アテネ五輪5日目(8月23日)寸評 
■決勝種目
・男子400 m
・男子円盤投
・男子十種競技前半
・女子800 m
・女子5000m
・女子三段跳

ウォリアーが21世紀最高の44秒00
フィニッシュ前の走りの違い
 男子400 mはグランプリで好調だったフランシク(グレナダ)を予想したが、予選を見た段階でウォリナー(米)がいいと感じた。最後の直線でフィニッシュまで、身体の浮かない抑えた走りができていたからだ。決勝でも最後の50m付近で先行するハリス(米)を逆転した。44秒00では、大学の先輩になるM・ジョンソン(米)引退後では最高記録。つまり、2001年以降最高記録になる。
 女子800 mは最後、浮く傾向はあるが押し切ってしまうムトラ(モザンビーク)の実績を買ったが、まさかホームズとは。2位や3位の多い選手という印象だったし。700mで5m以上の差があったチェプラクの追い込みも見事だったが、大魚を逃してしまった感じ。
 男子円盤投はアレクナ(リトアニア)を予想したが、五輪・世界選手権で初の70m突破をやってのけたファゼカシュ(ハンガリー)が優勝。2位のアレクナも69m89とオリンピック記録を破っていた。この辺の違いを読み切ることなど不可能だろう。昨日のハンマー投28cm差も同様だ。
 女子5000mは今季世界記録保持者となったアベイレゲッセ(トルコ)を予想。終盤まで3人の先頭集団を形成していたが、優勝したディファー(エチオピア)とオチチ(ケニア)に引き離されると、あっさりとあきらめてしまった。まあ、そういうタイプの選手もいます。
 女子三段跳は、今季あれだけ安定していたレベデワ(ロシア)が、肝心の大舞台で伸びやかさを欠いた。そういえば4年前も、直前のスーパー陸上で15m32を跳びながら、シドニー五輪本番は2位と敗れた選手だった。でも、そういった過去の実績で判断すると、逆に今季好調の選手が勝ったりする。難しい。

■日本選手
<男子>
・男子400 mH予選 為末大 吉沢賢
<女子>
・20kmW 川崎真裕美
・ハンマー投予選 室伏由佳

為末の前半はエドモントン並み
 8月1日に67m77とA標準を突破した室伏由佳(ミズノ)だったが、65m33で予選落ち。五輪で自己記録マイナス2m44なら悪くはない。ただ、以前にも書いたが、レベルの低い選手が頑張った印象を与えるには、自己ベストに近い記録を出さないと苦しい。
 女子ハンマー投は結果的に68m27が予選12番目の記録。A標準を本番で出しても予選通過できないのだから、標準記録の設定が他の種目と違っているということだろう。室伏自身が再三指摘している部分だ。
 男子400 mHの為末大(APF)は余裕で予選を通過。本人もコメントしたように。1・2位の選手が頑張ったため3位に落ちたが、“為末のレース”はできていた。テレビ画面から計測したタイムだが、フィニッシュタイムでの差から各ハードル毎のタッチダウンを計測できた。それをエドモントン世界選手権の銅メダル・レースと比較すると1台目で0.1秒、2・3・4台目で0.2秒、5台目で0.1秒、今回の方が速い(風向・風速の影響もあるのかもしれないが)。6台目で同じになり、以降の減速も明らかに余裕を持って減速している。決勝になれば間違いなく、そこの減速は小さくできる。期待の度合いが増した為末の予選だった。
 川崎真裕美(海老沢製作所)は成績は悪かったが、レース後の前向きなコメントが印象的だった。競技に対する姿勢でなく、パフォーマンスを競うのが競技会なのだが、今後が期待できるという意味で。


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