2004/5/17 関東インカレ
400 m45秒83、4×400 mR3分05秒56と“ほどほど”の走り
山口の収穫は「抜く感覚の走り」

 山口有希(東海大)は関東インカレにピークを合わせなかった。トップ選手に限れば、東海大の短距離は例年、その傾向がある。どちらかというと春季サーキットまでで一度上げ、5月中旬の地区インカレは“練習モード”に近い身体の状態で出場し(場合によっては多種目)、6月の日本選手権に調整してピークを持っていく。
 山口にとっては400 mと4×400 mRで優勝し、母校の総合優勝に貢献することが関東インカレにおける役目だった。「4日間、毎日アップをして走れる状態にするのはきつかったですね」と言いながらも、400 mは45秒83で2位に0.62秒差、4×400 mRもアンカーで400 mH優勝者の成迫健児(筑波大)を余裕で逆転。400 mに関しては、伊藤友広(法大)の予想外の不調もタイム差が大きくなった一因ではあったが。

「5本走りましたが全部、100 mまで上げて、後は流す感じで走りました」

 この“流す”という部分は、文字通り受け取ってはいけない。本当に流して45秒台が出るわけはない。微妙な感覚的なところを、デフォルメして表現した言葉なのだ。そのなかで収穫もある。

「抜く感覚をつかめました。力を使わずに進む感覚です」

 昨年までの山口は、典型的な後半タイプ。今季はそれを、前半から行けるスタイルに変えるのが課題。国際グランプリ大阪では前半型の小坂田淳(大阪ガス)に、200 mまで並んでいき、300mでは僅かにリードした。フィニッシュでは山口が45秒31で小坂田が45秒45。

「大阪では本番仕様の前半で、最後は本当に、いっぱいいっぱいでした」

 山口の言う“抜く感覚”は、前半のスピードを昨年に戻すことではない。前半から飛ばす今年のスタイルでなおかつ、力を抜くということだ。兄弟子の末續慎吾(ミズノ)が今季の課題としている「だらーっと力を入れずに出る」という新スタートもそうだし、力を使わずに“重心に乗り込む動き”も同様だろう。高野進門下の選手は走りの各局面で、つねに力を使わずに進むかを考えているようだ。
 日本選手権までの2週間の練習で、大阪のように前半から飛ばす走りと、関東インカレで習得した“抜く感覚”をすり合わせていく。


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