アテネ五輪8日目(8月26日)寸評
■決勝種目
<男子>
・200 m
・400 mH
・走幅跳
オビクウェルに失望した男子200 m
男子400 mHの2〜3位の記録に……
男子200 mはオビクウェル(ポルトガル)を予想していた。完全に穴狙いの予想の仕方だが、100
mでオビクウェルが優勝したガトリン(米)と0.01秒差の2位に入り、密かにほくそ笑んでいた。後半にきっちり追い上げていたし、本人も200
mへ自信のコメントをしていたという。200 mが始まりアメリカ勢の強さ(特に前半)を認めざるを得なかったが、オビクウェルも準決勝で余裕を持って後半を走っていたので、これはもらったと思った。
しかし、決勝のオビクウェルはまったくいいところがなかった。アメリカ勢に前半で行かれるのは予想していたはず。それで硬くなっているようでは、なんのための200 mなのかわからない。それともPREVIEW記事で書いたように、100 m選手になってしまったのだろうか。それとも、準決勝で19秒84を出しながら決勝は3位(20秒11)に終わった99年世界選手権のように、決勝に弱いタイプなのだろうか。そういえば99年も、短距離2冠となったグリーン(米)に前半で差をつけられてダメだった。
決勝に弱いのか、先行されると弱いのか。いずれにせよ、進歩のない選手ということで、今後は優勝予想しないことになるだろう。
それにしても、50mまでガトリンに1mは引き離されたクロフォードが、コーナーの出口までには逆転してトップに立っていた。すごかった。
男子400 mHは4レーンのカーター(米)が、5〜6台目までは6レーンのサンチェス(ドミニカ)を僅かにリード。しかし、8台目で並ぶと、その後はサンチェスが圧倒した。47秒63のシーズンベストで優勝。カーターは4位にまで後退。男子200 mは全米選手権で出た記録通りにアメリカ勢が強さを発揮したが、400 mHは全米の記録は出来すぎだったということか。風の影響もあるので、単に全米選手権というくくり方をするのも、どうかとは思うが。
2位のマクファーレン(ジャマイカ)は48秒11、3位のケイタ(仏)は48秒26。うーん、為末大(APF)が出ていたらなあと、ついつい亡くした子供の年齢を数えるようなことをしてしまう。陸マガにも書いたように、確実に準決勝よりも決勝の方が記録が出ていたはず。準決勝のあった一昨日は風が強かったが、今日はそれほど強くなかったとアテネの記者から聞いた。うーむむむ。
走幅跳は大本命のフィリップス(米)が1回目に8m59でリード。昨今のレベルなら、1回目にこの記録を出せばセーフティーリード。5回目にモフィット(米)が8m47を跳んだが、それ以外は8m40に届くジャンプは1本もなかった。フィリップスがシザースで、モフィットがハングオーバー(反り跳び)。90年代に好勝負を演じたルイス&パウエルの米国コンビと同じパターンだが、同じレベルまで行けるかどうか。
■日本選手
<男子>
・やり投予選 村上幸史
村上、78m59で予選突破ならず
一応、五輪日本人最高記録だが…
村上幸史は77m25 77m60 78m59 の試技内容で、予選全体では18番目の記録。昨年の世界選手権は77m24だった。レベルが上がったと見るべきなのか、昨年が記録の出にくいコンディションだったと見るべきなのか(後者だろう)。
一応、88年ソウル大会の77m46(溝口和洋)を上回り、五輪日本人最高記録だ。もちろん、それほど価値のある最高記録でないことは、本人が一番わかっているはず。
2年前のアジア大会銀メダルのときの村上は78m77。今回と同じレベルだったと見ていいのか、条件の違いを考慮したら、明確にどちらかの方が上と位置づけられるのか。直接話を聞いてみないことには、なんとも言えない部分である。大会の雰囲気も違っていたはず。いずれにせよ、取材をしてからだ。
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