2004/7/26 国近友昭と瀬古監督共同会見
国近のカコミ取材から抜粋
「網走の起伏を走っておけば、アテネも楽になります」

Q.練習パートナーは?
国近 櫻井と近藤です。半分くらいずつです。
Q.この前のケガは何日くらい?
国近 1週間くらいですね。そこで疲れが抜けました。その前がすごく練習が積めていて。網走でも積めていて。
Q.網走のコースのアップダウンはどのくらいすごい?
国近 アブも諏訪もワイナイナもやっているコースですが、あれはきついですよ。1回目の40km走でガクガクになります。東京のコースよりもきついですね。
Q.アテネのコースのシミュレーションになる?
国近 あそこを走っておけば、アテネは楽になりますよ。
Q.下りで脚を使わないというのは、具体的にはピッチ走法に近くするということ?
国近 そうですね。ピッチにした方が楽です。走りが違うので、そのための脚を作っておこうと。特にそのためのウエイトはしていません。走ることでつくろうと。(中盤までの)下りで脚に来ると、上れなくなってしまいますから。
Q.32km以後の下りも同じ走り方?
国近 32km以後はガンガン行きますよ。下る一方ですから、元気なら持つかな。
Q.コースが滑りやすかったりすると思いますが、その点への不安は?
国近 最初に作った試作品を履いて、コースを走りましたが、その時はよかったですよ。三村さん(アシックス)がアテネの下見をする前に作ったやつで、ソールの薄いものです。下見をされてソールを厚くしたのですが、足裏は一緒ですから。
Q.本番までに何回か履く?
国近 そう何回も履かないと思います。三村さんのシューズはすごくフィットしますから、1・2回も履けば大丈夫です。福岡のときは1回しか足馴らししていません。

「監督や中山さんでもオリンピックのメダルは取れなかった。もっと練習しないといけないということ」

Q.オリンピックという感じは出てきましたか?
国近 結団式をやるとそろそろ。
Q.オリンピックへは、どんな憧れを持っていた?
国近 現実に出場できるとなってみると、普通の大会と変わらないですね。注目してもらえるのは嬉しいのですが。今はまだ、オリンピック、オリンピックとプレッシャーも感じていませんし。
Q.憧れが現実的な目標となったのはいつ頃ですか。
国近 陸上を始めた頃は漠然とすごい大会だと思っていましたが、シドニー五輪の前頃からですね。マラソンで選考会の福岡を走って、その後トラックでオリンピックに行きたいと感じていました。
Q.瀬古監督も憧れだった?
国近 監督は偉大すぎますね。身近な憧れは早田(俊幸・当時カネボウ)でした。同じ山口県で走っていましたし、強いのに異端児っぽくて。監督はそれを超えた次元でした。
Q.監督が走っていた頃の記憶は?
国近 残っていますよ。
Q.オリンピックで勝てなかったことも?
国近 覚えています。監督や中山(竹通)さんみたいに強い選手、偉大な選手でもダメだった。オリンピックは簡単にメダルを取れるものじゃないってことです。でも、選ばれたからには、それを目指してやるしかありません。もっともっと練習しないといけないと、いい意味で戒めになっています。
Q.中村さんと瀬古監督の強い師弟関係は、ご自分の場合と比べてどうですか。
国近 監督と中村さんは24時間管理するような関係でしたが、監督はそこまでしていません。年齢も年齢ですし、「あいつは大丈夫」と、僕を認めていただいているところもあるのかもしれません。練習に関してはすごく信頼しています。監督が中村さんに寄せていた信頼と似ているかもしれません。

「結団式で(マラソン代表3人でお互いの)練習の消化具合を話し合いました」

Q.結団式でマラソン代表3人と顔を合わせて、何か話しましたか?
国近 みんな順調にやっているようですよ。僕らは顔を合わせてもギスギスする関係ではありません。アブとは(NTT西日本時代に同じ広島で)近かったし。もちろん、負けたくはありません。アブもすごく順調そうで、普通は「あそこのコースを何分でやった」とか「トータルの距離は」とか言いたがらないのですが、それも話して。
Q.油谷選手の練習のタイムとか、気にしますか。
国近 流れもあるので、そこでいいからと気にはしません。そういう部分に一喜一憂はしなくなりました。若い頃はそれが気になったりしましたけど。参考にはなりますが。
Q.男子は2大会入賞がありませんが。
国近 3人みんな入賞できれば嬉しいですね。確かに女子の方が(メダルに)近いかもしれませんが、男子も頑張っていることを見せられればいいですね。
Q.会社の壮行会はもうやった?
国近 はい。副社長が気楽にやってこいと。社長は入賞してくれと言っていました。監督が9位だったので。あまりプレッシャーを与えないように気を遣ってくれていたようです。
Q.瀬古監督はプレッシャー対策として「寅さんの映画を見て日常を忘れた」と話していたことがありますが、これまで、プレッシャーにどう立ち向かいましたか。
国近 これまで、そこまでのプレッシャーがかかるほど期待されていませんでしたから。これからですね。今はまだ余裕があります。
Q.移籍して結果を残さないといけないプレッシャーがあったのでは?
国近 それは、自分で勝手にかけていましたね。試合の直前になると、すごくプレッシャーがありました。下手な走りはできないと。

「入社した当初、監督の練習が“できない”と思ったことはありますが、“違う”と思ったことはありません」

Q.残りの1カ月で調子を上げていくとき、目安とするタイムトライアルとかがありますか。
国近 福岡と同じように逆算して考えると失敗すると思うんです。監督の話を聞きながら判断していきます。
Q.瀬古監督の練習で「これ、違う」と思ったことは? 信頼できた?
国近 入社した当初は、「違う」ではなくて「できない」と思ったことはあります。オーバーワークじゃないか、って。でも、強くなりたいと思ってエスビー食品に入社したわけで、今までの練習と同じで結果が出なかったら意味がありません。まず、監督の出すメニューをやってみようと。それを消化してから、結果をどうこう考えてもいいのじゃないかって。
Q.結果が出なかった時期もありましたが。
国近 結果が出なくとも練習はちゃんとやっていました。ただ、故障をしてしまって。それだけ、体力がなかったということでしょう。オーバーワークと元に戻したら意味がありません。4年目でやっと上手くいきました。
Q.外反母趾の手術に踏み切ってよかった?
国近 そうですね。3年前にやっておいてよかったです。大きかったですね。故障しなくなりましたから。その後、バランスがよくなり、(故障を)上手く克服できました。
Q.今後のスケジュールは?
国近 明日から(北海道の)深川に行って8月2日まで。その後、函館の近くの大沼(文字未確認)に移って8月15日まで。18日にフランクフルトに入って、24日か25日にアテネに入ります。
Q.暑さ対策は本当にしない?
国近 暑いところで練習をしても、いい結果は絶対に出ません。暑さへの順応は、アテネに入ってからの何日間かで対応できると思います。給水に関してはこれからです。魔法瓶がダメらしいですから。IOCがダメと言っているみたいです。それにしても東京は暑いですね。朝練習だけでへばります。
Q.気晴らしは?
国近 音楽を聴くことですね。仲のいい友人がi-Pod(アップル社のハードディスクレコーダー)を買ってくれて、それに今、670曲入れています。アップの前や、試合の日に集中したりするときに役立ちそうです。洋楽が多いですね。


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