2004/5/9 中部実業団
綾が66m31の日本新、室伏が64m14の五輪B標準
過去最高レベルの女子ハンマー投
2選手の競技後一問一答

「嬉しい気持ちは半分。(角度は)低かったですけど、スピードに乗れた感覚がありました」(綾)
Q.率直な感想は?
 嬉しい気持ちが半分、それが後半につながらなかった残念な気持ちが半分です。せっかく2投目に(日本記録を)出せたので、あとの4投につなげられるようにやってみたかったのですが、1つできると、別の1つができなくなって、なかなか思うようにつながりませんでした。(3年ぶりに日本選手に敗れた)織田記念(59m96)が終わって、水戸国際(64m93)まで1つのことを考えてやって、その延長に昨日(国際グランプリ大阪・65m66)があって、その延長で今日もやりました。昨日の記録は安心したというより、納得した感じです。
Q.織田記念のあと気をつけた部分とは?
 入りの部分です。あとは細かいところですが、練習で修正してきました。初戦の織田でめちゃくちゃ悔しい思いをして、初心を思い出しました。常日頃から持ち続けていないといけない気持ちなんです。
Q.日本新のときの感触は?
 正直、それほどなかったんです。大阪のときの方が上がった感じでした。今日は低かったですね。角度の高い低いだけで片づけられるものではありませんが。自分の中ではスピードに乗れた感覚がありました。それがよかったのかもしれません。
Q.2本目は声も出ていましたが。
 上手くスピードに乗れた、という反応だったと思います。6投目は“引っかかってくれー”っていう思いでしたが、それが甘いんです。後半は流れに乗っていませんでした。3年前の宮城国体がそうでしたね。2投目に64m(の日本新)を投げたのに、後が続かなくて。5本目にガムシャラに行ったら加速しすぎて、最後は指に引っかかって痛かったくらいでした。そのときのように速く回れたら、練習のときからそうできたらいいのですが。

「(雨の中で2人だけの試合も)自分のペースでやれましたし、集中もできました」(綾)
Q.グリップを昨年から変えたと思うのですが、いつからしっくり行くようになりましたか。
 去年のアジア選手権(9月マニラ・64m04の年度最高)からしっくりするようになりましたが、10月の国体3日前に腰を痛めてしまって、昨年は記録につながりませんでした。
Q.雨は気になりましたか。
 1週間前から予報でわかっていたこと。すんなり受け入れて、上手く集中してやることができました。去年は今日以上の大雨でしたし、雨でも影響が出ないように工夫しました。(雨とか)それ以上に、自分に集中して取り組めました。(サークルも)晴れたら晴れたでスムーズに足を運べたと思いますし、雨だったら滑らかで。技術を変えるというより、体の力を上手く抜く感じです。力んだら(逆に)すべってしまいます。2年くらい前から、その辺は対応できるようになりました。
Q.2人だけの試合でしたが、やりづらくなかったですか。
 中部の参加選手はわかっていたので、インターバルもわかっていました。それに、ある程度開けてもらったので、自分のペースでやれました。自分のリズムでできましたし、集中もできました。
Q.1投目、先に室伏さんが64mを投げましたが。
 “あー、行ったな”と思いましたが、その状況でも自分の投げにスムーズに集中できました。精神的にも色々なケースを溝口さん(溝口和洋コーチ・やり投日本記録保持者)に教えてもらっています。織田のあと、水戸、大阪、今日とつなげてこられたのも、そのおかげです。

「“よかったな”と思いましたが、“次は動きをどうしよう”と切り換えました」(室伏)
Q.1投目を振り返ると?
室伏 今週、試合が続いていましたが、ファウルをしたり、正確な動きに欠けるところがあったので、確実にライン(の内側に)入れて、正確さの上にダイナミックな動きをテーマにしていました。
Q.着地した距離は64mくらいとわかりましたか。
室伏 そのくらいは行っているな、と思いました。(B標準を破っている)記録を聞いて「よかったな」とは思いましたが、「次は動きをどうしよう」と気持ちは切り換えていました。織田記念の後に「これいいな」という動きがあったのですが、試合が続いて(その動きの)練習を積めず、不安定でした。まだ、ちょっとスピードを上げたりすると(動きが)乱れたり、ラインを割ったりしてしまいます。でも、感触を身につけるのも近いかな、という気がします。試合の直後なので、そう感じているのかもしれませんが。
Q.B標準を破って同じ土俵に上がったわけですが。
室伏 ようやく、ですね。作シーズン終了後、標準記録が上がると思ったので、ラッキーですね。でも、64mは選考に値しない記録。B標準ではどうしようもないでしょう。A標準か、それに近いB標準でないと。日本選手権は何が何でも勝つことだと思います。土俵に上がったという気持ちで、止まってしまわないようにしないといけません。

「試合で下半身に意識が届かなくなることを、どう克服するか」(室伏)
Q.何かをつかむのが怖いと言っていたことありますが。
室伏 まだ怖いですね。コントロールできずに吹っ飛ばされそうで。昨日(国際グランプリ大阪)、止まれない動きになっていて、それは下半身が使えていないということなんです。試合になるとどうしても、上半身に意識が行きやすくなります。意識が届きやすいんです。逆に、下半身は意識が届かなくて、使えなくなってしまう。腰を悪くする人は、その傾向が強いと思います。練習では届いていても、試合でいかに使うかが課題なんです。試合の雰囲気になると、なかなか修正がききません。でも、今日は後半で色々と試すことができたので、これから面白い動きができるかもしれません。でも、まだ守っているものがあります。


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