2004/5/15 東日本実業団
男子400 mで田端と佐藤が
日本選手権のシミュレーション

2人とも前半200 mを22秒0くらいの感覚


 男子400 mは田端健児(ミズノ)が46秒11の今季自己最高で優勝。昨年の日本選手権を45秒50で制した佐藤光浩(富士通)は、追い上げに入るのが遅かった印象で46秒25の2位。奥迫政之(ミキハウス)が46秒85で3位と、4×400 mRの五輪代表を狙う顔触れが順当に上位を占めた。とはいえ、田端が「今日はタイムや順位でなく、展開だけを考えて走った」と言うように、選手たちはこの大会の結果はこだわってはいない。

「織田記念(47秒22で全体4位、3組3位)はレース展開で失敗しました。前半を飛ばしすぎましたね。今日は22秒0で入ることを考えました。速すぎず、遅すぎずというところです。22秒0の通過なら、45秒台にも届く入りです。日本選手権は今日と同じ“流れ”で行きます。テンションも(日本選手権は)多少、上がりますから」

 この日と同じ“流れ”とは、同じ力配分ということ。テンションが上がれば、前半も後半もちょとずつ、タイムは上がる。45秒台だけでなく、6年前の自己記録(45秒69)更新、そしてA標準(45秒55)突破も、ひいては「勝ちも」(田端)見えてくる。

 冬期は月に2週間の陸連合宿で質と量を上げ、日大では休養が多めの調整練習が多かったという。織田記念で小坂田淳(大阪ガス)が言っていたが、合宿では山口有希(東海大)が強いという。高野進陸連短距離部長も「自分の日本記録も今季限りと思える」と言っているくらいだ。

「“若手”には正直、勝つのは厳しいでしょうけど、楽には勝たせません。もちろん、勝つ気では行きますよ。あとは同級生ですね」

 同級生とは小坂田のこと。「(バトンをたたき落とされて準決勝落ちの)シドニー五輪の3人で行きたい気持ちもありますが…」と、言葉を濁した田端。日大の後輩である山村貴彦(富士通)が、故障からレース復帰できていない点を気にしているのだろう。

 今季で30歳となる田端から見れば、2位の佐藤光浩も若手の部類に入るだろうか。富士通の新人だが仙台大の大学院を卒業している。今季で25歳は、若手と言えるかどうか微妙な年頃だ。その佐藤も田端同様、今大会では日本選手権へのシミュレーションを行なった。

「予選を日本選手権へのリハーサルに使いました。21秒台終わりから22秒0くらいの感覚で前半を飛ばしたんです。決勝は遅く入りましたけど」

 遅く入った決勝の46秒25は、今季自己最高(国際グランプリ大阪は46秒27)。昨年の印象が強いせいか、今年は出遅れている印象がある。

「去年までは、走り終わって力を“出し切った”と感じられたのですが、今季は出し切っていない感じで、ダメージが少ないんです」

 45秒台が出ていないのは、シーズンへの移行トレーニングが上手くできていないのだろうか。冬期練習が故障で中断した時期もあったというが、富士通・岩崎利彦コーチ(110 mH元日本記録保持者)が「入ってきてみたら、やはり別格の力があるとわかった選手」という素材。ベテランコンビも“若手”も当然、警戒しているだろう。


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