永田。跳ね気味のストライド走法の永田は、向かい風では不利となるが「気持ちストライドを縮めて、ピッチを意識して走りますよ」と、なりふりかまわず勝負を挑む。

ホンダ
予定通りのオーダーは強さの表れ?
 1区・山口、2区・藤原、5区・秋山という布陣。山口はNEC時代に1区で3年連続日本人トップ(区間賞も1回)と、この区間で最大限に力を発揮する選手。2区の藤原の充実ぶりは、実業団駅伝公式ガイド(毎日新聞社刊)の記事の通り。八王子ロングディスタンスで藤原に先着した加藤が4区に回れるのも、秋山の充実があればこそ。
 柱の区間、その他の区間とも予想通りのメンバーで、最もアクシデントが少なかったと予想できる区間エントリー。中国電力・坂口監督も「来るとしたらコニカミノルタとホンダ」と警戒している。

トヨタ自動車
5区に新人・吉村
 5区に新人の吉村尚悟が抜擢された。本来だったら今季1万mで28分03秒92の自己新をマークした尾田賢典か、3000mSC五輪代表の岩水嘉孝が務めるべき区間(岩水は1区、尾田は4区)。その2人の状態が少し気になる部分だが、6区の奥田真一郎も含め、各選手が額面通りに走れば、穴のない布陣ともなる。選手の状態次第、というところだ。

富士通・カネボウ・大塚製薬
 富士通も予想通り1区に三代直樹、2区に好調の野口英盛、5区に前回区間4位と好走した松下龍治というメンバー。今季の充実度から野口は、他チームのエースに引けは取らないだろう。三代も徐々に復調して、11月の日体大競技会では28分30秒台まで戻ってきた。ポイントは5区の松下か。日体大では28分50秒台といまひとつだったが、駅伝本番に合わせる能力は高い。前回も練習ではよくなかったが、首脳陣の5区起用に応えて区間4位と予想以上の走りを見せた。富士通がけっこう来るのではないか、という声も会場で聞かれた。
 カネボウは2区に高岡寿成、3区に入船敏と27分台ランナーを並べ、1区にもスピードのある中村悠希を起用。しかし、3本柱の1人の瀬戸智弘と、過去7年間1区や4区などを務めてきた市之瀬進が欠場。1〜3区で抜け出すしかない。
 大塚製薬は、今季27分ランナーに成長した細川道隆が5区に起用できず、4区に回った。その他は、1500mの井幡磨が1区に起用できるまでになり、2区・岩佐敏弘、3区・尾池政利と順当な顔触れ。5区の北川敬大も11月に28分43秒60の自己新を出すなど好調。

日産自動車・スズキ
 日産自動車は前回2区の20人抜きをやってのけた上岡宏次を1区に、好調の新人・下里和義を2区に起用。大方の予想とは逆の順序となった。上岡の調子が落ちているのでなければいいのだが…。
 スズキは前回1区区間賞で、先の甲佐10マイルで世界最高の快走を見せたマサシを、3区に起用してきた。1区が日本人選手で行けると判断したのだろう。
 小森コーポレーションは高塚和利がメンバーから外れた。

4区に30歳代選手、2区に西脇工OB、そして兄弟選手
 中国電力は32歳の内冨恭則、コニカミノルタも31歳の磯松大輔、ホンダも31歳の加藤俊英と、優勝候補チームが30歳代の選手を4区に起用してきた。この3人は全員が、キャプテンを務める。旭化成も3月で30歳になる高尾憲司と、4区はベテラン選手の渋さが競演する。
 2区に旭化成・小島忠幸、ホンダ・藤原正和、佐川急便・清水智也、JR東日本・中谷圭介と西脇工高OBが集結。
 兄弟選手ではコニカミノルタの松宮兄弟が2区と5区の長距離2区間に起用され、旭化成の小島兄弟は2区と6区、トヨタ自動車九州の大津兄弟が5区と6区で兄弟リレー。カネボウの入船兄弟は弟の満がメンバー入りできず、佐川急便の中野兄弟も弟の幹生がメンバー入りできなかった。清水将也・智也兄弟は、弟の智也は佐川急便の2区に出場するが、兄の智也が旭化成でメンバー入りできなかった。スズキの中川拓郎・中川智博は兄弟ではない。


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